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諫早湾干拓事業について、総選挙で民主党は何を約束していたのか

菅総理は、トップダウンによる政治決断と市民による熟議の関係をどう考えているのだろうか。例えば、諫早湾干拓事業である。

民主党は昨年の総選挙で、諫早湾干拓事業について、国民に対して以下のことを約束した。

「諫早湾干拓事業については、干拓事業と有明海の環境変化との因果関係について科学的知見を得た上で、地域の意見によって有明海の再生に向けた取り組みを推進します。潮受堤防開門によって入植農業者の営農に塩害等の影響が生じないよう万全の対策を講じ、入植農業者の理解を得ます。」

ここには4つのことが書かれている。

第一に、合意形成の大前提として、事実関係については科学的知見をベースにする、ということである。これは合意形成の手法として正しい。では、今回の諫早湾干拓事業に関する総理決断では、どのような「有明海の環境変化との因果関係について科学的知見」に基づいているのだろうか。このことは次期通常国会でも問われることになるだろう。またしても、福岡高裁の判断などと、行政府の長としての判断から逃げるのだろうか。

第二に、地域の意見によって推進する、ということである。これは市民による熟議を尊重するということであろう。今回の総理決断と「地域の意見」どういう関係にあるのだろうか。農林大臣が長崎県知事に会えないということは、「地域の意見によって有明海の再生に向けた取り組みを推進」できないことを意味するのではないか。

第三に、「潮受堤防開門によって入植農業者の営農に塩害等の影響が生じないよう万全の対策」をとるということである。営農者の合意形成のためにはこの対策が万全であるとの理解が不可欠である。民主党政権発足からこの1年、いかなる対策をもって、どのように営農者に理解を求めてきたのであろうか。

第四に、「入植者の理解を得ます」という点である。入植者の理解は政権公約といっていいだろう。いままで入植者の理解を得るために、どのような努力をしてきたのだろうか。

以上の4点をふまえない総理決断だったとすれば、実は、昨年の総選挙の政権公約違反になるのではないか。

小泉総理のトップダンの前には、閣僚、党幹部、スタッフが一丸となって丁寧な根廻しをした上で決断の環境づくりをした。民主党はその水面下の努力を見ないで、最後の格好いいところだけを真似しようとしているのではないか。

民主党政権の総理決断にはそれがみられない。普天間移設、八ッ場ダム、そして諫早湾。

地域の人の生業と生活にとっての切実な問題が、選挙に有利か不利かだけの思いつきで決められているのではないか。

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