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認知症事故で遺族勝訴の最高裁判決、今後取り組むべきことは?

議論

更新:2016年03月02日 08:19

共同通信社
徘徊中に電車にはねられ死亡した認知症の男性(当時91)の家族に対しJR東海が損害賠償を求めた訴訟の上告審で、3月1日、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)が二審判決を破棄し、家族の賠償責任を認めない判決を言い渡しました。


平成26年(受)第1434号,第1435号 損害賠償請求事件 平成28年3月1日 第三小法廷判決 - 最高裁判所

この事故は2007年に発生、当時「要介護1」の認定を受けていた妻が目を離した隙に男性が外出、駅構内の線路に入って電車にはねられ死亡したもの。裁判では妻と長男の「監督義務」が争点になり、1審判決(名古屋地裁)では妻の過失と、20年あまり別居し横浜市に住んでいた長男の監督義務を認め、請求全額(約720万円)の支払いを命じましたが、2審判決(名古屋高裁)では、夫婦の協力扶助の義務を謳った民法の規定から、妻にだけ監督義務を認め(長男の監督義務は否定)、請求の一部(約360万円)の支払いを命じていました。

今回の判決で最高裁は「監督義務」について「本人の生活や心身の状況に加え、責任無能力者との親族関係や同居の有無、介護の実態などを総合考慮すべき」とし、自身も要介護認定を受けていた妻と、長年別居していた男性について、この事故では「妻や長男は監督義務者に当たらない」との判断を示しました。(関連記事:認知症男性JR事故死 最高裁、判決要旨 - 毎日新聞)

判決に対し、各紙も2日付け社説で「妥当」との評価をした上で、今後一層高齢化が進むことを踏まえ、それぞれ論評しています。
先駆的な取り組みで知られる福岡県大牟田市は、認知症の人が行方不明になったときに行政だけでなく地域の各団体、登録した市民に一斉メールで情報発信するネットワークを作り、市全域で模擬訓練もしている。目指すは「認知症になっても安心して歩ける町」だ。こんな取り組みを各地に広げたい。認知症の人や家族が、初期段階から必要な医療を受けたり相談したりできる環境作りも欠かせない。

認知症訴訟 問われるのは社会だ - 朝日新聞
認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らせる町づくりが欠かせない。一部自治体で行われる認知症コーディネーターの養成や、町内会などが認知症の人を見守る「SOSネットワーク」などの取り組みをさらに充実させたい。

 一方、賠償責任が認められない場合に、被害救済をどうするかが課題として残る。公的保険で基金を作ることも、検討テーマではないか。

認知症の監督責任 現実ふまえた司法判断 - 毎日新聞
今回のような事故が頻発する恐れがある。他人を事故に巻き込んだり、火事を起こしたりすることも懸念される。

 こうした損害を、鉄道会社などを含む社会全体のコストと捉える考え方もある。責任をどう分担するのか、保険制度の活用などの議論を深めることが肝要である。

認知症事故判決 賠償責任の議論を深めたい - 読売新聞
民間の保険もあるが、適用対象が限られる。この拡大などを国が後押ししていく必要もあるだろう。

認知症事故訴訟 介護実態に即した判断だ - 産経新聞
高齢者が徘徊した際に、市民にメールで連絡し、保護につなげる地域もある。住民の力も欠かせない。認知症の予防や治療のための研究の推進、見守りに役立つ機器の開発、損害を広く薄く負担し合う保険のような仕組みづくりが課題になるだろう。

認知症介護の実態を重くみた最高裁判決 - 日本経済新聞
読者の皆さんは、今後どのような取り組みを行っていくべきだと思いますか?

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