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オウンドメディア運営のプロに聞く!狙うべき「ストック」と「フロー」とは?

宣伝会議が2月に発表した「企業のデジタルマーケティングに関する実態調査」で、2014年の注目施策の第1位となった「オウンドメディアマーケティング」。Googleの検索結果表示のアルゴリズムが、従来の「被リンク」からサイトのコンテンツの質を重視する傾向となる中、さまざまな企業がオウンドメディアに注目し、運営を始めています。一方で、"コンテンツとなるネタと社内リソース不足"と、"効果測定の難しさ"が課題となるケースも。そのような企業が抱える課題に対して支援と"企業ブログ(オウンドメディア)のキュレーションサイト「somewrite」"を運営するサムライト株式会社の柴田泰成さんに、オウンドメディアの運営のコツと今後の展開についてお話を伺いました。

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コンテンツが資産として蓄積される

-"オウンドメディア"支援を事業とされていますが、具体的にはどのようなことをしているのでしょうか?

オウンドメディアの立ち上げからコンテンツの制作、そしてそのコンテンツの拡散の部分までトータルで支援していくことを目指しています。事業は主に2つです。

1つ目は企業のオウンドメディア支援。社内のほとんどのメンバーが編集者で、オウンドメディアのコンセプト作りといった立ち上げから、コンテンツ提供まで行っています。2つ目はアドテクノロジーを使ったアドプラットフォームの開発で、こちらは「サムライト ネットワークス」として7月よりテストを開始しました。支援している企業のオウンドメディアのコンテンツを、他のメディアやアプリに、広告ではなくあくまで記事として配信するアドネットワークを考えています。

それ以外には「somewrite」という企業オウンドメディアのキュレーションサイトを運営しています。このサイトで集客支援をすることで、オウンドメディアを運営する企業に近づくためのコンタクトポイントとして活用しています。

-オウンドメディアを立ち上げたいという企業は増えているのでしょうか?

増えていますね。まずはSEO視点でGoogleのアルゴリズムも変わってきている中、企業が運営するサイトのコンテンツを強化していかなければいけないという流れに急激に変わってきています。もう一つの理由としては、ソーシャルメディアや他の広告手法の費用対効果です。現在支援している企業はスタートアップ系の企業が多いのですが、SEMやバナー広告は費用が高くて手を出しづらい。限られた費用の中で集客をしたいという中で、オウンドメディアをうまく展開していくことで、コンテンツが資産として蓄積されることに価値を見いだして、取り組み始める企業が多いです。

狙うは「ストック」と「フロー」

-成果指標は?

やはり流入数が求められますが、コンテンツは長期的に資産として蓄積され、検索エンジンにも好意的な結果につながります。私たちがオウンドメディアを運営していくときに大事にしている考え方が「ストック」と「フロー」。記事コンテンツがうまくバズるというか、ソーシャルメディアで拡散されて一時的に流入が増えるというパターンと、特定のキーワードで検索の上位を狙い、継続的に流入が入ってくるようにするパターン。この2つの流入指標を設けて、それぞれの目的にあわせてコンテンツを使い分けるようにしています。

例えば不動産サイトを運営しているietty(イエッティ)さんの「ほぼ週刊イエッティマガジン」では、不動産に対して興味を持っているユーザーにリーチすることが目的なのですが、先程の「ストック」の部分で言えば、SEO目的で「賃貸 ペット」「賃貸 猫」などキーワードを狙ったコンテンツを作っています。「フロー」の部分としては「いえってぃ君」というキャラクターを使ったり、フォロワー数やFacebookの友達が多い情報感度が高い人をインタビュー対象に選定して、その人にシェアをしてもらうことで2次流入を図ったりしています。

もちろん記事ごとにPV数は相当バラつきます。一つ一つの記事の数値を見るのではなく、月間で記事の提供本数と目的、それに伴う期待される効果を算出しながらSEOや拡散を狙うものを織り交ぜて日々検証し、改善しながら運用しています。

-良いオウンドメディアの条件とは?

やはり更新頻度が多く、かつオリジナル情報(=自社でしか知りえないデータや調査、業務を通じで初めて知り得た切り口など)を発信できていること。どうしても同じようなコンテンツが多くなってしまう中で、オリジナリティが出せているオウンドメディアはあまり多くありません。

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オウンドメディアは広告の代替案ではない

-オウンドメディアを運営している企業の課題は?

よくある課題としては、指標が分からず獲得数を見てしまうこと。オウンドメディアは即効性がある施策ではありません。広告の代替案として行うものではなく、あくまで中長期的にユーザーとのコミュニケーションを図っていくためのツールであるという話をよくします。

また、企業の中にライターや編集者がいるケースは少ないので、「ネタが思いつかない」「書くのが大変」といったノウハウ的な部分と、「時間がかかる割にすぐ効果が出ない」といったリソースの部分での課題もあります。頑張って記事を書いても集客の実績につながらないとモチベーションが下がってしまいますよね。こういった作る部分と集客する部分の2つの問題がありますね。

その2つの課題解決のためにサムライトを立ちあげました。メディアを作ってコンテンツ提供することと、アドネットワークで集客支援をするという形で2つのサービスを統合して解決していきたいと考えています。これまでバナー広告で効果が出ないと「広告クリエーティブが悪い」「ターゲティングがうまくいっていない」などという話になりがちでしたが、オウンドメディアの場合は自分たちで記事を作って、自分たちで最適化していけます。記事が面白くなければクリックもしてもらえないし、その後の行動にもつながらないので、コンテンツとテクノロジーの相乗効果を狙っています。

今、オウンドメディアは過渡期

-オウンドメディアの今後は?

昨今、オウンドメディアによるマーケティング活動が注目されていますが、いざ作るとなると労力がかかり、なかなか効果が出るまでに時間もかかります。いや、効果指標もまだ定まっていないのが実情です。そのため、今後さまざまな会社が当たり前のようにオウンドメディアを活用していくのか、それとも限られてくるのか、今ちょうど瀬戸際なのではないかと感じています。そこで、我々がこういった支援をしていくことで、このマーケティング分野が根付いていけば、と思っています。そもそもこれまで検索結果を欺くようなSEO手法が主流になっていたこと自体がおかしいと感じていましたし、あくまで質の高いコンテンツを提供し、正当に評価されるのが正しい姿であり、そうなるべきだと思っているからです。あるべき姿に近づけるように支援をしていくことは社会的意義も感じますし、企業としての存在価値も出てくるのではないかと思っています。

柴田泰成さんプロフィール

サムライト株式会社代表取締役。

2006年から楽天株式会社でウェブマーケティングの部署を経て、アドテクノロジー関連事業など複数の新規事業をプロジェクトリーダーとして立ち上げる。2012年リクルートへの転職後、家具情報サイト「TABROOM」の立ち上げに従事し、コンテンツマーケティングを経験。アドテクノロジーとコンテンツマーケティング双方の業務経験を生かし、2013年にサムライト株式会社を設立、代表取締役に就任。企業のコンテンツマーケティング及びオウンドメディア運営を支援している。

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