シンポジウム「就活はこれでいいのか?~日本の雇用を考える~」

放送

更新:2011年11月21日 23:09

今年も就職活動が本格化する時期を迎えています。学生生活の1/3が費やされる"就活"については問題も多く、政府が「新卒者雇用に関する緊急対策」を打ち出して特命チームを設置、企業の側も選考活動の後ろ倒しを検討するなど、変化の兆しが見えはじめています。
一方で、就職予備校化する大学や、就活対策・仲介業者の問題点も指摘され、インターネット上でも活発な議論が行われています。

今回のBLOGOSシンポジウムは、言論プラットフォーム「アゴラ」との特別共催企画として、日本工業大学神田キャンパスを会場に、就活システムや企業の人事制度、労働経済学に造詣の深い専門家をお招きし、"日本の就活"を徹底討論しました。

一同:こんばんは。

池田:それでは、最初にそれぞれのお立場と考え方を表明してもらいたいと思います。城さんと海老原さんは、知る人ぞ知る昔からのライバルなので……。

城繁幸(以下、城):いやいや、そんなことないですよ(苦笑)

池田:まずはボールを投げる形で城さんからどうぞ。


”全社員請負”で、終身雇用も就職氷河期もなくなる


:全社員を請負にしようというのが、私の立場です。使い捨てになるのは、正社員という役職があるからです。正社員がなくなれば、非常にフレキシブルで働きやすい会社になる。たとえば、コンビニ店員は、業界最大手でも債務超過と言われている会社でも同じ時給。これは同じ地域で同じレジを打つという仕事に対して値札がついているからです。

これが本来の意味での世界標準なんです。経営難だから給料を下げる、終身雇用だから地方に転勤なんてこともコンビニ店員の世界ではない。セクハラ・パワハラも辞めたり訴えたりすればいいので、起こりにくい。みんなが、“この仕事に対して、この雇用契約”という風に契約を結ぶようになれば、終身雇用も就職氷河期もなくなります。

海老原嗣生(以下、海老原):城さんとは対立面が多いように見えるけど、実際には近い部分が多いんです。僕は“橋を渡った人”と“橋を渡らない人”の二つにして欲しいと思っています。橋を渡ったら“あなたに預ける。一生ついてこい”となる。今の日本はこの“橋を渡った人”の会社ばかりだった。橋を渡ったからには、いい思いもするけど、パワハラ・セクハラもあり得るという覚悟をするべきです。

安藤至大(以下、安藤):農林水産業から、製造業・建設業から、サービス業へと働き方が変化してきました。昔はお爺さんが農業をしていたら、親子代々、農業というのが当たり前。同じ仕事をずっと続けられたんです。高度経済成長期に入っても、同じ会社にずっと勤めることができた。でも、現在は過渡期です。労働人生の間で、自分の仕事を変える必要があります。
“良い会社に入れば安泰”という時代ではない。正規雇用と非正規雇用は上下関係ではなく、実際には一長一短の関係です。契約期間にしても長期か短期かの二択ではなく、多様な契約ができるようになれば、解雇の必要性が低下します。

7割の人は最初から大手を受けちゃダメ


池田:城さんと海老原さんの話が対立してなくて意見が一致しているところばかりが目立ったんだけど、何か違いはないですか?

海老原:違いじゃなくて、城さんの生の声が聞きたいんですよ。城さんの言うように、全ての物をガラガラポンで壊せば、いろんな人達が恵まれるようになると思いますけど、単に大企業の日本型雇用を壊しただけだと、大企業に入れる人は有名大学を出た一部の人間に限られていて、結局、コップの中の嵐で終わるんじゃないか?という思いがあるんです。そこはどうですか?

:僕は大手企業に入るのが全体の15%程度という海老原さんの認識よりも、もうちょっと多いのではないかと思っていて、全体の3割程度はいると思っています。ただ、僕は一階建てと二階建てという言い方をしているんですけど、二階にいる人っていうのは声が大きくて政治力を持っている人なんですね。ある事業の中で優先的に予算を取ってくる人達。残った物を一階に回しているわけですよ。

原発だって、たとえば一機作って人件費いくらって決まってるわけですよね。それを結局は規模が大きくて経団連の会長も出すような東電が取っちゃうわけですよ。残ったお金で、非常に危険な仕事を下請け会社にやらせているわけです。だからリスクは高いんだけど、給料は安いという非常に歪んだ構造ができちゃうわけですよ。その1階建てと2階建ての構造は、維持できないのでいずれはなくなります。でも、それを自然死するまで待つのかっていうと、それには違和感がある。

海老原:そこの気持ちは分かるんです。ただ、それとは別次元の話を聞きたいんですが、残りの7割の人はどうやったら救われるんですか?

:うーん。彼らが就職することを考えるんであれば、大手なんか最初から受けちゃダメですよ。最初から通らないから。リクナビでもいいですけど、大学の就職課とかそこに行って、行けるころに行った方がいいと思います。だけど、この格差構造を支えていかないといけないと思っています。目先の就職のことだけを考えるんだったら、大手とかリクナビとかには頼らない方がいいと思います。

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