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寄付市場を10兆円に!!ソフトバンクとファンドレイザーたちの挑戦

寄付市場は急拡大が予想される成長産業

あなたは日本の寄付(個人・企業)総額ってどれくらいか知っていますか?実は、日本の寄付市場の規模は1兆数千億円となっており、それなりの規模を持つマーケットとなっております。

先日、「2020年・寄付10兆円」というとてつもない目標を掲げている、NPO法人 日本ファンドレイジング協会の5周年イベント(シンポジウム)に参加してきましたので、レポートとオピニオンを。

ファンドレイジング(Fundraising)とは、民間非営利団体の財源獲得やプロセスの総称で、一般的には寄付、会費、助成金、補助金などの財源の獲得手段を指します。そしてファンドレイジングをする人を「ファンドレイザー」と呼びます。戦隊モノとかに出てきそうな、かっこいい肩書きですよね。ファンドレイザー。とまぁ、そんな冗談はさておき、もう少し市場規模の話について。

1兆円の市場規模はホテル業界などと同程度

冒頭の挨拶をする日本ファンドレイジング協会・鵜尾雅隆氏
市場規模ってよくマーケットの大きさをイメージさせるために使われますけど、1兆円越えの市場とは、「靴・履物」、「郵便物」、「インポートブランド」、「ホテル」(市場マップ、2013調べ)があると言われています。どのマーケットも誰でも知っているようなメジャーなものです。

タイトルで「寄付市場は成長しているぞー!」と謳いましたが、これは誇張でも何でもなく、着実に伸びています。要因はいくつかあって、東日本大震災以降に寄付に注目が集まった、企業が寄付アプリやウェブでの寄付サービスを展開し始めた、税制が優遇(控除)されるようになった、などが挙げられます。

このシンポジウムでは、どうやってファンドレイジングをしていくべきかという話もありましたが、ビジネスセクター(一般事業会社)がソーシャルセクター(NPOなどの非営利組織)とどう関わるかという話題もありました。本稿をお読みの方はビジネスセクターの方が多いと思うので、ソフトバンク社の事例を踏まえながら、ビジネス的な視点からシンポジウムの話を紹介していきます。

ソフトバンクモバイル・CSR企画部長の池田昌人氏
池田昌人氏(ソフトバンクモバイル・CSR企画部長)
パネリストとして参加されていた、ソフトバンクモバイルの池田さんは、今年3月からスタートした募金アプリ「かざして募金 」(iOSは今月から)を紹介していました。ソフトバンク・ユーザーは携帯電話料金と一緒に支払える、簡単にアクションができる募金アプリです。

また、「まだ開始したばかりのサービスであり、これからファンドレイザーの皆様、他社の企業さまなどの方と一緒に作っていけたらなと思っています。」ともおっしゃっていました。ここ興味深い動きです。必ずしもソフトバンクだけでビジネスモデルを完結する必要はない、と言っているわけです。

ソフトバンクモバイルという会社だけではなく、他社キャリアでもクレジットカード番号入力をしなくても寄付できるようなアプリ・仕組みを持って欲しい、とのこと。確かに、かざして募金は他社キャリアでもダウンロードできるけど、支払いはクレジットカードですもんね。

個人的にはこの寄付アプリで、ソフトバンクが開発・運営費を負担するだけでなくビジネスしてもいいと思いますけど。自分たちも儲けて、寄付額も増えNPOも儲けて、最終的に社会が良くなっていく。で、今回の「2020年10兆円市場」につながっていく感じがします。

ともあれ、池田さんの話は、「行政とタッグを組んで携帯から簡単にふるさと納税ができたらいいよね」とか、「すべてのスポーツイベントはチャリティになればいい」とかソフトバンクという企業の枠を超えすぎていて、面白かったです(笑)こういうビジネスパーソンが世界を変えていくんだろうなぁ。

かざして募金
ホワイトプラン

ソフトバンクの“携帯電話のキャリアだからできる” プランニング

以前BLOGOSでも「日本初の募金プラットフォーム! ソフトバンク「かざして募金」 という記事を書きましたが、ソフトバンクのCSRや社会貢献の取組みは、個人的にも注目しています。

継続的な募金もできる通信プラン「ホワイトプラン」や、寄付アプリ「かざして募金」など、他社より先行した社会貢献の取組みをしています。これらの施策があるからユーザーになろう、という人はほとんどいないと思いますが、携帯電話のキャリアだからできるプランニングです。

こういった取組みは、docomoさん、auさんにもしてもらいたいですね。中途半端な社会貢献活動するより、社会的インパクトもコスパも高いと思うんですけど…どうでしょうか?

ちなみに、池田さんは元々マーケティング部門だったそうです。CSR部の方は、総務・広報・経営企画・環境部出身の方々が多いので、マーケティング志向のCSR活動を勝手に期待してしまいます。来年は、最近発表されたロボットを使った社会貢献活動とか、めっちゃオリジナリティあるCSR活動に期待ですね(絶対ないと思うけど)。

ビジネスセクターがNPOに関わるメリット

かものはしプロジェクトの山元氏
また、パネリストのNGOかものはしプロジェクト の山元さんが言っていましたが、BtoN(Business to NPO)という考え方があり、NPOを顧客としたビジネスをしていくことも重要とのこと。

例えば、NPOのバックオフィス業務をするビジネスとか。NPOはただボランティアを募集するのではなく、企業と一緒で、スタートアップ時こそ、本業に集中できるアウトソース計画を作り実施すべきであると。

コモンズ投信の渋澤氏
また、パネリストのコモンズ投信 の渋澤さんは「エンゲージメント」という考え方が重要であるとしていました。このエンゲージメントとは“強い関わり”を指します。当事者意識を持ち、対話していくこと。誰かに任せる(押し付ける)のではなく、自分たちの未来は自分たちで作っていくための仕組みを準備することが、NPOにも企業にも必要である、としました。

日本企業の多くは、NPOは寄付をする相手であって、CSRや社会貢献プロジェクトのパートナーや、自社商品・サービスのお客様としては見ていないと思います。企業はもっと色々な角度からNPOと関わってもいいのではないかと。

そうやって、様々なアクションをする中で寄付の概念も浸透し「2020年10兆円」という数字が見えてくるのではないでしょうか。企業とNPOがより近くなる社会。そんな世界の到来を感じさせる、熱いシンポジウムでした。

参考URL(日本ファンドレイジング協会)
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(取材協力:日本財団)

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