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内閣改造の成否は、実はこの大臣にかかっている

第二次安倍晋三改造内閣が発足した。出足は順調のようだ。早速、新聞各社は世論調査をしている。内閣支持率はどうか見てみよう。

読売新聞は、64%で改造前の51%から13ポイントも上がっている。日経新聞も11ポイントアップの60%。朝日新聞は5ポイント上昇で47%だが、おおむね好感をもって受け止められているようだ。過去最多5人の女性が閣僚入りしたこと、そして党役員、閣僚の布陣の厚さが受けたのだろう。

さて、閣僚人事についてだが、石破茂さんの地方創生大臣就任が注目を集めている。だが、僕は厚生労働大臣に就任した塩崎恭久さんに注目している。

塩崎さんは、自民党きっての切れ者だ。そして安倍首相とも仲がよい。第一次安倍内閣では、官房長官を務めたほどだ。ただ、このときの塩崎さんは「切れ者」すぎた。疑問に思うことや曖昧なことは、とことん突き詰めた。官僚の間違いは徹底的に指摘した。矛盾や弱点を容赦なく突き、完膚なきまでに論破してしまうこともあった。

これはもちろん必要なことだ。だが、人心を掌握するという面では非常にまずかった。とくにエリート意識の強い官僚に嫌われたのだ。官僚から情報が上がってこなくなった。あるべき資料がない、と言われれば、どれだけ頭が切れる人でも何もできない。

その後、塩崎さんは野党を経験する。与党に復帰してからも、2012年の第二次安倍内閣では入閣できなかった。ここで塩崎さんは、ひと皮むけた。

今年の5月、「日本再生ビジョン」を自民党は発表した。70ページにもおよぶ分厚い冊子だ。塩崎さんは、実質すべてひとりでこの冊子をまとめたのだ。彼はここで、ドイツのシュレーダー前首相の改革を取り上げ、「今まさに、『日本版シュレーダー改革』ともいうべき、包括的な改革を行わなければならないのではないか」と記している。

シュレーダー首相の改革については、以前このメルマガでも紹介した。1990年代に「欧州の病人」と呼ばれていたドイツを、雇用・税制・企業制度等を徹底的に見直すことで、欧州一の「健康体」に導いた改革だ。もちろん、改革は多くの国民の「痛み」を伴うものだった。

塩崎さんは、これと同様の改革をしようというのだ。ドイツ国民と同じように日本国民も、「痛み」に耐えなければならない、と。ただ、そこは直接的な表現をおさえて、絶妙にまとめている。僕はこの文書を読んで、「ああ、塩崎さんはひと皮向けたぞ」と実感したのだ。

塩崎さんは、いまも安倍首相と非常に親しい関係を保っている。厚労大臣として塩崎さんは、日本にとって非常に大きな課題に立ち向かっていかなければならない。膨大に膨れる社会保障を見直して歳出を抑えること。そして労働人口をどうやって増やしていくかということだ。僕は、いまの塩崎さんならやり遂げられるのではないか、と感じている。

人口の問題は、地方自治の問題とも密接に関係している。そこは、地方創生大臣の石破茂さんとうまくタッグを組んで、抵抗勢力に立ち向かってほしい。塩崎さんも石破さんも、ともに非常に勤勉であり、政策通でもある。彼らなら、いままで誰も手を着けられなかった大胆な改革を断行できるのではないか、と僕は期待しているのだ。

塩崎さんには、人に嫌がられることを恐れず、世論に迎合しないことを貫いてほしい。シュレーダーの改革が認められたのも、さまざまな抵抗にあって、彼が失脚した後のことだった。塩崎さんは、その覚悟をもって進んでほしいと願う。

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