記事

飛行機撃墜を巡るオランダのジレンマと「国力」

 『読売新聞』が掲載していた「もうたくさんだ介入を…撃墜で対露反発強める蘭」という記事がいろいろ興味深ったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 「マレーシア航空機撃墜事件で190人以上の犠牲者を出したオランダで、ロシアに対する反発が強まっている」という記事です。

 しかし、その一方で、「オランダにとってロシアは欧州や中国に次ぐ5位の輸入相手国。制裁強化は、自国経済にも打撃を与えかねないというジレンマも抱え」ています。

 「オランダ最大のロッテルダム港の貨物取扱量のうち、ロシアは約15%を占めるほか、租税回避でオランダに拠点を置く露企業も多い」という現状もあります。

 そのため、オランダ人には「『真相究明のため、ロシアには厳しい対応をとるべきだ』と憤りつつ、こう付け加えた。『オランダは小さな国。他国と協力して解決策を探るしかない』」という意見を持つ人もいるという話です。

 ただ、そうはいっても、「九州ほどの面積に約1600万人が暮らすオランダで、事件の衝撃は大きく、強硬策を促す声もくすぶ」っており、「地元紙テレグラフは『もうたくさんだ 介入を!』との見出しで、北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ東部への介入を訴えた」そうです。

2 国力

 こうした国際政治の現実を見るとどうしても国力というものを考えてしまいます。実際、発展途上国に生まれたか、先進国に生まれたかで全く命の重さが違う現実があり、乳幼児の生存率からして、国より全く異なります。

 同じ「パスポート」と言ってもどこの国のパスポートかによって全く価値が異なりますし、外国に行った際の待遇も異なるのが現実です。

 こうした個々人レベルでの話だけでなく、国が何かをしようとするときに、どこの国が言ったか(何をしようとしているか)によって全く結果が異なり、同じことをしようとしても、小国なら相手にされないこは数限りなくあります。

 また、アメリカのダブルスタンダードはいちいち指摘するまでもなく、現在ガザ地区であれだけひどいことをしているイスラエルの人権侵害に目をつぶっている現実があります。

3 小国

 今回のロシアの問題についてもクリミア併合という行動に出ながらも有効的な手段がとれないのは、ロシアの影響力が大きいからですし、中国の人権侵害についても国際社会が何ら効果的なことができないのも同じ理由です。

 では、小さい国はどうするかという話になるわけですが、正直、1国では太刀打ちできない以上、数の力であたるしかなく、如何に自分の味方を増やすかという話になります。

 今回の撃墜事件についても同様で如何に証拠を集めて、EU諸国の協力を得ることができるかということがカギとなってきます。

4 対中国

 日本が中国に対抗するときも基本的に同じで、日本1国であたるのではなく、常に味方を作ることが最善の策となります。

 できればその味方に中国をいろいろ批判してもらいそれを側面援助することができれば、矢面に立つこともなく、一石二鳥ですが、少しムシのよすぎる話かもしれません。

 中国では、「中国封じ込め」論が盛んに論じられておりますが、私的には別に中国を封じ込める必要はなく、常に(日本の正当性を認めてくれる国と)2ケ国以上で中国にあたるようにしておけば、かなり効果的だと考えているという話です。

 中国的には日本を「軍国主義」で、かつての「侵略行為」を反省していないので、アジアから嫌われているというストーリーが大好きなので、日本は孤立していないことを見せることが大事だと話でもあります。

5 最後に

 その点、一諸に日本を攻撃してくれる韓国は中国にとって、とても便利な国となるわけですが、いい加減この組み合わせには飽きてきており、賞味期限がいつまでかという問題もあるかと思います。

 そういう意味では中国としてはロシアあたりを取り込むことができれば最高なのでしょうが、ロシアと中国はタヌキと狐の化かしあい的要素もあり、どちらも相手を利用してやろうという意図が見え見えといったところです。

 ただ、外交は本来その時の利益で、くっついたり離れたりするものなので、私はこれを批判するつもりはありません。

 西側諸国でありながら、幸い今回の事故で犠牲者もなかったことから、日本はこの状態で如何にロシアを利用するかを考えるべきかと思いますが、国際政治では、こうした人の死も駆け引きの対象としかならないのが悲しい現実です。

あわせて読みたい

「マレーシア航空機墜落事件」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    定年後は蕎麦打ち職人になるな

    内藤忍

  2. 2

    今度こそ北朝鮮の崩壊は秒読みか

    自由人

  3. 3

    海老蔵と麻耶 歌舞伎界の非常識

    NEWSポストセブン

  4. 4

    真逆に報じられた仏大統領発言

    西村博之/ひろゆき

  5. 5

    豊田議員あと一歩で逃げ切り逃す

    文化通信特報版

  6. 6

    金正恩氏が米国への本音を吐露か

    高英起

  7. 7

    石破氏「解散の意義わからない」

    石破茂

  8. 8

    ミヤネ屋インチキ医療特集に称賛

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    北外相 太平洋での水爆実験示唆

    ロイター

  10. 10

    金正恩氏 史上最高の措置を検討

    ロイター

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。