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ホット・ゾーン エボラ・ウイルスは空気感染するのか?

ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々 ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々

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エボラウイルスの制圧に関するノンフィクションである。ひたすら面白い。

1989年—-、

ワシントンDC郊外に、実験用の猿の飼育施設があった。そこで、フィリピンから輸入された猿が妙な症状でバタバタと死ぬ。ウイルスを調べてみると、電子顕微鏡や、抗体の反応は、エボラであることを示していた。

本書は、このエボラウイルスを殲滅させるべく、陸軍がおこなった作戦を詳細に書いたノンフィクションだ。施設内の350匹以上の猿を安楽死させ、血液サンプルをとり、施設を除染した。施設の周りは住宅街であり、細菌防備のための宇宙服を着て行うこの作戦を、周りの目からかくして極秘裏に安全に行う必要があった。

現在、アフリカで流行っているエボラは、結論からいうと空気感染しない。感染経路は患者の体液(血液や、唾液、糞便)の接触に限られるとされている。つまり、発症した患者に使った注射針を間違えて自分に刺してしまったり、患者の血や体液が、傷に触れたり粘膜や眼球に入り込んだりしなければ大丈夫だ。(とはいってもその感染力は凄まじく、わずか数個のウイルスが血流に入っただけで感染を引き起こすと言われる)

しかし、この猿施設のエボラは、空気感染が疑われていた。施設においては、猿と猿は別の区画に存在して接触がなかったが、それでもエボラはその施設全体に蔓延し、猿に伝播した。空気中にエアロゾル状になったウイルスを肺に吸い込むことで感染する疑いがある。

10人中9人が死亡するエボラが空気感染で蔓延すれば、人類の半数が死ぬとも限らない。この施設を封じ込め除染に成功するかどうかは、人類を救うかどうかの作戦だったのだ。

しかし、結末は、すこし安心できるものだ。この施設のエボラは空気感染が疑われるものの、人間にはなぜか無害だったからだ。4人の猿の飼育係は、このエボラに感染したとされるが、発症することなく、しばらくすると血中からウイルスが消えた。

これは、エボラの変種で、猿には致命的だが、なぜか人間が感染しても死ぬことはない。エボラは、7つのタンパク質を合成する。そのうち4つは未解明の蛋白質であり、そのうち1つが、従来のエボラと違う。この微妙な違いが、猿には致命的でありながら、人間には害を及ぼさない。まだこのウイルスは、わからないことが多すぎる。

この猿の飼育施設でみつかったエボラは、エボラ・レストンと名付けられた。

これらの猿は、フィリピンのミンダナオ島で捕獲されたものだ。中央アフリカでしかみつかっていなかったエボラが、フィリピンの森にすむ猿からみつかったことは衝撃的だ。

多くの凶悪な病原体は、熱帯雨林を起源としている。HIVもエボラも、熱帯雨林に存在したウイルスが何らかの経路で、外界に出てきて、人間に感染する。

我々が、熱帯雨林という自然に踏み込めば踏み込むほど、ウイルスという強烈なカウンターパンチが繰り出される。

かつて中央アフリカの熱帯雨林近くには、未舗装の道しかなかったが、そこが2車線に舗装され、車がひっきりなしに走るようになった。そして、HIVはこの道路の付近で発症し、この道路沿いに急速に感染が広まった。

エボラ・レストンは、人間にたいしては毒性を発揮しないものの、これが突然変異する可能性はゼロではない。実際、極めて危険なエボラ・ザイールと、人間には無害だが空気感染が疑われるエボラ・レストンの2つは、極めて酷似していて、電子顕微鏡の写真では見分けがつかない。

現段階でウイルスがそのような変異をするような証拠も根拠も何もないが、軍の関係者は万が一にもそういうことがおきれば人類は滅亡にちかい試練を受けると考えており、そういう可能性に備えて研究や訓練をしている。

日本にはエボラを扱えるバイオセーフティーレベル4の施設が稼働できず、研究も訓練も難しい

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