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わからないことだらけで、ネガティブな思考との闘いだった~大野更紗×麻美ゆま対談・前編~

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大学院に在学中に、自己免疫疾患系の難病を発症し、その闘病体験をまとめたエッセイ『困ってるひと』が20万部を超えるヒットとなった作家・大野更紗氏。2013年2月に「卵巣境界悪性腫瘍」が見つかり、卵巣と子宮を全摘出、抗がん剤治療を経て、現在は芸能活動を再開している麻美ゆま氏。若くして大病を経験した両氏が、それぞれの経験をもとに「女性と闘病」をテーマに語り合った。対談の模様を前後編でお伝えする。(構成:永田正行【BLOGOS編集部】)

最初は受け止められず、「先生、嘘ですよね」と思った

永田:今回のテーマは「女性と闘病」です。健康に日々を過ごしていると、自分が体調を崩した際にどういう状況に陥るか、ということについて考える機会はあまりないと思います。特に、若い方は自分が病気になることを想像しにくいのではないでしょうか。今日は、大野さん、麻美さんのご経験を踏まえて、考えていきたいと思います。

最初から「自分が重い病気だ」と考える人は少ないと思うのですが、病気に気づいたきっかけや、重い病気だと知った時のお気持ちについて麻美さんからお話しいただけますか?

麻美ゆま氏(以下、麻美):私は、2012年の年末ぐらいから、「軟便が続くな」「お腹の調子が悪いな」という感じがあったのですが、重い病気だとはまったく思わず、しばらく様子を見てみようと思っていました。

年が明けても、いっこうによくならなかったんですが、「もう少し様子を見て、それでも治らなかったら病院にでも行ってみよう」と軽い気持ちで過ごしていました。仕事が始まってからも「まだ良くならないな」と感じ、市販の薬なども飲み始めて、その段階でさすがに「これはちょっとおかしいな」と思い始めたんです。

その時は卵巣とか、子宮系、婦人科系の病気とは考えず、「軽い腸炎かな」「消化器系かな」と思っていました。どんどんお腹が張るようになってきていたのですが、それでも「ガスとか便が溜まっているのかな」と自分で勝手に思い込んでいたんです。仕事も忙しくなっていたので、「病院に行かなくちゃ」と思っても、なかなか時間が取れず、「体がおかしいな、軟便が続くな」と思ってから3週間くらい経った頃、やっと病院に行ける日を見つけたんです。

その時は総合診療科の診断を受けて、「最近、腸の調子がおかしくて、腸炎かと思うんですが」と言ったところ、「どうやら消化器系ではないですね」と言われて、レントゲンなどを撮りました。すると、お腹に腹水が溜まっていると言われて、「最近、やせたと言われませんか?」と先生から聞かれました。

「何故、そんなことを言うのだろう」と不思議に思いながら、婦人科に行き、そこで初めて子宮内膜症の疑いがあると言われたんです。まさか婦人科系の病気だとは思っていなかったので、「子宮内膜症って何だろう」と思いました。どちらにしても手術が必要になるので、詳しいMRIやCTを撮って、「1週間後に病院にまた来るように」と言われてその日は終わりました。

家に帰ってネットなどで調べているうちに、「自分は子宮内膜症じゃないのでは?」と疑問を持ち始めました。というのは、先生に「腹水が溜まっている」「やせたのでは?」と言われたことが、心の中ですごく引っかかっていたんです。また、お腹も張っていたので、それを検索ワードにして調べていきました。「腹部膨満感」「腹水」といったキーワードで調べると、「卵巣ガン」という言葉がネットでどんどん出てくるようになって…。もしかしたら、卵巣ガンかもという気持ちで、1週間後に病院に行きました。そして、その時初めて「卵巣ガンの疑いあり」と診断されたんです。

永田:卵巣ガン自体は、非常に見つかりにくい病気と言われているそうですが、お医者さんからもそういう説明でしたか?

麻美:定期的に婦人科検診に行っていたのですが、その時に「卵巣が少し腫れている」と言われたことがありました。でも、卵巣が腫れること自体は珍しいことでもないし、ほとんどが良性のものなので、「時間のある時に病院に行って下さいね」という程度のことだと、私が勝手に解釈していました。それで珍しいことではないと思っていたのですが、先生からは症状が出てから病院に行く人が多いらしく、どうしても進行してしまったり、見つかりにくいとは言われました。

永田:最初、診断を受けた時は、どのようなお気持ちでしたか。

麻美:自分は子宮内膜症の疑いがあると言われていたので、手術すればよくなるという程度の気持ちでした。まさか「卵巣ガン」とか「悪性の疑い」という言葉を自分が受けるとは想像もしていなかったので、「先生、嘘ですよね」と。最初は、受け止められなかったです。

また、「子宮と卵巣を全摘出しなければいけない」と最初の診断で言われました。自分はもしかして卵巣ガンと言われるかもしれないと思って診断を聞きに行ったのですが、全摘と言われるとは思っていなかったので、そちらの方がショックでした。自分の体に起こっていることですが、自分の目で見たわけでもないので、「これは嘘なんじゃないのかな」とか、「誤診であってほしい」という気持ちで、何軒か何食わぬ顔をして違う病院に行ったりしました。やっぱり受け止められなかったですね。

永田:どれくらいの期間をかけて受け入れて、改めて治療に向かって行こうという気持ちになってきたのでしょうか?

麻美:期間は……「ずっと」ですよね。診断された時に、仕事のスケジュールも白紙になって手術や治療に向けての準備が始まっていたので。今まで考える時間というか、仕事で忙しく過ごしていたので、何もしていない時間があると、悪いことを常に考えてしまうんですよね。この先、自分はどうなってしまうんだろうと、「ずっと考えていた」という感じですね。

永田:ドラマや小説では「これをきっかけに…」みたいになりますが、現実には葛藤しながら治療に向かって行くことになるんですね。

麻美:わからないことだらけだったので、この先、自分はどういう治療をするのかとか、 ネガティブなことばかり考えてしまうんですよね。そうしたネガティブな思考との闘いみたいなものは、すごくありました。

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