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都知事選、“中の人”から見てどうだった?~新田哲史×宇佐美典也×原田謙介鼎談~

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家入氏の会見。新田氏の姿も。
家入氏の会見。新田氏の姿も。 写真一覧
舛添氏が211万票余りを獲得するという結果で幕を閉じた東京都知事選。今回の都知事選には、BLOGOSに参加するブロガーもさまざまな形で携わった。そこで、家入陣営のスタッフとして奔走した新田哲史氏、途中まで田母神陣営に参画した宇佐美典也氏。「ASK TOKYO 2014」などネットを使った取り組みで投票率向上に取り組んだ原田謙介の3人に今回の都知事線を振り返えると同時に、解禁から2回目となったネット選挙運動の今後などについて語ってもらった。【構成:永田 正行(BLOGOS編集部)】

マスコミの政策アンケートは候補者を値踏みするための“踏み絵”


原田謙介(以下、原田):新田さんは、「広報担当」ということで家入陣営に参画されていましたが、具体的には、どんなことをされていたんですか?

新田哲史氏(以下、新田):本来であれば、メディア戦略全般を担当したかったんです。僕は去年、鈴木寛(元民主党・参議院議員)さんの選挙にかかわりましたが、その時はスピーチの部分も含めて、どういう方向で打ち出すか、といった部分にも関与しました。ですが、今回はっきり言って、物理的にそこまでの余裕はありませんでしたね。

都知事選はメディアの影響が大きいので、最低でも告示日の前日までに記者会見をやらなければならないのですが、このイベント一つやるだけでも、記者クラブ側と調整など非常に手間がかかるんです。

家入さんの場合、一般的な知名度はそれほどないので、やはり堀江貴文さんも同席させた方がインパクトがあるだろうと。堀江さんは協力的だったのですが、会見予定日の中で堀江さんの空いている時間がすごく限られていて調整に苦労しました。幹事社の日経新聞さんに、「どうして、その時間がいいのか」と聞かれて、「いや、ちょっと候補者本人が恥ずかしがり屋で友だちがいないと会見できないと言っていて…」と答えたら「友だちじゃなくて本人が会見するんでしょ!」とメッチャ怒られて。まったく正論なんですけど(笑)。

既成政党の場合、一般的には、候補者本人がいて、選対本部で一番偉いのは選対本部長。事務方をしきるナンバー2として、選対事務局長がいるという形が多いですね。今回、松田馨さんが、家入陣営の本部長を務めていました。だから、僕は事務局長兼広報担当という感じでした。

原田:家入さんは初出馬・無所属ですから体制作りは大変だったと思うんですけど、鈴木寛さんのときと比べるとスタッフの規模というのはどれぐらい違うんですか。

新田:鈴木さんは、最近まで与党だった政党にいた方ですから、体制は全然違います。家入さん、選挙が始まった段階では4~5人。1月23日時点では、本当にコアで動いているのは、10人ぐらいのメンバーでした。都知事選のような規模で通常、こんな少人数で動くことはありえないですよ。

鈴木さんの事例でいうと、落選中の元衆議院議員や都議会、区議会議員なども応援にきているので、常に数十人単位で動いています。会議をやれば、参加者が20人をきるということはまずありえなかった。加えて、運動員やボランティアの方がいらっしゃるので、全然規模が違いますね。

原田:田母神陣営はどれぐらいの人数がいたんですか?

宇佐美典也(以下、宇佐美):選対のスタッフといわれる人はだいたい30人ぐらい。別働で三橋貴明さんみたいな政策検討する人が10~20人ぐらい。あわせて50~60人ぐらいですかね。

でも、結構リソースが偏ってましたね。街頭で活動するためのスケジュールを決めたり、協力してくれる演者とか弁士を確保したりっていう人たちばかりで、ネットとかに対応する人がいなくて。最初は僕がそこを引き受けていたんですけど。

新田:参院選や知事選といった都道府県単位の選挙であれば、コアメンバーは30~40人ぐらいの規模が普通だと思います。ただ、最近ネット選挙が解禁されたことで、プラスでネット対応のスタッフが必要になります。鈴木さんの場合は、教え子などがどんどんボランティアで入ってきたので、それも含めたら、70~80人ぐらいになるんじゃないですかね。

