- 2014年12月05日 00:00
【読書感想】あなたはなぜパズドラにハマったのか? ソーシャルゲームの作り手が明かす舞台裏
3/3また、「課金」についての、こんな話も出てきます。
課金しそうでしないユーザーを特定して、それまで「絶対無課金」と言っていたユーザー層に対して、セールを機に一回でもアイテムを買わせることを狙います。
何故なら一度でも課金してしまうと、その後のソーシャルゲームにお金を払うハードルが、かなり下げられるから。
人って一度お金を遣ってしまうと、「あと100円ぐらい、いいか」と何かあった時にまた課金してしまうものなのです。
運営側が狙っているのは、そんな「課金の習慣化」。
恋愛と一緒ですね。
酔った勢いでチュウまで行ったらなし崩し、みたいな。
ソーシャルゲームにハマりたくない人は、最初の課金は心してください。
最初は遊びのつもりだったのに、ちょっと課金したのがきっかけで、その後もずぶずぶとハマってしまうかもしれませんよ。
恋愛のたとえはさておき、著者は実際に課金しているユーザーたちのデータをみて、運営してきているわけですから、この話には説得力があります。
考えてみれば、課金しまくっている「ソーシャルゲーム廃人」たちだって、最初は「1回くらい、100円くらいなら、まあいいか」と思っていたのだろうし。
「課金しないつもりなら、いくらセールで安くても、絶対にしない」
そう決めておくべきなのでしょう。
でも、無課金でゲームの世界を満喫するには、ものすごく時間が必要になるし、「課金してもらう側」も、さまざまな手練手管を使ってきます。
絶対に課金しない、ということであれば、ソーシャルゲームそのものに接触しないのが、最良の方法なのかもしれません。
著者によると、ソーシャルゲームのユーザーの年代分布は「10代、20代、30代、40代とほぼ同数」なのだそうです。
世代毎の総売上が一番多いのは30代で、一番課金しないのは、カードが使えない10代。
子どもの課金が問題になっていますが、実際にお金を使っているのは、僕くらいの大人たち、なんですね。
飲みに行くのは時間もお金もかかるし、付き合いもめんどう。とくに趣味もない。
短い時間で気分転換できるソーシャルゲームって、たしかに、「中年向け」なんだよなあ。
この本を読んでいて、シンプルにみえるソーシャルゲームも、実は、すごく細かいところに気を配っているということに驚きました。
ソーシャルゲームでいう「最初のデート」とは、「チュートリアル」と呼ばれる、登録後すぐに始まるゲームの遊び方を教える場面です。
ガイド役のキャラが出てきて、「このボタンを押して闘って」、「このボタンを押してカードを合成して」…と猿でも出来るように一本道でゲームの進め方を指図しますが、このチュートリアルで「こいつ面倒くさいなあ」と思われると、すぐにそのゲームから離脱されてしまいます。
だからチュートリアルは、長くても5分以内で終わるのが理想です。
中には、チュートリアルの長さをユーザーのタイプに合わせて変更しているゲームもあり、「こいつはせっかちだな」という行動(ボタンを押しまくってすぐページを切り替えたり)をとったら、チュートリアルをすぐに終わらせるようにするゲームもあります。
チュートリアルを7割のユーザーが突破すれば成功でしょう。ゲームによっては半分以上のユーザーがチュートリアルで離脱します。
ソーシャルゲームの現場では、そこまで、ユーザーも「見られている」のです。
ちなみに、一度そのゲームに登録してくれた人が、翌日も来てくれる確率は「半分くらいなら合格」なのだとか。
最近は、ゲームの種類も豊富になっていますし、同じような内容のゲームをいくつも掛け持ちするのは、時間的にも困難。
『パズドラ』のように、多くの人が高レベルになっているゲームに、最低レベルから参入するのも敷居が高い。
ソーシャルゲーム業界は「当たれば大きい」だけに、一気に「レッドオーシャン」(競合相手が多い、厳しい市場)になってしまったのです。
これからのソーシャルゲームは、どこへ行くのか?
これは「ケータイ小説」のような、一時的な流行なのか、それとも、新たなゲーム文化として定着するのか?
ソーシャルゲームのみならず、テレビゲーム一般に興味がある人にとっては、興味深い内容だと思います。



