堀江貴文氏、借金までして進学することに疑問。「そこまで価値のある大学なのか?」
現代の日本は「大学全入時代」で、大卒であれば就職できる時代は終わったと言われている。こんな現況ならば“聞いたことの無い大学を卒業しても役に立たない”とする、東京大学出身の堀江貴文氏の意見も正しいのだろうか。まさにその通りだなあと個人的には納得以外の何物でもなかった。まあ、相変わらずズバっといいすぎちゃったんだとは思うけれども…。笑
「全 国大学院生協議会」が26日発表した調査では、“大学院生の4割以上が奨学金を借り、その4分の1近い利用者の借入額が500万円以上”ということだ。 11月28日の『5時に夢中!』“夕刊ベスト8”のコーナーで紹介した内容によると、借金返済のため風俗店でバイトをする女子学生が増加しているという。 月1金曜レギュラーで実業家の堀江貴文氏は、「こんなことまでして大学行かなきゃいいんですよ」と渋い顔だ。(ライブドアニュースより引用)
実際、大卒と高卒の賃金格差はどの程度だろうか?さっとインターネットを検索して出てきた数字を使ってみることにする。
■2012年の生涯賃金ということらしい。まあまだまだ大卒のほうが賃金がいいことは間違いがないが、それほど差があるともいえなそうだ。大学の進学費用・授業料・生活費などを考えるとそれほど差はないようにも思える。
<男性>
高卒 2億4000万円(42年間)
大卒・大学院卒 2億8000万円(38年間)
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大卒のほうが+4000万円
<女性>
高卒 1億8000万円(42年間)
大卒・大学院卒 2億4000万円(38年間)
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大卒のほうが+6000万円
(生涯賃金で高卒・大卒の逆転も!? all aboutより引用)
ただ、2000年以降は大卒と高卒の賃金格差は広がっているといわれるし、企業への定着率も大卒のほうが高いのも事実でそう考えると世の中の人が借金をしてでも大学に行くというのはあながち間違えた行動ではないようにも思える。アメリカでも学生ローンが非常に問題になっているがそれでも大卒プレミアムは大きいので大学に行くことがまだ非合理的とまでは言えないという説も根強い。
だが、一方で考えないといけないのが堀江氏も言うように名前のない大学に行くことが本当に意味があるか?ということだ。大卒と高卒で賃金格差が広がるように同じ大卒内でも賃金格差の広がりが大きいことは容易に想像できる。特に大学院なんてのは特に文系の場合はあまり役に立たないのが現状だ。
有名大学を出ればそれなりの職はあるだろうが、一時期言われたように(アメリカやイギリスでも言われているが)無名大学を出てもむかし高卒の人がやっていたような仕事しか今はないと言う状態に日本もあるだろう。
そう考えると、やはり堀江氏が言うように「借金してまで(無名の)大学に行くことに意味があるのか?」という問いはかなり正しいといえるだろう。
また、これからはもっと変わっていくだろうが特に女性の場合は有名大学を出ても結婚して専業主婦や一時休業という場合が多いから本当に大学を出た場合の生涯賃金は実際にはもっと少なくなるだろう。そうするとホリエモンじゃないが風俗嬢をやってまで大学…というのはますます非合理的だろう。
いずれにしても個人の場合には大学に行くことはまだ合理的ではあるものの借金をしてまで行く必要があるのか、あるいは高卒でいい就職先がある場合にはそちらを選択するべきではないかということはもっと考えられるべきではあるといえそうだ。
一方で社会全体を考えた場合はどうだろうか?
より多くの人が大学に行くことで生産性が上げるという側面がある一方で、レジャーランド化や実際にビジネスには役に立たない学部が増えているなど、大学というのはただの「資格」のようなものにすぎない面も強い。大学で4年間学んだことを実際に社会に出て活かせている人は少数派だ。そう考えると大学はやはりシグナリングの側面も強いわけで、社会全体で考えても大学に行くということがそれほどプラスなのかは考えものである。
それでも資格獲得のために大学に行き、自由な時間を得て友人を作りいろいろと経験を積むということは個人的には社会にとって大きなプラスだと思う。特にトップクラスの大学に行くような人は多かれ少なかれ高校までは勉強に費やした時間が多すぎて社会経験が不足しているだろうから。
だが、そういったただの資格に過ぎない大学に多額の補助金がつぎ込まれていることはどうだろうか?補助金が出るので授業料が安く抑えられその結果として大学への需要が過剰に高まり、不必要な大学進学者が増えていることは間違いない。言ったら悪いが無名大学はその類だろう。そんな金を払うのなら幼児教育や義務教育のさらなる充実にお金を費やすほうがよほどかましだ。
社会全体でもマイナスだろうし、なんとなく大学に行きたいした勉強もせず遊ぶために借金をするというバカげた個人の行動を生み出しているのは大学への助成金によるところも大きいのではないだろうか?
ホリエモンには「大学に補助金なんて出さなくていいんですよ。あんなものはどうせ資格だし、特に文系の人間は僕みたいにロクに勉強しないんですから。」と付け加えてほしかったものだ。