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国と民間の距離を縮める「WORK FOR 東北」で、“ソフト”の充実した復興を目指す

撮影:鳥井弘文
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どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日、ご縁があり7月9日に日本財団ビルで行われた「WORK FOR 東北」説明会のイベントにお邪魔してきました。

今回は、「WORK FOR 東北」説明会とはどんなイベントだったのか。そしてそこから学ぶことができる官民一体の事業の可能性について書いてみようと思います。

復興は“ハード”から“ソフト”の段階へ

「WORK FOR 東北」とは東日本大震災をキッカケに復興庁がつくった東北への人材派遣プロジェクトです。

震災から3年が経過し、被災地のハード面は徐々に回復しつつあり、復旧期から復興期に移行してきたことをキッカケに、復興庁から日本財団が引き継いだプロジェクト。

その目的は、まちづくりや産業復興、コミュニティ支援などソフト面でのニーズを満たしていくこと。そこで特に必要とされる人材というのは、民間企業のスペシャリストやマネジメント業務に長けている人達です。

今回の説明会では、東北の自治体担当者だけではなく、実際に現地に派遣されて活躍されていた方や、社員を現地に派遣した企業の方々が集まり、実際に活用できたスキルや経験、どのようなことを身につけ、企業に戻った後どのように活躍していくのかといった生の声を聞くために開かれた説明会でした。

自分がこの説明会に参加してみて、一番印象に残ったのは、パネルディスカッションの部分。特に現地に入り実際に活動してきたNECの山本啓一朗さんのお話が興味深かったので、今回は特に印象に残った3つのお話に絞って書いてみようと思います。

日本電気株式会社(NEC)山本啓一朗さんが語る“東北へ行ったメリット”

まずは山本さんのプロフィールをカンタンにご紹介しておきます。
1999年日本電気株式会社(NEC)へ入社後、2012年3月より復興庁宮城復興局へ出向。大手企業と東北事業者をマッチングし、地域経済の立て直しを目指す「結の場」の推進などを行う。

2014年3月末をもって出向期間を終了し、同社コーポレートコミュニケーション部 CSR・社会貢献室に復職。

「会社にとって、山本さんにとって、東北へ行ったメリットは?」

一つ目の質問は「会社にとって、そして山本さんにとって東北へ行ったメリットは何ですか?」という質問です。

山本さんは、これに対して「ビジネスは二の次だった。」と最初にはっきりと明言していました。「しかし、だからといってビジネスを意識しないと持続可能性がなくなってしまうので、そこも同時に考えなければいけない。そこのバランス感覚が一番重要でした」と答えていました。

「各企業毎に抱えているリソースをどう東北に活かしていくのか。長い目で見たら必ずどこかで企業に対してその効果が跳ね返ってくるはずだから、短期的なメリットよりもその中で跳ね返ってくる長期的なメリットに対して期待するべきである」と。

「長期的なメリットとして、企業は具体的に何が期待できそうなのか?」

2つ目の質問は、「長期的なメリットに対して、企業は具体的に何が期待できそうなのか?」という質問です。

この質問に対して、山本さんは以下のように答えます。
実際に自分が東北に行っている最中に、政権交代が起きました。その中で国家について学んだことがたくさんあったんです。さらに今回の経験を通して、新聞やメディアの向こう側も見ることができたのは大きかったです。

中に入ってみて初めて理解できた実情や仕組みがあります。国が何を考えていて、どうゆうことをやろうとしているのか、それを肌で実感することができたんです。

今後国家と一緒に事業を始めるという機会がきっと増えてくるはずです。その仕組みづくりをするときに、今回東北に行った経験が必ず役に立つはずです。

「実際に行ってみて課題に感じたことは?それを、どう乗り越えたのか?」

最後の質問は、「実際に行ってみて課題に感じたことは?そしてそれを実際にどうやって乗り越えましたか?」です。

これに対して山本さんは、各業界ごとに使われている言語の違い、慣習の違いが大きな課題だったと答えていました。資料の作り方一つとっても各業界ごとに全く違っていて、本当に全く折り合いがつかないことが頻繁にあったそうです。

しかし、2年前はまだ何も整っていなかったからこそなりふり構わず突っ走れたことも沢山あったとも述べていました。

出向当初は頭でっかちになってしまい、なかなか企画が通らなくて、一旦気持ち的にリセットしたくて丸坊主になったこともあったのだそうです。しかし、そんな風に悩みながら、水産組合の組合長に頻繁に会いに行ったりと、常に現場に足を運んでいたそうです。

そうすることで、徐々に局長さんや次長さんが山本さんの行動に興味を持ってくれるようになり、民間と行政の企画書の違いなどを教えてくれるようになって、そこから色々な事が解決の方向に進んだと言います。

コミュニケーションコストの分だけ自身の経験やチームワークの向上にも繋がっていき、結果的に行政の仕組みも理解することができたので良い経験だったと山本さんは振り返っていました。

現場へ赴いた人だからこそ、見えてくる視点

「民間と行政が連携して、国難を乗り越える」と一言で言っても、実際に現地に入って現場で行動してきた人の言葉にはこれほどの重みがあります。

きっと自分たちには想像することが出来ないような多くの苦労を重ねて、目の前に広がる無数の課題を一つ一つ解決してきたのでしょう。

確かに東北の震災は、国難と呼ばれるような大きな出来事だったかもしれません。しかし、その必要にかられて山本さんのように官民で新しいプロジェクトを始めて、実際にそれを1つずつ形にしていった経験というのは、まさに「ピンチはチャンス!」ということなんだろうなと。この一連のお話を聞いていてそれをとても強く感じました。

山本さんはご自身の任期を終えられた後も、頻繁に東北に足を運んでいるそうです。現地で一緒だった官民のメンバー同士で構築したネットワークも未だに続いており、コミュニケーションを常に取り続けていると言っていました。

今回のような「WORK FOR 東北」というプロジェクトを通して官民の距離がもっと縮まり、これをキッカケに官民が連携したプロジェクトが東北以外のところでも生まれてくると、このプロジェクトが更に意味のあるものになっていくのだろうと思った次第です。

(取材協力:日本財団)

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