わかりやすい。楽しい。創作しやすい。つながる。
こうした情報化・デジタル化がプラスに生み出す方向でのメリットを整理してみましたが、これとは別に、コンピュータのもたらす「効率性」に着目する意見もあります。
デジタル教科書教材協議会の副会長でもある陰山英男立命館大学教授は指摘します。
黒板を電子看板に変えることによるマルチメディア性と高速性、教科書やノートをタブレット端末に変えることによるハイパーリンク性といったものを活かし、授業を非常に効率化できる。これをまず活かすべきだと。
限られた内容を、単純な方法で、徹底的に反復する。これが陰山メソッド。単純な方法での反復はパソコンが得意とするところです。またパソコンは学習履歴が記録できて、個人に合った効率的な学習計画をたてることができます。
百ます計算のニンテンドーDSソフトは欧米含め200万本が売られたといいます。驚異的な数字ですが、その機能が世界中のユーザから評価されているということです。
新出漢字200字の指導に当たって、ノートで学習した場合には1時限当たりの指導漢字数は7〜8個だったのに対し、手書き電子教材の場合は13〜14個とほぼ倍増したといいます。実に効率的。「短時間で習得することが脳にとって大事。そして、この効率で空いた時間をゆとりに回す。早く寝ればよい。早ね早おき朝ごはん!」(陰山教授)。
藤原和博氏もこうした機能に着目し、「反復を伴う英語、算数、漢字のデジタル教科書が有望だ」と説く。小宮山宏氏も「オールラウンド型の教科書より、英語や理科などの単一モデルを早く開発するとよい」と言っています。
紙とデジタル教材を比べてみましょう。紙プリントは採点に時間がかかるが、デジタルなら自動採点ができる。紙は筆順チェックができないが、デジタルは筆順を含めた正誤判定ができる。紙では個人の習熟度に合わせた学習が難しいが、デジタルは間違えた漢字だけを出題できる。
このように、電子機器の機能面から整理することも有益です。例えば東京工業大学の清水康敬監事は電子黒板のメリットを以下のように整理しています。
① 手書きができること
② コンピュータというイメージが少ないこと
③ 表示の位置が操作の位置であること
④ 消しても元の位置に戻れること
⑤ 訂正できること
⑥ ランダムに表示できること
⑦ 静止画像提示ができること
⑧ 動画の提示ができること
⑨ 生徒の視線を集めることができること
紙や黒板ではできないことを取り込むということです。
ただし、注意をしておきたいのは、だからといって紙や黒板を否定することはないということ。紙や黒板だからこそできる教育、だからこそ味わえる風味があるのなら、大事にすればよい。デジタルはデジタルだからできる機能を発揮していきます。
他にも電子化によるメリットはあります。
例えば「軽くなる」。
持ち運びできる軽い端末は、学ぶ時間や場所を大きく広げます。デジタル教材は、どれだけ情報を入れても重さが変わりません。日本の教科書は海外に比べ軽いですが、新しい学習指導要領に基づく教科書は従前の30数%増だといいます。ランドセルは重い。一年生でも持てる軽い端末が一台あれば大きなランドセルは要らなくなります。
「安くなる」。
カリフォルニアのシュワルツェネッガー知事が教材費用を減らすためにデジタル教材化を進めているように、社会全体のコスト負担の面でもデジタル技術のメリットを活かす必要があるでしょう。
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