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リベンジポルノ対策立法からプロバイダ責任制限法

リベンジポルノに的を絞った刑事罰規定を立法しようという動きが具体化した。

リベンジポルノに懲役3年=今国会に法案提出へ-自民
撮影対象者が特定される方法で性的画像を不特定多数に提供するなどの行為を「公表罪」と位置付けるというのだが、議員立法では内閣法制局のチェックが入らない。要件が狭すぎれば意味が無いし、広すぎれば思わぬ弊害につながる。慎重に考えてほしいものである。

また・・・

プロバイダーが被害者から画像削除の申し出を受け、発信者に削除への同意を照会した後、7日経過しても不同意の連絡がない場合には削除できるとするプロバイダー責任制限法の特例を設け、照会期間を2日に短縮する。

プロバイダ責任制限法については、かねてから発信者の利益に傾斜しすぎているという批判があるが、少なくとも刑事的にも違法な情報についてはプロバイダが迅速に削除する方向で、色々と工夫が積み重ねられているところである。

ここで問題となっている規定は、有名な発信者情報開示請求に関する第4条ではなく、第3条、それもプロバイダが削除しなかった場合の責任ではなくプロバイダが削除した時の責任制限規定である2項である。

2  特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

一  当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。

二  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下この号及び第四条において「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

リベンジポルノの場合、二号のような発信者への照会によることなく、一号に当たるとして即座に送信防止措置をとることができるのではないかという疑問があるが、その判断をプロバイダの責任においてすることが嫌なので、結局削除されないという弊害が生じてきている。
そうすると、一号の方、つまり削除しなかった場合の責任制限で、「他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由」があったかどうかが問題となる。
盗撮であることが明らかな状況であればともかく、単に裸の写真や動画というだけでは権利侵害と認めるべきとは言いにくいし、それもリベンジポルノの場合は仲睦まじいときに撮られた、自ら進んでカメラに向かっているように見える写真や動画であるから、その存在自体が権利侵害だとはなかなかいいにくいであろう。

そういうわけで、削除はされないことが多く、被害を広げるということになる。

従って、上記の2号をより迅速にするというのは正しい方向だ。
しかし、もともとノーティス&テイクダウンというのは、被害申告があればとりあえず送信防止措置をとり、反論があれば復活させ、後は発信者と被害申告者との間の紛争解決に委ねるというものである。
上記の立法論でもまだ生ぬるく、被害申告があれば、権利侵害の可能性が認められる限り、とにかく一旦公開を停止して、その後に発信者に照会して1ヶ月くらいの反論の機会を与えるというのが正しい立法論である。

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