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角界の八百長問題はスポーツ興行全体の問題として認識するべき

 相撲は真剣勝負であると同時に興行なので、どうしてもこの手の問題がつきまとうのであるが… まあ、現場でやってる力士がメールでやり取りしてたら当然こうなるよね。

力士の文面に「まっすぐ突っ込んでいくから」 「20」「30」は勝ち星の金額か
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110202/crm11020212510011-n1.htm

 昭和の時代は暗黙のネタで済んでいたものが、平成の世になって社会に余裕がなくなると、袖の下に何か鎧でも見えると大騒ぎする風潮というのはどうしても出てくるものなのだろうと。いや、八百長は良い、許せ、と言っているわけではないですよ。でも真剣勝負であるはずの大相撲が、とか、裏切られた、とか言っている人たちは、相撲に限らず興行の歴史を知らないのではないかと思うわけです。

 数理学をやっている海外のファンドが、日本の競馬の勝率が統計的に歪んでいる(=操作されている)ことを割り出し、膨大な投資回収をやっていたりとか、基本的にブックメーカーが絡むものは過去のトラックレコードから出される勝率に一定の法則があり定期的に再現される相場では異常な勝ち方をします。

 では日本の競馬界だけがおかしいのかというともちろんそうではなくて、その社会それぞれの興行があり賭け事があり、そこには風習やしきたりがあって、さまざまな暗黙の諒解がある。当然、大きな賞がかかる賭け事では不正は起きえないけど、下っ端でやっている層はどのような賭け事であれ生活がかかっていて、お互いに星を融通しながら生きているのもまた事実で。

 繰り返すけど、八百長はいいと言いたい訳ではありません。ただ、常識的に考えて選手寿命があり、20代にピークを迎えて30代には引退を余儀なくされるスポーツで、全員に成功が保証されているわけではなく、ユニフォームを脱いだりまわしを取って髷を切ったらただの人以下になってしまう世界が、世間一般で常識とされるようなルールで回っているわけがないじゃないですか。

 だいたい、相撲に限っているならばデブが年中デブ相手に全力で戦い続けていたら、常識で考えてどんなに頑健であったとしても身体がボロボロになってしまいます。途中で勝ち越したら星を譲る、というようなことが暗黙の諒解として日常的に行われていたとしても、私は「まあ、お互いに生活がかかっているんだから仕方がない部分もあるのではないか」と思ってしまいます。

 そんな角界で、昨今「八百長問題も出たので、公益法人として廃止に」というような議論があるようですが、個人的には反対です。星の貸し借りなんて、今回のメールで出ようが出まいが、いままでずっとみんな知ってたことじゃないですか。暴力団が相撲賭博で稼いでいたことのほうがよほど問題であって、八百長はむしろ煙幕で使われているんじゃないかとすら思います。いまさら「相撲って八百だったのか! いままで信じてた!」という奴のほうがフラワーだろうと。

 むしろ、興行であるという側面を重視するならば、ノアとか、みちのくプロレスとかを積極的に公益法人化させて、角界を交えた団体戦を国家主催でやればいいんじゃないかと考えます。あるいは、柔道のようにしきたりをルールにしっかり置き換えて、海外へ向けて国技を開放して国技館でワールド相撲カップをやるような、そのぐらいの規模感で八百長を排除するぐらいしか、真面目に考えれば方法はないような気がします。

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