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日本を訪れる外国人の推移を調べてみる

日本を出国した日本人と日本に入国した外国人の数の推移は、入国管理統計によって知ることができます。この統計は出入国管理通過者数ですから、当然延べ人数です。下のグラフは1991年から2013年の延べ出入国者数の推移です。



2013年の日本人出国者数は延べ1,747万人で日本の人口の約14%に相当しますが、国際化が進んだ世界ではこれはけして多いとは思われません。しかも2000年以降は概ね横ばい水準で増減し、頭打ちになっています。他方、2013年の外国人入国者数は延べ1,126万人で日本の人口の約9%にしか相当しません。更に1991年までさかのぼると、外国人入国者数は延べ386万人で日本の人口の僅か3%しかありませんでした。したがって、日本人にとっては外国人はきわめて珍しい存在でしたし、現在でもそれほど大きく変わってはいません。

日本を訪れる外国人の数が著しく少ないということは、たとえば国際収支にも影響します。日本のサービス収支は赤字ですが、サービス収支赤字額は旅行収支赤字と輸送収支赤字の合計額にほぼ近似しています。サービス収支赤字額は他の経常収支と比べればそれほど大きなものではありませんが、外国人訪問者数が著しく少ないことは、日本国内の「半鎖国状態」や「ガラパゴス状態」の原因にもなっています。また、日本はすでに人口減少に転じているので、もっともっと外国人に日本に来てもらって、国内消費の落ち込みを少しでもカバーしてもらう「普通の先進国」に変わることが必要です。

そこで、入管統計を使って、1991年から2013年の国籍別入国外国人の動向を調べてみます。以下では、2013年に延べ20万人以上が日本に入国した8つの国と地域とその他に分けてグラフに表示しています。

人数.jpg

総数が純減になっている2009年と2011年は、リーマンショック不況と東日本大震災による原発事故の影響が考えられます。この間はずっと韓国が一番多くなっていますが、この数には日韓法的地位協定に基づく永住許可者(いわゆる在日韓国人)は統計的に別管理されているので含まれていません。2番目は台湾で、3番目は中国ですが、中国が3番目になったのは、2006年頃からでごく最近のことです。香港は、1997年に英国から中国に返還されたので国籍が変わっていますから、このグラフでは、香港は英国(香港)と中国(香港)の合計を表示しています。

韓国の人口は約50百万人なので272万人は人口の5%台湾の人口は約23百万人なので225万人は人口の10%香港の人口は約7百万人なので75万人は人口の11%に相当し、これら3つのの国と地域からは非常に多くの人が日本を訪れるようになっているといえます。他方、中国の人口は約13億4千万人なので160万人は人口の0.1%にしかなりません。中国からの来訪者数の増加が日本の外国人来訪者数の帰趨を握っていることは疑いようがありません。

次に構成比の推移を見てみることにします。

構成比.jpg

日本の隣国である、韓国・台湾・中国・香港の合計は、ずっと半数を超えていて、中国の増加に伴って全体の3分の2を占めるようになってきました。日本は政治的には隣国との関係があまり良くありませんが、人の来訪という面では中国以外の隣国との関係はかなり厚くなっており、今後の来訪外国人拡大の帰趨も隣国中国との関係次第だということができます。

入国外国人総数は2004年頃から大きく増加しています。そこで、2000年を100とした指数で、各国の増加ピッチを見てみることにします(1991年を基準にすると全体の増加率が3倍になって、国別増加率が大きすぎてしまうために2000年を基準としました)。

指数.jpg

2000年から2013年の増加率が大きかったのは、タイ6.5倍・中国4.2倍・香港3.1倍・台湾2.4倍・韓国2.1倍でした。他方、米国は1.1倍でほとんど横ばいに推移していて、オーストラリアも1.6倍、欧州諸国を含む「その他」も1.7倍で、それほど増加していません。日本人がイメージする外国人=白人の来訪者はもともと少ない上にあまり増加してきていないことが分かります。

2013年は、年間入国外国人数が前年比で208万人も増加し初めて1千万人の大台を超えました。直近の増加傾向を見るために、この208万人の増加の内訳を見てみます。

増減.jpg

増加数で見ると、台湾74万人・韓国41万人・香港27万人の計142万人で年間増加208万人の68%を占めています。ひとつ前の指数グラフで見ると、韓国は2011年原発事故前の2010年水準の回復に見えますが、台湾と香港は2013年に過去最高数を大きく更新しています。逆に、中国は2万人減少していて、2011年原発事故前の2010年の水準にまだ回復していません。短期的には理由があるのでしょうが、中国からの来訪者数が今後どう推移していくかは大いに注目していく必要があります。

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