フィレンツェの外を見ていただきたい。そして、フィレンツェが周辺をどのような国に囲まれているかをみていただきたい。そうすれば、フィレンツェの生よりも死を望んでいる二、三の国のあることに気づかれるであろう。(略) これらの権力者たちの一人としてフィレンツェの国益を尊重してくれることは期待できないし、期待してはならない。
個人の間では、法律や契約書や協定が信義を守るに役立つ。だが、権力者の間で信義が守られるのは、武力によってのみである。
(引用者注:フィレンツェは当時欧州最強だったフランスと軍事同盟を結んでいた)今までうまくいったからといって、今後もフランス王の軍事力に頼ろうとするのは間違いだ。なぜなら、時代は変わるものであるし、なによりも重要なことは、他人の剣にばかり頼れるとはかぎらないからである。(略)
ゆえに、強大な敵がいまだに身近に迫っていないこの時期、自らの軍備を整える必要があるのだ。
(その時期は今をおいてない、とするマキアヴェッリは、一つ一つの家には財力がありながら、国家には非協力的だったビザンチン帝国の国民が、トルコの大砲が鳴り始めてから献金を申し出ても、そのときはすでに遅かったというエピソードまで紹介する。さらに、)
六ヶ月前に二十ドゥカート支払うのに同意しなかった人々は、六ヶ月後に二百ドゥカートを奪われることになる。
あなた方は、このままでつづけばフィレンツェがいかに弱体するかを見ようとしないし、運命というものは変わるものであることも知らない。
普通、人間は、隣人の危機を見て賢くなるものである。それなのに、あなた方は自ら直面している危機からも学ばず、あなた方自身に対する信ももたず、失った、または現に失いつつある時間さえも認識しようとはしない。
わたしは、はっきりと言いたい。運は、制度を変える勇気をもたない者には、その裁定を変えようとはしないし、天も、自ら破滅したいと思う者は、助けようとしないし、助けられるものではないものである、と。
とはいえ、わたしには、自由なフィレンツェ人であるあなた方が、そしてそれを決定できる力をもつあなた方が、自滅を望んでいるとはどうしても信じられない。ために、わたしは、あなた方が、自由に生まれ、自由に生きたいとの望む者ならば考慮せずにはいられないこのことを、尊重されるに違いないと信じるのである。
わが友マキアヴェッリ―(塩野七生)より引用。一部省略した。強調は引用者。
| 人間というものは、自分を守ってくれなかったり、誤りを正す力もない者に対して、忠誠であることはできない。 |
投資を中心に、ビジネス・ライフハックにも言及する。
