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衆院選争点その②(アベノミクス1本目の矢)

安倍・自民党政権は正しい方向に日本経済を導いているのか?
アベノミクス3本の矢をもう一度検証してみることが、皆さんが投票を判断する上でとても重要だと思います。

1本目の矢は大胆な金融政策。
無制限の量的緩和を実施し、2%のインフレ目標と円高是正を実現するという目標が立てられました。

金融緩和に関しては私も4年以上前から必要性を訴えてきました。30兆円あると言われたデフレギャップを解消するためには通貨供給量を拡大する必要があったからです。
(その方法は国債の買い入れよりも、金融機関から中小企業向けローン債権などを買い取ることを提案していました。)

いずれにせよ、「異次元の金融緩和」の名のもとに2013年4月に一回目(年50兆円)、そして今年10月に二回目(30兆円増の年80兆円)の日銀による国債大量買い入れが決定され、それに基づきマネタリーベースは目標通り2012年末の138兆円から270兆円へと倍増しました。

他国との通貨供給量の差は解消され、一気に円安が進みました。
円安が進めば輸出企業が潤うのは確かです。反面、輸入企業が厳しくなるのも事実です。

株式市場の代表的指標である日経平均は、輸出企業が過半数を占めているため、株価が上がって好景気のようなイメージを作り出すことは出来ます。私も、それはカンフル剤のように必要だと考えていました。

しかし、日本企業の7割が卸売・小売業・サービス業等の「第三次産業」であり、雇用者数も8割が製造業以外のセクターに属するという事実に目を向けなければいけません。大幅な円安は中長期的に内需型企業の利益を押し下げ、解雇を増やし、日本経済にとってマイナスになってしまう可能性があるのです。

(円は以前360円だったと反論する人もいますが、現在の消費者物価指数に合わせた水準で計算すると、当時の360円は今の105円程度となります⇒ 消費者物価指数1968年=510.5、2013年=1734.8。1734.8÷510.5=3.40。360÷3.40=105.9円)

現在、増税と円安による消費者物価の値上がりに賃金上昇が追い付いていないことを考えると、120円台より更なる円安が進むことは、日本の景気を押し下げることになってしまいます。

安倍政権はトリクルダウン効果(trickle-down effect:富裕者層が豊かになれば富が滴り落ち、全体が豊かになること)を期待しているようですが、私の周りにいる多くの富裕者層は、株価が上がったからと言って消費を特に増やしてはいません。日本の超富裕者層(5億円以上の資産家)は全体の世帯数の1%未満だと言われていますし、そもそも多額の金を使うことを日本人は「よし」としていませんので(世間の目も厳しいので)、「お金の使い手」としては米国のように期待できません。

政治にタラレバは良くありませんが、やはり悔やむべきは消費税の増税です。

景気が回復し、経済が成長するまでは増税を控えるべきだと私も強く訴えてきましたが、結局は押し切られてしまいました。どんなに優秀な経営者でも、アクセルとブレーキを同時に強く踏み込んで経営を建て直したという事例は聞いたことがありません。

国も同じです。出口リスクを伴いながら、思い切って飛び込んだ異次元の金融緩和ですが、その効果が確定する前に強いブレーキを踏んでしまったのです。

非常に残念です。

もちろん、経済政策には様々な要素や利害関係が絡み合うので、一方でプラスが出れば、一方ではマイナスが出るのは仕方がありません。円安によって国内の設備投資が増えていく可能性もあります。

この1本目の矢に対する判断として自身の生活にどのような影響が及んでいるか。そして数年後はどうなっているかをイメージすることが重要です。

難しいと思いますが、様々な情報を集めて、皆さんにも考えて頂ければと思います。

*2本目と3本目の矢についても今週アップさせて頂きます。

【関連記事】
衆院選争点その①(憲法改正)

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