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どこにも書いてない、議員秘書の実態

 政治家が身を切る姿勢を示さないまま、国会議員の給与(歳費)が満額支給に戻りました。先日の記事では議員の収入の実態について紹介しましたが、この問題を語る際には秘書についても取り上げなければなりません。多くの国民の皆さんにとってなじみの薄い、秘書の実態とはーー。

 国会議員には何人くらい秘書がいると思いますか。10人?30人?50人?議員によっても異なりますが、実は大方の想像より少ないのが実態です。事務員も含めて少ないところで5人ほど、多いところで20人ほどのスタッフで切り盛りしています。その中心となるのが3人の公設秘書です。

 公設秘書とは特別国家公務員の位置づけで、国が給料を支払う秘書のこと。衆参ともに国会議員は政策秘書、第一秘書、第二秘書の計三人を国費で雇うことができます。給料は第二→第一→政策の順に高く設定され、秘書経験が長く、年齢が高いほど給料が上がる仕組みです。

 私の手元に公設秘書の給料表がありますが、第二秘書は最低ランクとなる在職3年未満が月給31万4588円、最高ランクの在職25年以上は47万702円となっています。同じように第一秘書は41万50円から63万1182円、政策秘書は43万1762円から64万32円。

 これに一般企業のボーナスに相当する期末・勤勉手当が6月に1.9か月分、12月に2.05か月分が加わります。少し細かくなりますが、手当には第二秘書の最低ランクを除いて給料を1.15倍した数値が算定基準となります。第二秘書の最低ランクは1.10倍です。

 つまり年収に換算すると、第二秘書の最低ランクで31万4588円×1.10×(12か月+3.950か月)=551万9446円。政策秘書の最高ランクで64万0032円×1.15×(12か月+3.950か月)=1173万9786円となります。「そんなに高いのか」と驚いた方も多いでしょう。

 現行制度にはいくつか問題点があります。一つは公設秘書の経験期間によって給与水準が決まること。先ほど給与は秘書経験の長さと年齢の高さで決まると書きましたが、実際には秘書経験の年数に、年齢の数分の一を足し合わせた数値で決まります。

 つまり秘書経験の長さだけを重視した仕組みなのです。能力の高さや前職で得たスキルなどは関係ありません。前職が公務員でも弁護士でも、学生やフリーターでも一切関係ないのです。

 公設秘書の中でも政策秘書だけは資格が必要ですが、公設秘書を長く務めた人は免除されるという抜け穴があります。こうした制度のせいで、秘書の世界に優秀な人材が集まらず、政党間を渡り歩く「永田町のヌシ」のような人ばかりが高い給料をもらい、幅をきかせているのです。

 もう一つの問題点は政策秘書にも、第一・第二秘書にも業務の制限がないことです。特に政策秘書には特別な資格の取得を課し、高い給料を国から支払っているにもかかわらず、政策業務に特化する義務がありません。少なくとも政策秘書だけは国会で勤務し、政策立案や質問、陳情対応など政策関連の業務に就くよう義務付けるべきではないでしょうか。

 極端な例では国会事務室に電話番のアルバイトやインターンの学生だけを置き、公設秘書はすべて地元活動に従事している議員もいます。国会に秘書がおらず、議員本人の経験も乏しいため、国会での質問は中央省庁の役人や国会の事務方に丸投げというひどい話もよく聞きます。

 こうした現状を踏まえ、私は議員数を大きく減らしたうえで、議員を支えるスタッフの数は拡充すべきだと考えます。その際には秘書の数や給料を一律で決めるのではなく、議員それぞれに割り振った総額の中から自由に決められるようにし、さらに一定数は国会での政策業務に従事するよう義務付けるべきでしょう。

 米国の下院では常勤18人、非常勤4人まで秘書を雇うことができ、実際に平均で17人ほどの秘書を抱えています。上院には上限がなく、議員あたりの平均は43人超(いずれも国会図書館調べ)。秘書の採用条件は報酬総額の中から一定の範囲内で議員が自由に決める仕組みです。

 議員の立法能力や質問の質が日米で大きく異なる背景には、こんな制度の差があります。日本の国会議員にしっかりと働いてもらうためには身を切る改革だけでなく、秘書のあり方をどうすべきかという議論も同時に進めなければなりません。

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