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「ワーキングマザー礼賛」だけでなく、私たちは具体的な方法が知りたい

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2月16日(日)@渋谷ヒカリエ。4月に育休から復帰する女性とその家族向けのイベント、「ママカレッジ復帰2ヶ月前講座」に参加してきました。

会場には多くの若いママたちの姿。赤ちゃん連れの方もいます。おしゃれなカフェのようなBGMが流れ、穏やかな雰囲気の中、ワークショップが始まりました。

育児と仕事では、「使用言語」がまるで違う


まずは、先輩ママたちが仕事や家庭に関する経験談を語るパネルディスカッション。ステージには、楽天㈱で働く堀尾さんとUR都市機構の中山さん、コクヨファニチャー㈱の幸森さんという3名のワーキングマザーがパネリストとして登壇。

育休明けの際、8割の女性が抱える不安は「仕事関連」だそうです。

「育休中は子育てに没頭しているので、部署名や人の名前など、基本的なこと、以前は普通にしていたことを忘れている。とにかく普通に『言葉』が出てこない」(中山さん)

(参考までにパネルディスカッション時の写真です。※撮影に関しては、事前に『撮影やHPへの掲載NG』の方に挙手してもらっており、皆さん撮影OKでした)

「ママは絶対に倒れちゃダメ」のプレッシャーは「◯◯」で解決


仕事と育児の両立に必要なのは、一にも二にも「体力」です。

「育休中は満員電車のような人混みや、8時間ぶっ通しで集中するようなことがないから、体力や免疫力が低下している。自分が倒れると家族みんなが大変。とにかく体力作りが大切ですね」(幸森さん)

「どのタイミングでお風呂に入れるか、ご飯を炊くのは何時にするかなど、生活パターンが決まってくると毎日がラクに過ごせるようになる。最初にご飯?それともお風呂に入れるのが先?など、シュミレーションしておくのが大事だと思います」(堀尾さん)

「やっぱり大変そう……」と会場のママたちの表情が少しだけ陰る中、

「頼れるものがあれば頼る。お掃除ロボット、食洗機は便利です。私は献立を考えるのが苦手なので、カットした食材が入ってそのまま調理するだけの『献立セット』を利用していました。」(堀尾さん)

「電気でできることは電気で!(笑)育休中はどうしても『家事は完璧にしなきゃ、子供がハイハイするから床のホコリも全部きれいにしなきゃ』って何回も掃除機をかけたりして、家事のレベルが自分の中で上がってしまう。そのレベルで夫と家事をシェアするのは無理。自分を甘やかして家事のレベルを下げる。夫への不満をためないためにも」(幸森さん)

両立のためには家事のハードルを下げ、家電や民間のサービスにも頼る。「ママが倒れると家庭が全てダウン」してしまうという“無理ゲー”な構造は、すぐには変わりません。だから頼れるものには頼って乗り切るという、ママたちの「強さ」を見ました。

「たくましい母親像」というテンプレートは、ワーキングマザーにこそ当てはまるのかもしれません。が、その「たくましさ」を母親だけに押し付けていると、どこかで無理が出てくるのではないかとも感じました。

「育休明け」は上司も自分も手探り状態


育休明け当初は、周りも自分も「この人には、どこまで頼んでいいの?」と手探り状態。

「上司も自分もペースが掴めず、すごく暇でクサってしまうこともあります。でも、『どうして私に仕事をくれないの?』とか、悩まなくていいです。すぐに元の忙しさに戻るので(笑)、あまり悩まずに」(幸森さん)

堀尾さんは「午前3~4時に起きて、子供が起きるまで仕事。土日も夫に事情を話して出勤。そのような姿を職場の人たちに見せているので、時短勤務でも納得してもらえるかな」と大変そうです。

「限られた時間で精神的に追い詰められ、いっぱいいっぱいで仕事しなきゃ!みたいな人が多いと感じる。効率ばかりではなく、インフォーマルなコミュニケーションも大事なんじゃないかな」(中山さん)

