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「自分の作品に対する思い入れ」なんてゴミ箱に捨てちまえ

先日書いた著作権に関する話から少し派生して、クリエイター論を。

パクられても怒らないのはクリエイターとしておかしい?

下記は先日ヨッピーさんという方からいただいた文章なんですが、スタンスがぼくと真逆で面白いなぁと。怒りが伝染しないように気をつけてお読みください。

結局、こういう事態に対して「怒らない」っていうのはそれだけ自分の「作品」に対する思い入れが無いからじゃないの。

僕は記事書くってなったらカメラマン連れて何時間も撮影して記事に落とし込んで、ってやるし、ARuFaくんなんてアホと言えばアホだけど記事書く為に怪我したり体調崩したりしながら書いてるわけじゃん。

言っちゃえば貴方の記事なんて9割がたがコタツに入ったまんまでも2時間で書ける「コタツ記事」なわけでさあ。

そりゃコタツ記事をパクろうとする人なんてあんまり居ないだろうし、手軽に書ける簡単な記事だからパクられても怒らないんじゃないの。

そこはクリエイターとして怒って行こうよ。ねえ。

イケダハヤト氏が全クリエイターに対して宣戦布告を開始 - ヨッピーがブチ切れまくるブログ

ヨッピーさんは「自分の作品だというこだわり、強い思いがあるのに、パクられたときに怒らないのはおかしい。怒らないということは、労力を割いていないからだ(コタツに入って記事を書いているからだ)」と主張しているわけですね。なるほど。

とりあえず、「制作にあたっての物理的・金銭的なコストと、その創作物の価値は比例しません」という一言で、コタツ記事云々に関する批判は流しておきましょう。

…というのは不親切ですかね。うーん、そうですね、わかりやすくいえば、太宰治とか芥川龍之介とか、コタツに入って制作してたんじゃないですかね。ゴッホでもワーグナーでもいいんですが。

あと、ぼくはけっこう足でネタ稼いでしまってます。むしろ最近は、もっとコタツに引きこもらないとダメだなぁと危機感を抱いてます。外に出ればいいものができるわけじゃないので、どんどんコタツ記事を増やしていきます!

さておき、ここで取り上げたいのは「こういう事態に対して「怒らない」っていうのはそれだけ自分の「作品」に対する思い入れが無いからじゃないの」という一言。そうそう、ぼくはここ、真逆なんですよ。

「自分の作品に対する思い入れ」なんてゴミ箱に捨てちまえ

というのも、自分の作品に対する思い入れ、『この作品は自分が作った』という矜持なんてのは、即座にゴミ箱に捨てた方がいいと考えているからです。

わかりますか。そんなものを持っているクリエイターは、結局自分のエゴから抜け出すことができずに、普遍的な作品を残すことができないんです

クリエイターは「外部からの刺激」を受けて、何かの創作物を捻り出す存在です。

その意味で、まずわかりやすいところでは、どこまで本当にそれが「自分のオリジナルなのか」を問いただす必要があります。

どんなクリエイターも、無数の他人の影響を受けて、今があるんじゃないでしょうかね。金銭的な利害はさておいたとしたとき(ここ重要)、「この創作物は俺の完全なオリジナルだ!」と語るのは、傲慢だと思うんですよね。押しつけるつもりはないですけどね。

また、何より、そういう個別性にこだわっている人の作品は、普遍性を持ち得ないとぼくは考えます。

優れた創作活動というのは、「たまたまここにいる私が、なぜか天啓を受けた。だから、私がこのメッセージを伝えなければいけない」というモチベーションから発生すると思うのですよ。

これは感覚的なのでモノ作りをしたことがある人にしかわからないかもしれませんが…。「この俺が、誰もやったことがないオリジナルな何かを表現してやろう!」と構える人からは、結局小さな視座のものしか生まれないんです

その観点から言って、大ベストセラー作家であるエリザベス・ギルバートのTEDトークはとても面白いです。ぼくも大いに影響を受けています。軽く編集して引用します。

(創作のストレスに対する)対処法の現代におけるお手本は、ミュージシャンのトム・ウェイツです。彼の人生は、典型的な苦悩する現代アーティストでした。扱いにくい創作の衝動を制しようと苦心していました。

歳をとり、穏やかになり…ある日 L.A.のフリーウェイを走っていて、全てが変わりました。飛ばしていたら、突然、頭に曲の断片が聴こえてきた。とらえ難くもどかしい閃きとして…。待ち望んだ瞬間なのに、紙も鉛筆もないんです。テープレコーダーもない!

