「″日本復興″インターネットができること~スマートグリッド・ウェブサービス~」

放送

更新:2012年08月22日 12:20

3月11日に発生した東日本大震災と、それに伴う福島第一原子力発電所の事故から1ヶ月が経過しました。被災地の被害の爪あとは深く、未だ続く余震に不安な日々が続いています。また、「自粛」や「買い占め」、計画停電の影響で、日本経済への不透明感も広がっています。

そのような中、災害時のインターネットサービスの役割が再認識され、発電・電力供給の分野においてもインターネット技術への応用が注目が集まっています。

今回のBLOGOS チャンネルは、前グーグル日本法人名誉会長で村上憲郎事務所代表にご出演いただき、情報伝達の手段におけるウェブサービス、電力危機におけるスマートグリッドの面で、インターネットが復興に貢献する可能性について語っていただきました。

池田信夫(以下、池田):こんばんは、アゴラ編集長の池田信夫です。今回のBLOGOS対談は、元Google Japan社長の村上憲郎さんをお迎えして、スマートグリッドの話や、今回の震災の後、日本がどう復興していけばいいのか?というお話を伺いたいと思います。まずは簡単にご紹介します。村上さんはGoogle Japanの代表取締役社長として、日本のGoogleを経営されてきまして、今年1月にGoogleを退任なさって村上憲郎事務所を開設されました。そういうわけで、もうGoogleの人ではないわけですが、今回の震災ではGoogleが大変活躍したということで、非常に評価が高いですよね。

村上憲郎(以下、村上):そうですね。若い昔の同僚達が素晴らしい仕事をしたそうです。先生がおっしゃるように、私はもうGoogleの人間ではないんですが、非常に誇りに思っております。

池田:今日の本題は今回の地震、特に原子力発電所がああいう状態になって、日本のエネルギーの問題がクローズアップされています。長期化している計画停電や、エネルギーのインフラをどうするか?それについては村上さんが前から、スマートグリッドを提唱されてきました。アメリカでもスマートグリッドという構想が言われていて、日本でも前から話はあったんですが、若干、冷ややかに見られてきた節はあるわけです。でも、「今回の震災でエネルギー網を改めて建て直したらいいんじゃないか!」という機運が高まってますよね。

村上:そうですね。もちろん、私もGoogleサイドの人間としてスマートグリッド関係を携わる機会があったんですが、決して、皆さん反発しているということじゃなくて、今ある日本の電力インフラ……。それは北米ともヨーロッパとも違う、素晴らしい物だったわけですね。今は大変なことになっていますが。そうすると、その中でスマートグリッドがどういう役割を徐々に果たしていくのかという議論は、真摯になされていたと思います。今日、スマートグリッドの話をするわけで、まずは「スマートグリッドとは何ぞや」ということを、パワーポイントの書類を作ってきたので、それに沿ってお話を進めていきます。分かりにくいところが出てきたら、池田先生に合いの手を入れていただければと思います(笑)。



 まずは「スマートグリッドって何だ?」ってことです。簡単に言うとグリッドというのは電力の網のことなんですね。皆さんもこれまでも気にもしなかった電力網の記事を、新聞紙上などで見る機会が増えたと思うんですが、そのグリッドに情報の網を束ねていく必要があるんじゃないか?という考え方なんです。



 このポンチ絵には、電源のコードの横に皆さんがご存知の有線LANのコードが寄り添っているわけですが、実際にこんな風に物理的に寄り添っている必要はありません。スマートグリッドが完成した暁には、電力を必要とする物はスマートグリッドに接続することになります。そうすると、スマートグリッドの情報網は今のところインターネットが想定されてますので、要するに、電力網に接続されているものは、将来的には全部インターネットに繋がれるという形になっていくわけです。やや抽象的すぎて分かりにくいかとは思うんですが。

池田:僕なんかが思うのは、一般消費者の目から見ると、計画停電っていうのはすごい乱暴なやり方ですよね!地域によって、電気が要る人も要らない人も一括して止めちゃうわけですから。これをもうちょっと必要な人だけ供給するとか、スマートにできないか、ってことなんですよね。

村上:私も最初に「日本の電力網はこれまで非常に優れて出来上がっていた」と言いました。それはその通りなんですが、計画停電に関しては、上流である発電所から、電力を消費する側である需要家のところに一方的に電力が送られる中では、スマートグリッドと言ってもいいような物が日本では成立してたんです。でも今回の場合は、そのコントロールが変電所・配電所までは細かく出来なかったところがありました。計画停電には、いろんなご批判があったとは思うんですが、実は「計画停電が出来た」ということは、日本のグリッド(電力網)が(ある程度はスマートに)出来ているという点でフェアに評価する必要があると思います。

 ただ、今後は、デマンドサイド(需要家)が発電するケースも出てきます。一般家庭や工場、オフィスとかが発電も今後するわけですね。「デマンド側がどんな(電気の)使い方をしているんですか?」という細かいところまで、グリッドが賢く見ていく。そういう状況になってきたときに、スマートグリッドという形がある程度、完成された状況と言えるんだと思います。

 たとえば、スマートグリッドに繋がる家は「スマートハウス」なんて言うわけですが、「今の家にもインターネットも電力も繋がってるから、スマートハウスじゃないの?」という意見もあるかもしれません。でも、実際にはそうなってないですね。パソコンでインターネットのウェブを見たりはできるんですが、一番肝心の消費電力をインターネットで見ることができない。先ほど、先生がおっしゃったように「具体的に需要家がどれだけ使ってるの?」とか、インターネット側から家庭の消費電力を、後ほど説明しますが、デマンドレスポンスみたいな形で制御していくと……。そうして初めてスマートハウスになるんですけども、まだそうはなってないと。

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