中山さんは飲み会への不参加をカバーするため、ランチ会を実施しています。

保育園に預けたほうが子供のためになる


仕事への不安に次いで多かったのが「保育園」。「(大変な保活のあと)子供を保育園に預けたとき、ナーバスになっていました。特に『子供がケガしないか』という点が不安だった。でも実際、保育士さんが本当に、丁寧に子供を可愛がってくれているのを見て安心した。ずっと親といるより、保育園に行った方が子供のためになる」(幸森さん)

「知人から『まだ小さいお子さんを預けてかわいそう』と言われることもあった。『親の勝手で保育園に預けている』と悩んだこともあります。でも、子供は友達や大人に愛されて育っていく。今春に卒園する上の子を見ていると『保育園に預けてよかったな』と感じます。子供の成長を見れば、預けることへの不安は解消されると思う」(堀尾さん)

聞いているママたちが、ホッとした表情で頷いていたのが印象的でした。

ワーキングマザーになって良かった!


「良くも悪くも、自分の意見に固執しなくなりました。議論の妥協点を見つけるようになったというか、『優しい気持ち』になれることが増えた。育休前にはイラッとして『なんで分かってくれないの!』と思っていたことも、育休後は『(子どもと向かい合う時と同じように)何度でも言うのが大事なんだな、また同じことを教えてあげればいい』と、イライラしなくなったんです」(幸森さん)

「5時で帰宅しなければいけない状況で、アウトプットは変えられない。タイムマネジメントは上手くなったと実感しています。育休前の仕事は、ダラダラしていたわけじゃないけど、ムダな時間もあったなと思う。仕事と家庭の両立は大変だけど、充実度は上がりました。子供の成長と自分の成長を同時に叶えられると感じています」(堀尾さん)

「預けてまで働くからこそ、『子供に誇れるような、良い仕事をしたい』と思えるようになりました。子供に良い未来を見せたい、『働くって楽しいことだよ』って、積極的に仕事をしている姿を見せたい。意欲的に仕事をすることが、子供のためになるとも感じています。あとは職場にいるとき、『母の目』で後輩を『育てよう』というか、温かい目で見守ろうという感情になりましたね」(中山さん)

参加したママたちからは、親とのジェネレーションギャップへの不安も


今の30代ママの親世代は、専業主婦が多数派。両親や姑に「どうして預けてまで働くの?」と聞かれたという人も。「私が仕事と家庭の両立なんて、ホントにできるの?」という声が上がりました。加えて夫との関係も大変です。自分は時短勤務の予定だけど、夫は相変わらず「午前様」。生活時間を夫に合わせられない時は、どうすればいいの?……不安は尽きません。

ひと通り悩みをシェアしたら、各テーブルに1人ずつ「聞き役」として座っていた先輩ママがアドバイス。

「復帰にあたって、職場の人からの情報収集は重要かな。あとは『ここだけは譲れない』という、自分ができること、できないことを明確にしておくことも大事」

「一度上がってしまった家事のレベルは、忙しくて自然と下がっていくから(笑)心配しなくても大丈夫よ」

「1人目の子供は特に、自分の『育児が反映される成果物』みたいに思ってしまって、ナーバスになるよね。大事にしすぎて、保育園に預けることさえ不安になる。でも、保育園の先生たちはみんな、大事に育ててくれるから安心して。先生からも愛されて、保育園から帰ってきたらママからも抱きしめてもらえる。それってすごく良いことなんじゃないかな」

全てが不安な新米ママたちに、先輩ママが優しく寄り添って共感しあっている。何だこの優しさに満ちた空間は……「ワーキングマザーを賛美するだけのイベントだったら、ちょっと期待外れだな」と、少し身構えていた自分まで自然と、「育児は自分のこと、ひいては社会のこと」であると感じられました。同時に、育児や仕事は「社会のこと」なのに、どうしてワーキングマザーだけがこんなに悩んでいるんだろう、との思いも湧いてきます。

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