いつもの焦燥に駆られました。「これを逃したら、一生悩まされる」「俺はダメだ、もう無理だ」。

慌てる代わりに、思考回路を止め、斬新な行動に出ました。空を見上げ「なあ、運転してるのが分からないのか?」「今、曲が書けるとでも?」「書いてもらいたきゃ、出直して来いよ、面倒見てやれる時に!」「でなけりゃ、他所をあたってくれ。レナード コーエンにでも」。

彼女は創作活動に伴うストレスの対処法について語っているのですが、創作活動というのは、本質的にこういう「突然降りてくる」ものだと思うんですよね。

なぜか私に天啓があって、私はたまたまそれを受信してしまった。だから、私は媒介としてこのメッセージを、私なりのやり方で精一杯伝える」。こういう「無私」と「使命感」から生まれる創作物こそ、普遍性を持ち、歴史に残るものになるんじゃないでしょうか。「俺が俺が」のエゴから、いい作品が生まれるとはぼくには思えません。

もっとも、「無私」と「使命感」で創作活動を行うというのは感覚的な話なんで、そういう体験をしたことがない人には伝わらないとも思います。文章を書いている人とかには伝わりやすいんじゃないかな…。

「自分の作品に対する思い入れ」があるから怒りや不満に囚われる

もう少し具体的な話では、変に「自分の作品に対する思い入れ」があると、メンタル的によくないんですよね。これはエリザベス・ギルバートが言っていることです。

たとえば、「自分の作品に対する思い入れ」がある場合、もしもその作品のページビューが伸びなかったとき、やっぱり「なぜ分かってくれないんだ」とか「俺はまだまだダメなんだ」とか、無力感に駆られてしまうんですよ。

これは大きな間違いですよ。たった一人の人間を、神聖で創造的な謎の本質であり、源だと信じさせるなんて。繊細な人間の心には、少し重荷ではないでしょうか?太陽を飲め、と言うようなものです。歪んだエゴでしょう。

それが作品への過剰な期待を作り、その期待へのプレッシャーが、過去500年、芸術家たちを殺してきたんです。

ぼくらクリエイターは媒介に過ぎません。単なる媒介であることを忘れ、歪んだエゴを持つのは危険です。彼女が指摘するように、怒りに囚われ、不安に囚われ、最悪、死に向かうことになります。

まとめ

ちょいとわかりにくくて感覚的ですが、まとめ。

  • 創作というものはそもそも完全なオリジナルではありえない。
  • 「自分が創った」というエゴからは、真に普遍的、歴史的な作品は生まれないとイケダハヤトは考えている。
  • 普遍的な創作物とは「なぜか私に天啓があって、私はたまたまそれを受信してしまった。だから、私は媒介としてこのメッセージを、私なりのやり方で精一杯伝える」という態度から産まれるとイケダハヤトは考えている。
  • 実際的なところでは、「自分の作品に対する思い入れ」が強ければ強いほど、怒りや不安に囚われ、メンタル不調を引き起こす危険が高まる。
  • 「自分の作品に対する思い入れ」なんてゴミ箱に捨てちまえ!

なんてところですね。ロックに締めてみました。

この記事自体も、ぼくのオリジナルというより、ぼくが色々な刺激を受けて、たまたまぼくが捻り出した文章です。こういう記事を書くとき、ぼくは単にパソコンの前に座っているだけであって、ぼくではない何かが、勝手にキーボードを叩いているような感覚すらあります。普遍的な記事になるかはわかりませんけどね…。

【関連記事】
イケダハヤト氏が全クリエイターに対して宣戦布告を開始 ‐ ヨッピー
コンテンツを「パクる」のは、なぜいけないの?教えておじいさん! ‐ イケダハヤト

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