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女性二閣僚の辞任を受けて

本日、小渕優子経済産業大臣が辞任し、その後を追うかのように松島みどり法務大臣も辞任した。第二次安倍内閣で初めて、しかも鳴り物入りの女性閣僚の相次ぐ辞任に、さすがの安倍総理も任命責任を認めた。

9月の内閣改造で、女性議員5人が入閣し、これが史上タイ記録であると聞いて、またいつもの安倍総理のパフォーマンスかとしらけながらも、女性議員としては、人数が増えてくれば、いわゆる「女性枠」という屈辱的な発想も近く消失するかと希望を持ったものだった。それゆえ、大臣就任後僅か1ヶ月余で辞任という結果に野党ながらがっかりもしている。

既に、女性閣僚達はそれぞれに問題を抱えていた。うちわ問題、つまり公職選挙法違反容疑で刑事告発された松島みどり法務大臣、在特会との関係が囁かれる山谷えり子国家公安委員長、女性活躍担当大臣なのに超保守的な思想で共働き世帯を暗に批判してきた有村治子大臣。さらに、この2人と高市早苗総務大臣が靖国神社に参拝して物議をかもしてもいる。

そんな中、最も女性の共感を集めやすいと思われた小渕大臣の政治資金問題については私自身が追及の口火を切ってしまったので、こういう結果になって実に複雑な思いである。小渕氏は二世議員というアドバンテージはあるものの、子育てをしながらも若くして大臣に就任し、今回は経済産業大臣という重要ポストに任命された。日本初の女性宰相になるかもしれないという声も出ていた。16日木曜日の参議院経済産業委員会では、渦中の再生可能エネルギー接続申請回答保留問題について小渕氏と政策論争を交わすつもりで前夜まで準備に明け暮れた。

しかし、前日夕方から政治資金問題の報道がネットで流れ始め、野党第一党の議員としてこの問題を避けて通れなくなってしまった。さらに当日朝、主要各紙が一斉に報道したのを受けて、党からも指示が出た。「政治には反射神経が必要」と言われる所以だ。ただ、国民の前で真摯な政策議論が出来なかったことは残念至極である。

政治資金収支報告書において後援会主催の観劇の収支に乖離があり、補填であれば公職選挙法違反、虚偽記載であれば政治資金規正法違反に問われる。また、公私混同と見られても仕方ない高額贈答品の数々。ジュン・アシダブティックの60万円以上の領収書や、靴以外売っていると思えない婦人靴売り場や子ども玩具売り場のレシートをもって贈り物だと言われても、俄には信じ難い。お世話になった方々に御礼をするとしたらせいぜい菓子折というのが私達、普通の政治家の感覚だ。

現時点では国民に納得して頂ける説明が出来ないということで速やかに辞任の判断をされたのはさすがに賢明だ。課題の山積する経済産業行政に支障を来さないように、また安倍内閣への打撃を最小限に抑えるためにはそうするしかない。しかし、第三者機関の調査結果次第では大臣辞職だけでは収まらない事態も想定される。安倍総理の任命責任も追及しなければならない。

私が最も懸念するのは、「すべての女性が輝く社会」のシンボルが崩れた今、安倍政権が女性政策の優先順位を後退させてしまいかねないことだ。これまでも評判の悪い特定秘密保護法や集団的自衛権についてはなるべく触れないようにする傾向が見られるし、アベノミクス、特に三本の矢という表現は最近では殆ど使わなくなってきた。

民主党が考える女性政策は当初から安倍政権とはアプローチが真逆だ。いろいろな立場で頑張っている女性に対し、上から目線で「輝け!」と鼓舞するのではなく、社会の底辺で必死で頑張っている女性達を底上げすること、またワークライフバランスを崩し子育てと仕事の両立で疲れ切っている女性達に手を差し伸べることこそが、「すべての女性が輝く社会」の実現のための「急がば回れ」である。

野党第一党として、不適切な閣僚の追及はせざるを得ないが、本当にやりたいのは多様性を受容する寛容な社会の実現だ。今回の辞任の余波で世論までも女性への期待値を下げてしまわないように願うばかりである。

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