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「ベビーシッター事件」での鈴木宗男氏による乙武洋匡氏への反論が、完全に失敗してしまっている理由

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ベビーシッター事件に関して鈴木宗男氏と乙武洋匡氏との意見の対立がヒートアップしている。今回は、両氏の「ベビーシッター事件」についての意見自体についてではなく、鈴木氏の乙武氏への反論が、鈴木氏の対外戦略的に完全に失敗している理由について述べたいと思う。

鈴木宗男氏の発言が失敗である理由

どちらが「正しい」「正しくない」の問題はさておく。私はこの一連のやりとりは、鈴木宗男氏の「政治家」としての発言としては、対外的に大きな失敗(決して「失言」とは言わない)だと考えている。もちろん鈴木氏の意見に賛同する人も多くいるだろう。一方で、鈴木氏は多くの支持を失う可能性がある。その理由は、乙武氏と鈴木氏との社会的に置かれている立場の違いによるものだ。

二人の「立場の違い」

乙武氏は、作家であり、タレントであり、スポーツライターなどの活動をこれまでされてこられてきた。一方、鈴木宗男氏は、北海道足寄町出身で、長きに渡り政治家として活動してこられた。

立場が全く異なる2人の発言は、当然、異なった視点からなされることが当然である。鈴木氏はその点に考えが及ばなかったのではないだろうか。

端的に言ってしまうと、鈴木氏の発言が陥った失敗の本質は、鈴木氏が、「特定の事件」「特定の被害者」に対して、政治家として、直接的なコメントをしてしまったという点に尽きる。

以下、これまでの経緯を簡単にまとめる。

これまでの経緯

発端は、3月18日(火)の鈴木宗男氏によるムネオ日記である。

インターネットで見ず知らずの人に簡単に自分の子供、しかも2歳と8ヶ月という幼い子を預ける母親の神経も首を傾げざるを得ない。(略)報道で知る限り母親とベビーシッターの男は面識もなく簡単にインターネットでのやり取りである。母親として見ず知らずの人に預けた場合、安全性とか誘拐とか頭になかったのだろうか。親として無責任な面があったのではと思うのは私だけだろうか。自由主義・民主主義は相手を信用する。性善説が基本になるが、自分の子供を簡単に知らない人に預ける、あまりにも安易なやり方に何とも無神経と言わざるを得ない。(略)今回の事件を機に何よりも安全・安心について法整備等していかなくてはならない。可哀そうな出来事を活かさなければならないこの現実に何ともやりきれない思いで一杯である。

出典:3月18日(火)ムネオ日記(鈴木宗男)

これに対して、乙武洋匡氏が自身のツイッター反論する。

政治家がすべきは母親叩きではなく、母親がそうせざるを得ない社会状況を改善することでは。RT「見ず知らずの人に預けた場合、安全性とか誘拐とか頭になかったのだろうか。親として無責任な面があったのではと思うのは私だけだろうか 鈴木宗男

出典:乙武洋匡氏ツイッター

この乙武氏のツイッターでの投稿に対して、鈴木宗男氏は3月20日に反論する。

「あなた方は見ず知らずの人に自分の子供をなんの懸念も心配もせず預けますか」と。(略)子供は宝であり、かけがえのない存在である。にもかかわらず2歳としかももう一人8ヶ月の子供を3日間も預けるなら身元やベビーシッターとしての信用等、念には念を入れて預けるのが普通で、どの親でも考えるのが当たり前でないか。 「政治家による母親叩き」と短絡的な表現で私の認識・受け止めを批判するのは迷惑千万である。(略)真面目にやっている人がいるのである。それ以前の問題として親としての心構え、親としてのあり様、なによりも親として自分のお腹を痛めた子供に対する愛情を持つことである。その基本が大事ではないかと私は言っているのである。

出典:3月20日(木)ムネオ日記(鈴木宗男)

この鈴木氏の3月20日付の反論に対して、 乙武氏は以下のブログを21日に公開し再反論を行った。

私自身は、見ず知らずの方に自分の子供は預けません。また、おそらくは多くの方もそうすることに抵抗を覚えるでしょう。しかし、私がこの問いに対してNOと答えられるのも、「夫婦ともに健在である」「近所に頼める間柄の知人がいる」「経済的に困窮しているわけではない」などの条件を幸運にもクリアしているからです。 ですが、世の中には様々な環境で生きておられる方々がいます。(略)当然、「ひとり親で」「近所に知人などもおらず」「経済的に困窮している」方もいらっしゃるでしょう。事件の被害者となった母親は「なんの懸念も心配もせず」わが子を預けたとお考えなのでしょうか。もし、そうだとしたら、その浅慮に驚き、あきれます。(略)弱者への心配りを忘れない政治活動を行ってきた氏だからこそ、今回の事件を「無責任な母親の愚行」で片づけてほしくなかったのです。「今回の事件は、あくまで氷山の一角であり」「同様の困難を抱えるひとり親は数多くいる」という認識に基づき、ぜひ政策面でのバックアップをお願いできれば、これほど心強いことはありません。

出典:鈴木宗男氏への回答「政治家だからこそ、弱者への心配りを」

そして、3月23日付で、鈴木氏は乙武氏に対して回答を寄せた。

乙武さん、このお母さんは以前預けた時、「あざ」が出来ていましたと言っています。そのような出来事があったのなら、なぜもっと慎重にしっかり調べてわが子を預けないのでしょうか。(略)このお母さんがベビーシッターにお金を払い、2歳と8カ月の子供を預けた3日間、お母さんは何をしていたのかも気になるところです。(略)私は人としての心構え、人の道、親としての果たすべき役割は、誰しもが持っていなければならないと考えています。この2歳と8カ月の子供を預けたこのお母さんのテレビでのインタビューを聞いていますと、子供のことより自分の価値観で生きていたと受け止めた次第です。先ほども触れましたが、以前預けた時は「あざがあった」と今頃言うなら、何故もっともっと慎重にベビーシッターを選び、身元も確認しなかったのか、今尚、私は疑問に思います。(略)乙武さん、上から目線で一方的な物言い、乙武さんの人間性を疑います。あなたご自身もレストランで嫌な思いをしたのではないですか。私は、政治家として信念と魂をもってやってきましたので、これからも私なりの生き様をして結果を残したいと決意しております。

出典:3月23日(日)ムネオ日記(鈴木宗男)

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