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人手不足ではなく、人材育成を怠ったツケだ!

かつて人材余剰に苦しんだデフレ下とは一変し、労働力不足が企業活動に深刻な影響を与えています。ただし、単純に人口減が原因とはいえない。どういうことか……について考えてみます。

「人手不足で倒産する中小企業が増え始めた」という記事が、8月23日付けの読売新聞に掲載されていました。記事には、「職人を探してあちこちに声をかけたが、まったく集まらなかった」として、この5月、会社の清算を決めて全事業を停止した、長野県の建設会社社長の声が紹介されていました。東京商工リサーチの集計では、今年上期に人手不足が原因で倒産した企業は137社で、前年同期に比べ22社増えたとあります。

このままの状態が続けば、労働力不足が景気回復のボトルネックになる可能性もあります。なぜ、このような事態に陥ったのか。指摘されているのが、労働人口の減少です。内閣府は2014年3月12日、2060年に向けた長期の労働力人口予測をまとめました。それによると、約50年で1170万人、労働人口が減るという結果が出ています。

たしかに、労働人口の減少が労働力不足に与える影響は大きいでしょう。しかし、企業は、もっと別の視点から、この問題をとらえるべきではないでしょうか。じつは、そう思っていたところ、一橋大学大学院商学研究科教授の守島基博氏による「人手不足より深刻な人材不足の危機」という論文が、雑誌『プレジデント』(2014.9.15)の「ビジネススクール流知的武装講座」に掲載されていました。

守島氏は、「人材不足とは、単に人手が足りないという数的不足だけを意味するのではない。必要な場面で必要なスキルとモチベーションを備えた人材を確保できない、という質の問題である」と述べています。もう、おっしゃる通りですよ。

労働力不足への対応策として、すでに取り組まれているのが外国人人材です。ロボットやICTの活用にも期待がかかります。ただし、守島氏が指摘するように、「数的不足」を補うだけでは、この問題を解決することはできないと思います。問われているのは、単なる“数合わせ”ではないのです。

あらためて指摘するまでもないことですが、日本企業はこれまで長期雇用を前提に内部で人材を育ててきました。新卒採用した人材を一人前に育て上げるには、膨大な時間と費用がかかりますが、日本企業にはその余裕がありました。そして、高いスキルとプロフェッショナル意識をもった人材を育て、技術大国を築き上げてきました。じつのところ、それが日本の強みでしたよね。

ところが、バブル崩壊後、日本経済が長期停滞期を迎えると、企業は余裕をなくし、人材への投資を怠りました。それどころか、「失われた20年」を過ごすなかで、リストラに明け暮れ、働く人のモチベーションを下げてきました。

いま、企業は、人手不足を嘆くのではなく、人事管理を怠ったツケを反省すべきなのではないか。いま一度、強調しますが、日本企業の強さの源泉は、いうまでもなく人にあります。ところが、日本企業はその競争力の大元をないがしろにした。そのツケは大きいと思いますね。

人手不足を少子高齢化のせいにするのは簡単です。でも、それでは問題の本質から顔をそむけることになります。いまこそ、企業は人手不足ではなく、人材不足に正面から向き合うべきだと思うのです。いかがでしょうか。

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