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自分の命は自分で守れる能力の育成を 安全教育で中教審が答申 - 渡辺敦司

東日本大震災の教訓も踏まえた安全教育の充実策について、中央教育審議会は11月19日、「審議のまとめ」を公表しました。具体的にどう実施するかは、翌20日に諮問が行われた学習指導要領の全面改訂の中で行うことにしています。

震災をはじめとした自然災害はもとより、学校や通学路で不審者から子どもが危害を加えられる事件などの頻発で、安全教育の重要性はますます高まっています。国でも2008(平成20)年6月の法改正で「学校保健法」に「安全」を加えて「学校保健安全法」としたり、12(同24)年4月に5年間の「学校安全の推進に関する計画」を閣議決定したりするなど、安全教育の充実に取り組んできました。しかし安全教育は指導要領で「学校の教育活動全体を通じて適切に行う」とされながら、体育・家庭・特別活動などの教科等にまたがっているため、どうしてもバラバラな学習にとどまってしまいがちです。また、避難訓練はどの学校でも行われていますが、東日本大震災以前はマニュアルに沿って火災を想定した訓練しか行っていないケースも少なくありませんでした。「審議のまとめ」には、これまでの安全教育が、実際に想定外の事態が起こった時に、自分で判断し行動できるまでの力を育てるものになっていなかったのではないかと指摘しています。

審議の過程では、自然災害が頻発する日本では、安全教育に関する独立した教科を設けたほうがよいという意見も根強くありました。しかし学力向上などにも授業時間数の確保が求められるなか、実現が困難なのも事実です。一方、新指導要領では「育成すべき資質・能力」として「何ができるか」を重視することが、諮問の準備段階から徐々に固まっていました。

「審議のまとめ」は、安全教育の中核となる教科等を定めたうえで、各教科等の役割と関係を系統的に示すよう求めています。具体的には、「災害安全」は社会科、理科、特別活動等、「生活安全」「交通安全」は体育科・保健体育科、家庭科、技術・家庭科、特別活動等を中核にするとしています。さらに「総合的な学習の時間」の学習例に安全教育を入れるとともに、学級活動や行事でも位置付けを明確にすることも提案しています。

このほか、危険予測や回避に関する教育の充実、情報モラル教育の充実、地域や自治体との合同訓練を含めた実践的な訓練の推進などを課題として挙げています。

東日本大震災では、津波が来たら各自がバラバラに逃げる「津波てんでんこ」や、その後の避難所で中学生や高校生が被災者のお世話に活躍する場面が注目されました。「審議のまとめ」では、自助を前提とした共助・公助に関する能力の育成を求めています。

また、これまでは情報を正しく理解して意思決定・行動選択する「実践力」が不足しているとの指摘を受け、危険発生時には情報をもとに正しく判断・行動できるようにすることを求めています。「育成すべき資質・能力」の代表的な、そしてわかりやすい具体例と言うことができるでしょう。

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