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スマートニュースとグノシーのテレビCM対決に見る、いかに日本のテレビCMが効率的な認知獲得手段かという現実

先日、グノシーとヤフトピに関する記事をブログに書いた後、次はスマートニュースがグノシーに比べてテレビCMもうってないのに着々とユーザー数が増えてて凄い、というような記事を書こうと思ってたんですが。
 その矢先に、スマートニュースがテレビCMを開始して、あっさりボツになったので(苦笑)。
 違う視点の記事を書いておこうと思います。

 まぁ、今月ネット業界的にインパクトが大きかったのはなんつっても、このニュースでしょう。

スマートニュースがグリー、Atomico、ミクシィなどから約36億円の資金調達
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 グノシーが24億円調達したのも話題になりましたが、きっちり1.5倍の資金調達で上回ってくるのがなかなか興味深いです。
 これ明らかに意識してますよね?考えすぎですかね?

 今回の資金調達はリード投資家がスカイプ創業者のニクラス・ゼンストローム氏のアトミコということもあり、スマートニュースの海外展開にも期待が膨らむわけですが。
 当然、今回の資金調達の一番の目的は、ライバルであるグノシーのテレビCM攻勢に真正面から対抗することでしょう。

スマホニュースアプリの戦いについては以前日経MJに「利用者300万越えも スマホニュース、覇権争奪戦へ」というコラムを書いたことがありますが、完全に仁義なきトップ獲得競争に突入している印象です。

 おそらくこの戦いは、ビーチフラッグ競争よろしく、1位のフラッグを取れたプレイヤーが非常に大きな成功を手にして、2位や3位のプレイヤーはそこそこの成功という結末になる可能性が高い戦いです。

 そのゴールがヤフーのようなポータル化なのか、あくまでニュースアプリのオプションとしてヤフーとかLINEとかに買収されることなのかは別として、今は複数のアプリがドングリの背比べで競っている市場でも、最終的に1位と2位では大きな差がつく可能性が非常に高い領域であると考えられます。
 実例としてはポータルトップのヤフーと、それ以外のポータルの差を考えてもらえれば分かりやすいでしょう。

 そういう意味で、ライバルのグノシーが大量のテレビCMを展開して一足先に450万ダウンロードを獲得し、ダウンロード数トップの座を奪おうとしているのを、スマートニュースとしても黙ってみてはいられないという展開なのかなと拝見してます。

 正直な印象としては、このアプリ同士の戦いの本質は単純な「ダウンロード数」ではなく、その後ちゃんとダウンロードした人が使い続けているかどうかの「アクティブユーザー数」で見るべきと個人的には思ってますが、現状はシンプルにダウンロード数をお互いアピールしてますから、それを増やすためにはとにかくテレビCMで大勢の人に知ってもらいダウンロードしてもらう、というのが勝利の方程式となっている印象です。


 で、やっぱり日本ならではだなぁと感じるのが、スマホアプリの戦いなのに主戦場がスマホやネットではなく、テレビCMになってしまうところ。
 
 ソーシャルゲームの時もグリーやDeNAがテレビ広告出稿量トップ5にランクインして話題になりましたが、日本においてはやはりネットのプレイヤーもスマホのプレイヤーもテレビCMを使うのが王道になりつつあるんですよね。

 インターネットの黎明期こそ、大橋巨泉を起用してテレビCM展開をしたJside.comをはじめとして、テレビCMはネットサービスの促進には効率が悪いという失敗事例が数々あります。

 2004年~2005年頃にもGMOグループが9199.jpという検索サービスのプロモーションに10億円を投じたり、Ask.jpが宇宙戦争のテレビCMをうって話題を呼んだものの、サービスは離陸せず、というケースがありましたから、10年前ぐらいまではまだネットのサービスとテレビCMは相性の悪さが強い印象があったと記憶してます。

 でも、いまやそんな歴史は綺麗に塗り替えられましたよね。
 グリーやDeNA、パズドラやモンスト等のソーシャルゲームの成功は間違いなくテレビCMのおかげですし、LINEが初期にライバルを一気に引き離すことに成功したのもベッキーのテレビCMが利いたからと言われてます。
 

 日本ではあのグーグルもテレビCMの常連ですし、米国ではKindle以外ではテレビCMを打たないことで有名なアマゾンも日本でファッションカテゴリー新設の際にテレビCMのキャンペーンを展開してました。

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 PCユーザーとテレビ視聴者の相性の悪さが、スマホになって完全にテレビ視聴者とシンクロするようになったということでしょうか。
 今や日本のネット事業者にとってテレビCMは当然の選択肢の一つになりつつある印象です。

 まぁ、アクティブユーザー数とか考えたらグロースハッカー的な視点も当然大事だとは思うんですが。
 ダウンロード数だけ増やそうと思ったら、テレビCMでドカーンとやった方が手っ取り早いんですよね、日本の場合。
 なんだかんだネットで100万人にクリックさせようと思ったら1クリック100円でも100万×100円で1億かかりますし、なんといっても時間がかかります。

 そういう意味では、テレビCMで一気に認知させることができるというのはマスを対象にしているビジネスにおいては非常に魅力的なわけです。


 でも、この話をシリコンバレーとかから来た人とかに話すと、一様にみんなビックリするんですよね。
 ネットで低コストでユーザーを大量に獲得できるから成功してきたネット側のプレイヤーが、日本では軒並み大金払ってテレビCMに頼っているわけですから。
ブライアン・ソリスさんにインタビューさせてもらったときとかも、この話をしたらビックリされてたのが印象的でした。)

 いかに日本と米国のマーケティングを巡る環境が違うかを象徴する逸話のように思います。

 そういう意味で、私自身もアンバサダープログラムという地道なソーシャルメディアユーザーとのリレーション活動を推奨する側の立場でありつつも、日本ではマスとの組み合わせを常に考えないといけないと日々痛感させられてますし。
 ネスカフェアンバサダーみたいな、日本ならではのアンバサダープログラムとテレビCMの両方を上手く組み合わせた仕組みというのを考えるのが必須だと思っているわけです。
 


 で、個人的に注目したいのは、はたしてこのテレビCMがネット系スマホ系の事業者に重宝されるという現象が日本だけの特異な現象で終わるのか。
 世界的にもスマホが浸透してくるとテレビCMの価値が再び上がってくるのかという点です。

 米国なんかはそもそもCATVが普及してたり、ビデオオンデマンドが普及しはじめてたりするみたいなので、同時に大勢の人にCMを見せるという手段自体が減りつつあるんだとは思いますが。
 一方でカンヌで話題になるのはスーパーボール関連の施策であることが非常に多い印象ですし、ソーシャルテレビの最新事例なんかを聞いてると、やはり同時に大量の人に同じ情報を見せることができるテレビの価値というのは大きいなと再認識しています。

 海外のスマホアプリプロモーション事情に詳しい方がおられたら、是非最近の動向を教えて頂けると幸いです。


 ちなみに、長年のスマートニュースのユーザーとしては、およそスマートなアプリのイメージでは無いダジャレのCMにちょっと悲しくなってしまったりもするわけですが。

 グノシーも、インテリエンジニアによる自動ニュース発見システムから、3分簡単ニュースに舵を切ってますし、テレビCMで一般視聴者に興味を持ってもらうにはやはりこういうカジュアルな身近路線に展開するのは王道なんでしょうね。

 そういう意味では、最近はすっかりスマートニュースとグノシーを卒業して、今更ながらNewspicksにはまりつつあるんですが、長くなったのでその話はまた別の機会に。

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