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社員が会社を辞めるのは自由なのに、転職社員をNIKKEIで罵倒し、魅力のなさを公言してしまった藤田晋氏の器

NIKKEIネットにこんな記事が載っていて思わずぶっとんだ。
「私が退職希望者に「激怒」した理由 (藤田晋氏の経営者ブログ) 」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77749270Q4A930C1000000/

記事の趣旨は社員数3000人を超えるサイバーエージェントでは、社員が辞めることなど日常茶飯事でありいちいち怒ったりはしないが今回は怒ったという内容。

なぜ怒ったのかというと

理由1
その若い社員に新事業の立ち上げという責任あるポジションを任せていたにもかかわらず、突然アルバイトを辞めるかのように放り出されてしまった

理由2
その若い社員は以前、会社に億単位の損失を与える失敗をしたことがあったが、再度チャンスを与えたにもかかわらず、投げ出されてしまい、「挑戦した敗者にはセカンドチャンスを」という価値観を維持するのが危ぶまれる

理由3
転職が「競合からの引き抜き」だったから

ということだ。

いや~、気持ちはわかるけどどうなんだろう。社内で激怒する分には構わないけど、この激怒した内容をNIKKEIネットに載せて、「私が激怒したという噂は社内を駆け巡り、その効果は絶大」「会社としての価値観や姿勢を見せるための「一罰百戒」は、経営していく上で必要」と締めくくるのは申し訳ないけど明らかな勘違いじゃないのか。

確かにこの記事を読む限り、一度、過去に大失敗をしたにもかかわらず、チャンスを与えたのに、途中でプロジェクトを投げ出し、よりにもよって、競合他社に行くなんて許せないという気持ちはわかる。

でも社員が会社を辞めるのは自由。こんな社員がこの先まともなビジネスマンになれるかは微妙だと思うけど、辞めるのは社員の自由であって、NIKKEIネットを使って、この社員の退職・転職を罵倒するのを「よい経営をした」と思っているなんて、よほどの老いぼれ経営者としかいいようがない。

こんな経営者がいるサイバーエージェントってやばいんじゃないの?
こんな魅力のない経営者のいる会社ってやばいんじゃないの?
と宣伝しているようで、逆に心配になってしまう。

なぜこの社員はプロジェクトを放り出し辞めてしまったのだろう。ようは経営者にも企業にも魅力がなかったからだ。引き抜きの会社の方が魅力的と判断したからだ。もっといえば、こんなことで社内だけでなく、社外のメディアを使って罵倒するような経営者だから、会社を辞めて正解だったと思っているのではないか。

まるでふられた彼女に対する恨み節を切々と語る記事だけど、そもそも「億単位の失敗をしたのにセカンドチャンスを与えてやった」と恩着せがましく思っているのは経営者だけであって、当の社員はそんなこと、まったく思っていないのかもしれない。だから辞める。

いかにサイバーエージェントないし藤田晋氏に魅力がないかを、宣伝してしまっている記事にもかかわらず、それに気づかず、むしろ怒ったことが経営者の英断とでも思い、NIKKEIネットに載せてしまった背景には、こうしたことを書けば、「若い社員は企業への忠誠心がない!けしからん!」と共感してくれる老害読者が日経新聞には多いと思ったからだろう。

社員に一生忠誠を尽くしたいと思う会社なのか。終身雇用で一生面倒を見てくれる会社なのか。競合他社に比べてしかるべき待遇やポジションを与えていたのか。魅力ある会社だったら、競合他社の引き抜きに、途中で事業を投げ出して移ってしまう社員なんていないはず。

そもそもそんな社員を育ててしまったのはどこの誰かという話だ。

それにしてもネットっておもしろい。本音を隠さずこうした発言がメディアに掲載され、発信者の器が如実にわかってしまう。

もちろん藤田氏の考えに同感だという人もいるだろうけど、私はこの記事を読んで、「企業としても経営者としても魅力がないことを公言する記事が、経営自慢になると勘違いしてしまってネットに載せてしまって大丈夫かな」と、あまりのおもしろさに心配になってしまう。

結局のところこの記事は、「競合他社に引き抜かれておもしろくない」という愚痴にしか過ぎない。

ちなみにプロジェクトを途中で投げ出されて会社を辞められるのが困るのなら、社員じゃなくフリーランスを使えばいい。社員はいつ辞めようが勝手だが、フリーランスは業務委託契約に基づき、頼まれた仕事を途中で投げ出すようなことはしない。


■関連記事
日経新聞で退職した社員を罵倒するサイバーエージェントの藤田社長が正しすぎる件について。

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