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2011.02.04

 遅すぎだよ!と思ったのが、大相撲の八百長メール発覚事件だ。野球賭博の捜査の過程で押収された携帯電話のメールから判明したのだという。大相撲の八百長は昔から公然の秘密だった。70年代から「週刊ポスト」が疑惑を追及し、最近では「週刊現代」が数々の八百長疑惑を取り上げていた。しかし、相撲協会が訴えれば、八百長をやった相撲取りの直接証言が得られず、裁判上はメディア側が相次いで敗訴。名誉棄損というわけだ。損害賠償額も年々高額化し、「週刊現代」などはかなり高額の損害賠償を要求された。

 それが、あっけない形で表面化した。力士たちが、星の貸し借りをメールでやり取りしていたのだ。露骨である。警戒心がなさすぎるし、これが相撲界では日常的に常態化していたことを物語る杜撰さだ。相撲協会は、野球賭博だけではなく、死者を出した暴力事件からヤクザとの癒着関係までスキャンダルまみれの歴史を持ってきた。タニマチとの不可解な関係や脱税も日常的だった。それでも、今回のような致命傷にいたる八百長だけはタブーとして封印されてきた。横綱審議会も形だけで、角界の旧態然たる体質にまでメスをいれることはなかった。NHKやフジテレビなどの大相撲を放送してきたテレビ局も、一般紙やスポーツ紙も同罪である。それもこれも、大相撲による人気を利用したメディアの商売が優先されてきたためである。真実を隠してでも、営業を優先させてきたのである。職業倫理もゼロだ。いってみれば、財団法人相撲協会とNHKを先陣としたメディアが利益共同体を防御してきたのである。

 しかし、今回ばかりは言い逃れできないばかりか、相撲協会じたいの存続すら危ぶまれる事態を現出させた。一巻の終わりである。特別調査委員会がいかなる形で真相を公表できるかどうかが注目される。間違っても、これまでの角界疑惑のような、あいまいな決着だけは願い下げだ。第三者の目で、きっちりと落とし前をつけないと、相撲フアンが離れるばかりか、相撲協会じたいの解散もありうるだろう。

 財団法人相撲協会は、税制の優遇に加えて、日本の国技という位置づけで、甘えの構造ともいえる特殊な世界を形成してきた。歴史的な由来のある国技ということで、不問にされた事件も数多い。しかし、今度ばかりは、相撲協会の管轄官庁である文部科学省も公益法人の資格をはく奪するくらいの英断をしなければ、国民は許さないだろう。NHKやフジテレビも、これまでのような年中行事的な相撲中継を継続するわけにはいかないだろう。

 そもそも、外国人力士に占領された相撲界は、日本の国技と称するにはおこがましい、危機的状況にあった。朝翔龍に代表される、国技という範疇を逸脱したメンタリティの相撲取りも多かった。年寄株制度という異常な存在、封建的な徒弟制度、女性は土俵を汚すので土俵にあがれないという不合理なしきたりなど、これまで維持されてきたのは、NHKを初めとした、メディアも共同共謀正犯である。どんな、角界スキャンダルが発覚しても、何事もなかったかのように、年6回の大相撲興業を放送してきた。A級戦犯は紛れもなくNHKである。むろん、相撲協会に出入りする記者や、相撲評論家、相撲解説者も同罪である。今後、どんな真実がどこまで明らかになるかは注目して見守るしかないが、少なくとも、相撲協会はいったん解散し、メディアも放送や報道を完全自粛すべきである。その上で、国技ということに関して徹底した検証作業をやり直して、数年後の再生を目指すべきである。もはや、相撲フアンの土俵に向けられる疑惑のまなざしは当分の間消えることはないだろうからだ。

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