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一つの夢を追うリスク 〜「将棋の子」(大崎善生)〜

メール、mixi、twitter、facebook と楽しいコミュニケーション・ツールの普及に従って、人々が落ち着いて一つのことに集中するのはますます難しくなっている。

そんなわけで、子供や若者が一つのことを一生懸命やると、たいがいの大人は感心するわけだが、やっている本人は大変な肉体的・精神的負担に加えて大きなリスクを負っていることも多い。

「将棋の子」(大崎善生 著)は、将棋の棋士を目指して北海道から母と二人で上京した天才少年・成田英二の半生を追ったノンフィクション小説である。将棋のプロになるためには、奨励会と呼ばれるプロ棋士養成のための組織に入り、26歳までに規定の成績を収めて四段に昇段しなければならない。そのため、早い場合は小学生のうちから奨励会に入会し、青春時代の大半を費やしてプロを目指す。

奨励会に入ること自体、非常に狭き門であり、プロ棋士が才能を見出した少年・少女だけが入会を許されるのだがその奨励会に入って長い修行を経ても、規定の年齢までに四段になれるのはわずかに2割弱だ。両親の期待を受けながらプロを目指す成田が24歳の時、父は不幸にして急死し、母はガンで余命1年と宣告される。年齢制限を間近にした成田は重圧に耐えられず、ついに奨励会を退会する。両親と将棋をいっぺんに失った成田の人生は厳しいものになる。

高い知能と強い意志を兼ね備えた成田の人生は、どこでおかしくなったのだろうか?
チャンスを逃さないこと、謙虚であること、若い頃に視野を広げること、計画性を身につけること、良い金銭感覚を身につけること、常識を身につけること、人間関係を豊かにすること、助言してくれる大人を探すこと、といった多くの人が程度の差こそあれ大人になる過程で自然と身につけていく能力がいかに大切であるかを痛感させられるドキュメンタリーだ。

新しい本ではないが、これから進路を決める人たち、子供がこれから人生を決める保護者の方たちにお勧めしたい本である。

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