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厳しさを増すソニーを取り巻く環境

5月22日に発表したソニーの経営方針説明会。前期も今期も赤字だけど来年(16年3月期)は4000億円儲かる、という平井社長の発表に疑心暗鬼の声が出ています。27日の日経の一目均衡では「ソニーはどこへ行くのか」と題して同社の説明会における言葉を信用できるか、という極めて厳しい基調の編集委員の声が掲載されています。

この7年で6回赤字というのは企業としてもはや、体を成していないと言われても仕方がないでしょう。壊れてしまったと言ってもよいのかもしれません。ただ、壊れたのがかつてその名を世界にとどろかせたエレキ(電機)部門であってエンターテイメントと金融は稼ぎまくっています。つまり、この会社が会社として一定評価されているのは稼げる部門がまだあるからであります。

ソニーはしばしばパナソニックとその対比対象にになるのですが、家電沈没からパナソニックは住宅やBtoB事業を推進し、不採算部門をバッサリ切り、回復力を見せつけました。ソニーもテレビを分社化し、パソコンからの撤退など確かに不採算部門のリストラを進めています。パナソニックは旧松下電工、旧三洋電機を含めた幅広いビジネス基盤の中でBtoBという法人向けや住宅関連などを通じて電機メーカーとしての形を残せたが故の復活シナリオでした。つまり、従来のビジネスに固執していません。

ではソニーがなかなか復活できない理由ですが、これは同社がトランジスタ、ウォークマンなど非常に狭い事業エリアの過去の栄光にしがみついているためともいえるのです。ソニーがエレキ事業を止めてエンタメと金融事業だけやればリストラは確かに完成します。数字上は見事な復活劇を演じるはずです。

が、細くなった本流を捨てて太くなった支流に乗り換えるだけならマインドを売ったという別の意味での厳しい評価が待ち構えているかもしれません。だからこそ、底なし沼のエレキ事業で沼の底を探る平井社長の苦境はよく理解できます。テレビの分社化をするも、それでも止めないのはテレビがないソニーはソニーではないという内部の圧力であることは容易に想像できます。

北米にいる者として今、テレビを買うとすればどこで買うか、と考えた時、私なら「コストコ」というかもしれません。以前なら絶対に考えつかない発想です。が、今ならそこに行けば売れ筋のラインアップがあってメーカーの差異は極めて少ないのだから最後は価格で買う、という意味であります。

私はスーパーマーケットで衣料品を買うことは論外であります。衣料品はブランドやおしゃれという物欲以上の「そそるもの」がより強いと思うのです。今でも「コストコ」で衣料品を買うことはまずありません。見向きもしないし、存在すら忘れていると思います。ですが、テレビなら買ってもよいと思わせるこの違いは何かといえば、差別化するのが難しく、コモディティーと化しているのです。コストコに食料品を買いに行けば入口のところにテレビがデンと並んでいて否が応でも目に入るそのマーケティングに家電量販店にいくのも面倒くさい、と思わせてしまううまさがあるのです。

テレビのように成熟商品の場合、技術革新の度に振り落とされる消費者がいる、という法則に気がつくべきです。市場がゼロの場合、そこに白黒テレビを投入すれば全員が買います。次にカラーテレビを白黒テレビより2倍の金額で市場投入した場合、8割の人が購入するかもしれません。次に液晶がでれば5割…といった具合に進化するごとに支払う金額と満足度の効用に応じて需要が細くなっていくものです。テレビがなぜ儲からないか、この論理からすれば簡単で高水準、高価格の市場はより小さくなっているのに多くのメーカーが参入してさらに素晴らしいものを作ろうとするからであります。有機ELのテレビがほぼなくなったのはもはや間尺に合わないということでしょう。

ソニーがエレキ部門で回復する方法は一つだけです。市場に存在しない全く新しい革命的製品で市場を生み出すこと。これができないならエレキ部門は形だけ残すという手段を取る以外に残された方法はほとんど見つけられないのかもしれません。

再生できるか、残された時間はそう長くないような気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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