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「支持政党なし」と国民審査の怪奇現象 制度の欠陥はどちらも改めよう

衆議院選挙の比例区が話題になっています。「支持政党なし」という名称の「政党」です。それが何と10万票も獲得したというのです。

 同「党」のホームページより。
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 道内の各政党の得票数です。
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 何とすごい票数です。しかし、誰もが思うところですが、このような政党に10万人もの支持が集まるはずがありません。このような政党名など聞いたことがないし、10万人もの有権者が引っ掛かったということです。
 ところが「衆院選で政党「支持政党なし」が10万票ーーなぜ「政策は一切なし」だったのか?」(弁護士ドットコム)では、この投票行動をこのように分析しています。

 そして、動画のなかでも、「支持政党なしは、政策は一切ございません」と強調。既成政党に投票すると、その政策の一部に反対だったとしても、一括して賛成したことになってしまうとして、「個別の法案ごとにみなさんの意思表示をしたくありませんか」と呼びかけている。

 今回の衆院選の比例・北海道ブロックで「支持政党なし」が10万票以上を獲得したのは、このような佐野代表の主張に共感した人が多かったからなのかもしれない。

 そんなはずがないでしょう。だいたい政党名だとは思いませんよ。それに事前にこの「支持政党なし」のホームページをどの程度の有権者が見ているというのでしょうか。

 本当に悪質としか言いようがありませんし、これでは制度の隙を突いただけのただの選挙妨害でしょう。多くの有権者の善意を利用した、いや踏みにじった行為は批判されて当然だろうし、これ自体、制度の欠陥なのですから、早期に対策・是正が必要です。

 本来、支持政党なしの有権者が示す方法は白票ということになります。

 この問題を考えるのであれば、やはり国民審査についても考えなければなりません。
 国民審査は言わずと知れた最高裁判事について、罷免を可とする場合には「×」を付け、それが過半数を超えると罷免されるという制度です。
 白紙は信任です。あくまで罷免を可とする場合にのみ「×」を付けます。

 さて問題は、投票用紙です。これは投票所に行くと当然のように交付されます。
 交付されてそのまま投票箱に入れれば、信任なのです。
 この国民審査の投票用紙は受け取らないことができます。要は棄権です。棄権ができないという制度はあり得ないのです。

 しかし、衆議院議員選挙に投票した者は、必ず国民審査の投票をしなければならないことになるような運用がなされているのです。
 受け取って下さいと必ず渡されるのですが、それは事実上の投票の強要にも等しいのです。
 何故、これが問題になるのかといえば、白票が信任になるからです。
 衆議院議員候補者に対する投票の場合には白票は、どの候補者の票にもなりませんから、実質的には棄権です。

 事実上、投票を強要するような現行のやり方を前提にするならば、信任の場合には「○」を記載させなければ整合性は取れません。

 もともと制度が罷免を可とする場合には「×」としたのは、憲法の規定の仕方がそのようになっているからです。
憲法第79条第3項 前項(国民審査)の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

 この方法自体、批判の対象になっていることは周知の事実ですが、仮にこの制度を前提とする場合であれば、有権者に投票用紙を受け取らない自由を保障することが不可欠です。
 実際に多くの国民は、国民審査の投票用紙を受け取らなくて良いということを知りません。そのような誤解につけこんで信任を多くするようなやり方が全うであるはずもありませんが、これは「支持政党なし」の手口と同じ次元のものです。
 有権者の誤解に基づき投票させるというものです。
 どちらも同レベルの問題なのですから、「支持政党なし」の是正だけでなく、国民審査の投票用紙の受け取りが自由であることを用紙を交付する際に説明するよう是正されなければなりません。

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