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籾井NHK会長は辞任しNHKの番組で問題点を検証する放送を行うべきだ

 先日、研究所に一本の電話がかかってきました。BBCの記者だと言います。

 NHKの籾井会長についての記事を書いていて、たまたま私のブログを見つけたので、その一部を使わせて欲しいと仰います。

 もちろん、私は「良いですよ」と答えました。使いたいのは、2月6日付の「『NHK乗っ取り作戦』が安倍首相の躓きの石になるかもしれない」というブログの記事だそうです。

 驚きましたね。このような取材があるのも、NHK会長問題が国際的な注目を集めているということの証左でしょう。それだけ報道のあり方にとって重大な問題を提起しているということを意味しています。

 実は、NHKと大原社会問題研究所は若干の関わりがあります。戦後の早い段階で、研究所の初代所長を務めた高野岩三郎がNHK会長に就任したからです。

 戦前の研究員で高野さんの弟子だった権田保之助もNHKの理事になって高野さんを支えました。現会長の籾井さんや経営員として物議を醸している百田、長谷川さんなどと比べて、その違いの大きさに驚いてしまいます。

 常識はずれの不適切な言動によってNHKに対する信頼を大きく損ねてしまった籾井さんらを、あの世の高野さんはどのような目で見ているでしょうか。これ以上、傷を深くすることなく、とっととその地位を去ってもらいと思っているにちがいありません。

 今回の騒動に関連する人で、法政大学と若干の関わりのある人がもう一人います。百田さんとともにNHKの経営委員に送り込まれた神懸かりの哲学者・長谷川三千子さんです。

 この人の父方の祖父は野上豊一郎で、法政大学の総長だった人です。戦後の49年に大原社会問題研究所が法政大学との合併を決めたとき、一方の当事者になったのがこの野上総長でした。

 野上さんの奥さんで長谷川さんのお祖母さんに当たるのが、著名な作家で宮本百合子の友人でもあった野上弥生子です。長谷川さんはどれだけ自覚しているか分かりませんが、今回明らかになった右翼テロ賛美やフェミニズムに対する敵意などによって、この祖父母の名声に泥を塗ったことになりました。

 NHK会長や一部の経営委員に対する批判はその後も止まず、受信料の不払い運動なども起きているようです。実は、このような騒動が起きるのは今回が初めてではありません。

 「エビジョンイル」と言われて専横をふるった海老沢元NHK会長も、相次いで発覚した不祥事で視聴者の信頼を失い、受信料不払いの急増を招いて辞任に追い込まれました。今回は特に長谷川経営委員の前例があるだけに、もっと深刻な影響が出る可能性があります。

 長谷川さんは、NHKの放送内容が気にくわないということで受信料を払わなくても経営委員になれるし、そのような行為がとがめられることも責任を取る必要もないということを証明してしまったからです。受信料の不払いをとがめて協力を要請することはこれまで以上に難しくなり、籾井さんが海老沢元会長と同じような末路を辿る可能性は高いように思われます。



 籾井会長が理事全員の日付なしの辞表を預かった問題も大きな波紋を呼びました。これについて、籾井さんは「一般社会ではよくある」と弁解しましたが、東京新聞が「東証一部上場企業を中心に大手企業50社に緊急アンケートしたところ、経営トップが役員らに辞表を出させていると回答した企業はゼロだった」そうです。

 籾井さん自身、これまでそのようなことはやっていなかったそうですから、今回初めてそのような異例の措置を取ったことになります。「いつでも止めさせることができる」という緊張感を持たせて「ボルトとナットを締め直し」、NHKを自分の思い通りに動かそうとしたのでしょう。

 そもそも、日付なしの辞表提出に問題がなく、「緊張感でもって、皆で一丸となってNHKをやっていこうというつもり」だったというのであれば、籾井さん自身も自らの辞表を経営委員長に預けるべきでしょう。そのような形で緊張感を持たせられれば、籾井さんの言動ももう少しマシなものになるかもしれません。

 いずれにしても、窮地に立たされているのは籾井会長だけではありません。NHK全体が信頼を失い、報道機関としての真価を問われています。

 信頼を回復するためには、籾井さんが自ら身を引き、批判を浴びている長谷川、百田の両経営委員を解任しなければなりません。そして、NHKの「クローズアップ現代」などの番組で「NHK籾井会長問題」を特集し、問題点を検証したうえで自己分析的な解明と解決に向けての方向性を明らかにするしかないでしょう。

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