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国民に嘘を言って国策を大転換した安倍首相

昨日の閣議で、集団的自衛権の行使容認が閣議決定されました。日本の外交・安全保障政策の大きな転換点です。

 ところが、記者会見を開いてそれについて説明した安倍首相は、奇異なことを発言していました。「平和国家としての日本の歩みは変わらず、歩みをさらに力強いものにする」と。
 嘘を言ってはいけません。「変わらない」のであれば、わざわざ新しい閣議決定をする必要がどこにあったのでしょうか。
 「平和国家」としての日本の歩みを大きく転換するために、これほどの反対を押し切り、公明党を恫喝して閣議決定する必要があったのではありませんか。一国の指導者が国民を偽るようなことを堂々と言うところに、この国の政治の劣化と政治家の退廃が示されています。

 安倍首相は「海外派兵は一般に許されないという従来の原則は全く変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない」と述べました。これも真っ赤な嘘です。
 今回の閣議決定によって自衛隊の役割は増大し、日本の領域外での活動が拡大するようになります。そもそも、「自国と密接な関係のある他国」への武力攻撃に対処することが、「他国」に行かずに可能なのでしょうか。
 「海外派兵」をせず、「かつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加する」ことが全くないのであれば、何も、わざわざ「他国」を加える必要はなかったでしょう。見え透いた嘘を言ってはなりません。どうして、正直に国民に説明し、覚悟を求めないのでしょうか。

 また、首相は「外国の防衛それ自体を目的とする武力行使は今後とも行わない」とも述べていましたが、逆に言えば、「外国の防衛それ自体を目的」とせず、「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があると判断された場合には武力行使を行うということであり、武力行使の可能性が拡大することは明確です。というより、自衛隊の活動範囲と役割を拡大し、日本の領域外での武力行使を可能にするための解釈の変更なのです。
 自衛隊が、海外で血を流し、犠牲者を出す危険性はこれまでよりも格段と高まるでしょう。アメリカの求めに応じて日本の若者の命を差し出せるようにするための解釈の変更だったのですから。
 こうして、「平和国家としての日本の歩み」は大きく変わり、国防政策は大転換することになります。「戦争できる国」となって、安倍首相がめざす「普通の国」へと、日本は変わっていくでしょう。

 それは、外交・安全保障面での「戦後レジームからの脱却」にほかなりません。将来的には国連安全保障理事会の常任理事国となって、連合国主導で形成された戦後の国際秩序をひっくり返したいと考えているのでしょう。
 昨日の記者会見で、「抑止力を高め普通の国になるということは、また、平和を守るためには、もしかすると犠牲を伴うかもしれないという可能性もあると思いますが、国民がどのような覚悟を持つ必要があるでしょうか」と、記者の一人が質問しました。しかし、安倍首相はこれを無視し、質問に対してまともに答えることはありませんでした。
 国民に「覚悟」を求める勇気もなく、嘘とごまかしで大転換してしまった国策です。そのために血を流すリスクを背負わされる自衛官たちからすれば、たまったものではないでしょう。

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