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明日大地震が起きたら、御社は生き延びる自信がありますか?

発刊記念イベント「災害支援の手引き」

先日、民間防災および被災地支援ネットワークが発行した、企業の震災支援ノウハウを体系化した「災害支援の手引き」の発刊記念イベントに参加してきました。興味深いイベントでしたので、メモと雑感を。

では、そもそも「災害支援の手引き」とはどんなものか。ウェブサイトでは以下のように解説されています。
自分たちの経験が今後の災害時に少しでも役立てればとの思いのもと、民間企業のCSR(企業の社会的責任)担当者、現場で支援を行うNPO、その調整に当った中間支援団体などが集まり、全員ボランティアで執筆・編集作業に当たりました。手引き書には、「ヒト、モノ、カネ、情報」の分野で、災害支援を実行するに当たっての社内調整の裏話、苦労・工夫した点などの具体事例や、実務上のノウハウが掲載されています。

(災害支援の手引きより引用)

東日本大震災発生時の対応で実際に失敗した事、成功した事を企業自身がまとめているだけあって、かなり実務的な内容になっております。

本書にて企業事例としてあがっているのは、東京トヨペット、日立ソリューションズ、ブリヂストン、オルビス、モトローラ・ソリューションズ、パルシステム、富士ゼロックス、サノフィなどなど。

BCP(事業継続計画)も含めて、ただ社会貢献をするだけではなく、企業活動としてどう大災害と対峙するかという視点も学べる、良い資料となっていました。

復興集中期間の5年のうち3年は終わった。

岡本全勝氏
基調講演1人目は、岡本全勝氏(復興庁統括官)。「4年目に入った復興〜現地の課題と民間の期待〜」というテーマで行われました。

復興は新しい段階に入り、再建支援へ向かうという形で、「健康・生活支援」、「産業復興」などが重要になってきており、これまでにない民間との連携という政府の取組みを進めています。

復興には“支援”という一方的な関係ではなく、ビジネスをするノウハウを持った人が欲しい。そこで、復興庁では、被災地と被災地外の人材マッチングを行う「Work For Tohoku 」を立ち上げた、とのこと。

ビジネスをするには、お金もそうだけど、人が必要。今後も人をつないでいく活動もしていきたい。復興集中期間の5年のうち3年は終わりあと2年。どこまで進められるかが課題とおっしゃっていました。

橋本孝之氏
2人目の橋本孝之氏(日本アイ・ビー・エム株式会社 会長)の講演では、ちょっと衝撃的なエピソードが披露されました。

震災直後、IBMはBCPシステムを構築してたため、橋本氏(当時・社長)を介さず、企業組織運営ができたそうですが、これは、やはり事前の準備があったからだとのこと。「社長はいざって時にはいらないんですね」、なんて冗談を言っておられましたが、準備をしていたからこそ、現場がまわったということ。素晴らしいですね。

またIBMはITを使ったまちづくりをしており、ボランティアという支援から、本業での支援へと移行してきた、と。なるほど、と思ったのは「やって思ったのが準備をしてきたことが活きたということ。逆に言えば、準備した以上の結果は緊急時にはできない。企業の規模は関係ない。」という話。

簡単にCSR(企業の社会的責任)がどうこうといいますが、キレイごとだけではない企業活動としても災害に備えるという準備が必要なようです。ここは御社でもぜひ、マネしてみて下さい。

復興庁
Work For Tohoku 
IBM CSRの取組み

なぜ効果測定をしないのか?

講演の後は、実際に復興支援に関わった企業担当者たちのパネルトークがありました。その中で気になったのがKPI(重要業績指標)についてです。ざっくり言えば目標数値ですね。

効果測定の仕方については難易度が高いし、震災直後は特に急務だった、という事情があります。ですが、せっかく予算も人材も投資するのであれば、目標がないけどやっているということではなく、ぜひ主体性を持ち、目標・目的を決めて活動されるともっと意義深い活動となるのかなと思いました。

東北のために、何かしたい。そんな純粋な気持ちから各企業は数億円レベルの支援をしたようですが、企業活動である以上、最低限の効果測定をされるべきなのかと。ただの自己満足で終わってしまうのではもったいないですよね。

企業が行うCSRや社会貢献の大きな問題がここに隠されていると考えます。

CSRはKPI設定と測定が困難であるということ。それはわかります。ですので、ミッションが元々あってビジョン策定をし、バリューを計るという基本的な企業活動になりにくいというのが一つあります。

株主を始め、多くのステークホルダーがいる大手企業なのに「なんとなく」でCSRや社会貢献をしているのが非常にもったいないと思うのです。

これは、今回のパネルトーク参加企業だけの話ではありません。大手でも中小でも今後は“なんとなく”復興に関わっていますではなく、これからは目的をもち、日々の企業経営に従事していただければと思います。

企業の災害支援の可能性もまだまだ多い。というのは間違いないのですが、ただ、予算に余裕のある大手だけがすればいいってわけでもないと思います。

「そもそもなぜCSRをしなければならないのか」、「そもそもなぜ復興支援をしなければならないのか」、このあたりを問いに答えられるレベルにはブラッシュ・アップすべきでしょう。

まとめ

今回改めて思ったのは、災害による社会への影響を企業が考えることで、自社のBCPへの取組み、災害発生時の企業が取るべき行動規範など多くの事柄が明確になると感じました。

復興支援については、ぜひ「特集:ブロガーが見たソーシャルイノベーションのいま 」でも継続的にレポートされているので、特集の他の記事も合わせてご覧下さいませ。

常に災害とは想定外の事しか起きない。また、災害は忘れたころにやってくる。企業の規模は関係ありません。企業の経営者及びBCP担当者は、今回の「災害支援の手引き」をチェックして、次の災害に対して対応をすべきだと感じたイベントでした。

明日大地震が起きたら、御社は生き延びる自信がありますか?

災害支援の手引き 
民間防災および被災地支援ネットワーク 

(取材協力:日本財団)

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