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大相撲の危機−本当の理由

大相撲の八百長問題に関して「ウミを出し切るべき」などという意見が出ているが、昔から公然と語られてきた問題だけに白々しいと感じている人が多いだろう。

経済学者の Levitt はベストセラーとなった著書:Freakonomics (邦訳:ヤバい経済学 [増補改訂版])の中で、7勝7敗の力士が千秋楽に勝ち越す比率が異常に高い事を以って「八百長の疑いが濃厚」と結論付けたが、そんなことは昔から分かっていたことだ。相撲オタだった私が小学生の頃ですら、7勝7敗力士の勝率が異常に高いことには気づいていたので当然、関係者や相撲評論家であればみんな知っていただろう。元関取の板井や若の鵬はマスコミでも公然と八百長の存在を認めているし、貴乃花ですら、やくみつるの誘導尋問に引っかかって、若乃花の横綱昇進に関して八百長があったことをテレビで暗に認めたことがある。

注目すべき事はむしろ、近年立て続けに起こった相撲協会の不祥事では相撲協会への批判が非常に熾烈なものとなっている点だ。

2007年の時津風部屋力士暴行死事件などは、以前から心不全などで似た例があったと言われているが今回ばかりは刑事事件に発展した。もちろん、世の中の目が全体に厳しくなり事件のもみ消しが困難になった面もあるだろう。

しかし、相撲協会に絶え間なく圧力がかかっている本当の理由は相撲協会の経営環境が悪化した事だ。

過去4年間の相撲協会の事業関連収入と支出を見れば相撲協会の経営が急速に悪化していることが分かる。最近2年分は予算段階だが、近年4年間のデータを見る限り予算は前年度の数値の後追いのため決算はより悪い数値で着地しており、実態はもっと悪い可能性が高い。もちろん、春場所の中止によって更に10億円規模の莫大な損失が出るだろう。また近年は、年間28億円と言われ協会の収入の3割近くを占める放映権料を払っているNHKの経営状態も、以前ほど余裕がない。

ある時点で協会の経営状態が大幅に悪化することは何年も前から想定できた。
大相撲の人気は若貴ブーム以降ほぼずっと下降線だったが、当初は、チケットが需要過剰だったことによるバッファや、チケットの販売価格と市場価格の差というバッファが協会の経営の緩衝材になったからだ。(ただし、その部分を利益にしてきた相撲茶屋などはその影響を早くから受けた。)それが近年になって、正式な売り上げの急減という形で相撲協会の経営に大きなインパクトを与えることになった。

現在の経営危機は、予測できた問題を何年も放置してきたツケだといえる。

そんな中、政府や監督官庁である文科省はいよいよ中卒の元力士が経営に当たっている相撲協会を本格的に文科省の統制化に置いて経営陣を送り込むのか、あるいは突き放して一般の営利団体として運営させるのか、判断している最中なのだろう。今なら八百長カードという最強の切り札を使って相撲協会を変えることが出来る。

10年、20年先を考えたとき、元力士の集団に相撲協会を経営する手腕がない事はほぼ明らかである。今、本当に試されているのは政府と文科省の経営判断なのだ。

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