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大学生の皆さん「ブラック企業」だけじゃなく、「ブラックバイト」にもお気をつけ下さい

high190です。

違法で過酷な労働を従業員に強いる「ブラック企業」という名称は、すっかり世の中に定着した感があります。毎年「ブラック企業大賞」なんてものも発表されていますしね。*1大学職員にとっては学生の就職活動を支援する上で、どんな形で労働者に過酷な労働を強いる企業がブラック企業なのか?などを基礎知識として知っておくことが必要だと思います。

そういった意味で、労働相談を中心に活動する若者主体のNPO法人の代表者、大学教員、弁護士などで構成される「ブラック企業対策プロジェクト」が発行している無料冊子*2には、大学職員として目を通しておくべきであることは、以前の記事でもお伝えしました。*3しかし、最近では学生に対して過酷な労働条件を課す「ブラックバイト」と呼ばれる状況が発生していることについて問題が提起されています。

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販売のノルマを達成しないと自費で買い取り、授業や試験の予定を無視したシフトの設定……。そんな理不尽な働き方を学生アルバイトに強いる「ブラックバイト」への対処法をまとめた冊子ができた。全50ページ。7月からインターネット上で公開されており、無料でダウンロードできる。

ブラックバイトという言葉は、中京大の大内裕和教授(教育学)らが昨年から使い始めた。昨年7月に学生約500人のバイトの実態を調べたところ、長時間労働などの「ブラック化」が明らかになったためだ。大内教授によると、「学生であることを尊重しないアルバイト」が定義で、低賃金なのに、正社員並みの義務や学生生活に支障が出るほどの重労働を強いられることが多いという。背景には、正規雇用の減少に加え仕送りが減って学生が簡単にバイトを辞められなくなったり、辞めるとフリーターとの競合で次のバイトが簡単には見つからなかったりする事情がある。全国で問題化していることを受け、大内教授と「ブラック企業被害対策弁護団」の鈴木絢子弁護士らが冊子をまとめた。まず労働条件や給与明細のチェックが必要とした上で、具体的な事例と対処法を、対応の難易度から初級編~上級編に分けてQ&A方式で解説している。

例えば「希望した日・時間を無視してシフトを組まれる。14日連続勤務のこともあった」という相談には「契約や法律に違反する可能性がある。『何とかしてほしい』と他の人の助けも借りて言ってみよう」などと回答し、労働基準法の規定も掲載した。

また「コンビニでバイトをしている。ケーキ販売がノルマに達しないと、天引きで買い取りさせられる」というケースでは「労働契約とは別の契約になるし、お店側が強制できるものではない」と答えている。冊子では、相談窓口がある各種機関も紹介している。大内教授は「ブラックバイトをやっていても、それがわかっていない学生が大半なのが現状。『何かおかしい』と感じたら、冊子をチェックして声を上げてほしい」。「ブラック企業対策プロジェクト」のホームページ(http://bktp.org/)からダウンロードできる。ブラックバイトを巡っては、8月1日に大学生ら約20人が労働組合「ブラックバイトユニオン」を結成するなど、対抗する動きが盛んになっている。10日には東京都内で対処法を学ぶセミナーも開かれ、約40人が参加した。

「ブラックバイト」の具体例
  • 勤務先の塾では時給が払われるのは授業時間だけ。保護者との面談や会議の時間は時給が払われない

  • 「バイトは有給休暇を取れない」と言われる

  • コンビニで、ケーキ販売がノルマに達しないと天引きで買い取りさせられる

  • 希望した日・時間を無視してシフトを組まれる。テスト前に休みたいと伝えても認められない

  • ※冊子「ブラックバイトへの対処法」から抜粋。実際にあった相談をもとにしている

「ブラックバイト」という呼称を使い始めた中京大学の大内教授は、企業側から見た場合の注意点などに付いても講演を行っていらっしゃるようですね。*4

働く側の人間として、自分を守るための基礎知識を得ることはとても大切だと思いますが、恐らく個々の学生まで支援の手が行き届いていないのが実情なのではないかと思います。上記記事で紹介されている「ブラックバイトへの対処法」ですが、大学での活用方法としては、新入生のオリエンテーションやゼミ毎に教員から周知するなどが考えられます。最近ではインターンシップやコーオプ教育を推進することが重視されていますが、就業体験に加えて労働法に関する知識もしっかり身につけてもらうことは、生きる力を養うためにも必要だと思います。

また、平成24年に公表された中教審答申*5では、大学教育の質的転換のために「学生の主体的な学びを確立し、学士課程教育の質を飛躍的に充実させる諸方策の始点として、学生の十分な質を伴った主体的な学修時間の実質的増加・確保が必要である」*6としています。加えて、学修支援環境の整備についての課題として、答申に先立って実施された学長・学部長アンケートでも指摘された「学生が平日はアルバイト等を行うことなく学修に専念できる環境を整備すべきであるという指摘は、今日的に特に重要」という点を取り上げています。*7

以上のことから、ブラックアルバイトに対しては、学生を違法な労働から守るだけでなく、学修に専念できる環境を整備するという点で大学職員の本業に直結する難しい問題でもあるのです。この点においては、学生と直接的に接する教員の方が問題として捉えているように感じられますが、職員側の受け止め方は今ひとつ軽いように感じられます。学びの充実という点からも、ブラックアルバイトの問題を捉えていくことも、大学教育を担う一員として職員に求められる視点では無いでしょうか。

*1:ブラック企業大賞 http://blackcorpaward.blogspot.jp/

*2http://bktp.org/downloads

*3:昭和女子大学が大学認定の「ホワイト企業」を公表 http://d.hatena.ne.jp/high190/20131224

*4:学生たちを悩ませる「ブラックバイト」の実態―企業が注意すべきことは - 中京大学・国際教養学部教授 大内裕和 http://weban.jp/contents/an_report/repo_cont/pro/20140303.html

*5:新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1325047.htm

*6:質的転換答申 P.11

*7:質的転換答申 P.18

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