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日本史上最大の奇跡、『日本人と天皇』という謎に迫る

まだ小学生だった頃から、ずっとこだわり続けてきたテーマがある。「天皇」という存在についてだ。

僕が小学校1年のときに、大東亜戦争が始まった。教師をはじめ、大人たちは、「君たちも20歳になったら、天皇陛下のために戦って死ね」と僕たちに言った。そして僕自身も、「海軍に入って、天皇陛下のために死ぬ」ことが将来の夢であった。

ところが、小学5年のときに戦争が終わると、大人たちは態度をがらっと変えた。「今度の戦争は悪い戦争だった。アメリカ、イギリスが正しい、日本が間違えていたのだ」と言うようになった。そして、僕たちの教科書をどんどん墨で黒く塗り潰させた。

当然、昭和天皇もGHQに逮捕され、裁判にかけられると僕は考えていた。もちろん昭和天皇に反発を感じることはなかった。けれど、戦争に負けるということはそういうものだと思っていたからだ。だが、昭和天皇は裁判にかけられることはなかった。そして、天皇制は存続した。

この大きな疑念が、僕の根底にいつもあり続けていた。だから「朝まで生テレビ!」でも、何度か「天皇」をテーマに取り上げたりした。そして数年前から、この問題に、真っ向から挑むようになった。数えきれないほどの文献にあたり、多くの学者に話を聞いた。そして『日本人と天皇』として上梓した。

「天皇」という存在は、古代から奈良、平安、鎌倉、室町、そして江戸時代と、時代によってその扱われ方は変化してきた。だが、扱われ方こそ変わったが、一貫して揺らぐことなく天皇は存在し続けた。天皇が権力だった時代もあった。権力はないが「権威」であった時代もあった。

例えば、足利尊氏が弱り切った後醍醐天皇、つまり南朝を存続させたのはなぜか。豊臣秀吉もまた、関白となった自らの正当性を主張するために、天皇という「権威」を利用した。

そして、東大教授の本郷和人さんによれば、「権威でさえなかった」時代もあった。徳川家康は「禁中並公家諸法度」を定め、「天子諸芸能之事、第一御学問也」と明記した。それまでの天皇は法を超える存在だった。だが、家康によって法の枠組みに収められてしまったのだ。江戸時代、天皇は権威ですらなかったのだ。

ところが幕末になって、天皇は俄然、力を取戻すことになる。「尊王攘夷」、つまり討幕のよりどころとなったのだ。実際、維新後は天皇の時代となる。

ほかにも、時代の権力者と天皇との関係を丹念に見ていくと、天皇が「なきもの」とされなかったのは、いよいよ奇跡に思えてくる。天皇を柱とした日本の歴史を批判し、天皇に正当性がないなどと言いたいわけではない。僕の関心は、多くの危機がありながら、天皇制が一貫として続いた、奇跡ともいえる厳然たる事実であり、そしてその理由が何かということだ。

僕なりのその理由をまとめて、本として記した。調べれば調べるほど、新しい発見があり、ますます興味が深まった。日本という国に横たわる、この大きな「謎」に関心がある方に、読んでいただけたら幸いである。

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