おそらく今までは、地上戦で街頭演説とかゴリゴリ決まったことをやっていればOKという部分もあったと思うんですけど、参院選や特に都知事選のようなメディアの注目が高い選挙では、政策的な部分が問われることになります。なので、政策という“コンテンツ”を打ち出していくことが重要で、そうした政策ブレーンの数というのは、通常の衆院選、少なくとも参院選よりも多いのではないかなと思います。

原田:有権者から見ると、選挙のスタッフというと演説の手伝いやビラ配りをしたり、というイメージがあるので、バックエンドの人たちがどういう作業をしているかわからないんですよね。政策を作る人が必要だというのはわかるんですが。

宇佐美:僕が当初やっていたのは、マスコミから来るアンケートに、どういう回答をするか、というのをひたすら考えてました。都知事選の場合は、候補者のプロフィールや政策アンケートなど、膨大な数の資料が各メディアから送られてくるんですよ。マスメディアに加えて、最近はネットメディアや、それなりに名前のある市民団体などからも「あなたこの件についてどう思ってるの?」という資料が、ガンガン送られてくるので、その対応窓口をやっていました。

コアな政策は決まっているのですが、細部は決まっていないので、それは選挙しながら考えていくわけです。「こういうお題が来てるんですけど、この政策についてどうします?」というのを、他の政策スタッフと話して「こう回答しましょう」と。たまに田母神さん本人にも確認して…というデスクワークですね。

新田:政策アンケートも、候補者の得意分野ばかり聞いてくるわけじゃありませんからね。むしろあまり知らない分野のほうが分量としては多い。田母神さんは防災や危機管理、家入さんは「コミュニティづくり」、そういった話は得意だけれども、まったく得意じゃない分野もぼんぼんくるわけです。

このアンケートについて一言いわせてもらうと、若干マスコミ批判になってしまうんだけど、都政とまったく関係ないとんちんかんな質問が多い。「特定秘密保護法について、どう思いますか?」みたいな「それ本当に都政と関係あるの?」みたいなものですね。原発はまだエネルギー大消費地として関係がありますが、特定秘密保護法が都政になんの関係があるのかと。そういう間抜けな質問を某新聞が送ってくるわけですよ。特に左派系のメディアに多いです。

宇佐美:憲法9条、特定秘密保護法、原発、集団的自衛権、靖国参拝…。このあたりは聞いてきますね。NHKはさすがに良心があるのか聞いてこないですけど。

新田:毎日、朝日新聞は踏み絵を踏ませてきますよね。

原田:有権者に知ってもらうためにと言うよりも、その新聞のフォーマットのために聞いているということですか?

新田:もちろん、選挙戦の中盤ぐらいの都内版の面数が多い日に特集ページで一覧表を掲載して、読者に見せるためでしょう。でも、特に朝日さんとか毎日さんの場合は、そこで候補者の品定めをしたいから、まったく都政とは関係ないものをいきなり投げてくるわけですよ。

原田:朝日や毎日の読者は、その話題を知りたいかもしれませんしね。一方で、例えば、東京都の青少年条例や保育所の整備の話など、東京ならではのミクロな問題もありますよね。そういう話題とのバランスはどうですか?

新田:それは、メディアによりますね。さすがに朝日さんや毎日さんもそこのバランスはちゃんとしていて基本は都政の質問です。ただ、「こいつは右のポジションだよ」という感じをあぶりだしたいという意図を持った質問なのかもしれません。

原田:最終的な紙面を見ると、○×△で表示されてたり、「無回答」みたいなケースもあったりするんですけど、無回答というのもありなんですか?

新田:逃げの戦術というのは全然ありですよ。今回舛添さんは選挙戦全般でアウトプットはすごく慎重にやってましたよね。

原田:僕が企画したTwitterで候補者に質問に答えてもらう「ASK TOKYO 2014」でも、舛添さんが答えてくれたのは、「好きなおにぎりの具」とか「座右の銘」「好きな歴史上の人物」とか。外国人参政権や少子化にも触れてましたけど、あんまり政策的なことについてはいわなかったですね。

新田:舛添さんの場合、支持層が自民、公明と幅広いですからね。さらに都知事選の場合無党派もとらないと勝てないから、 あんまりエッジを立たせない戦略だったんでしょう。

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