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北方領土問題〜現状を理解せず、外交姿勢も一貫しない前原外相に猛省を促す

北方領土問題
ロシアが実効支配を一層強化
タス通信「大統領は日本との対話を閉じた」

歴史認識を改めないと、ロシアと議論することはできない



 ロシアのメドベージェフ大統領が9日、北方領土の実効支配を軍事・経済両面で一層強める意向を明言したことについて、イタル・タス通信は、「大統領は事実上、領土問題をめぐる日本との今後の対話を閉じた」と報じました。

 そうした中、モスクワを訪問した前原誠司外相は11日、ロシアの外務省でラブロフ外相と約2時間近くに渡って会談しました。

 ラブロフ外相は会見で、メドベージェフ大統領の国後島訪問を「許し難い暴挙」と非難した菅首相の発言に不満を表明し、議論は平行線を辿りました。

 菅首相も前原外相も、ロシアとの外交について点数をつければ「0点」と言わざるを得ないでしょう。


 従来、北方領土問題は専門家同士の話し合いによって交渉が行われてきたので、ロシア国民の中には詳しい事情を知らない人も多かったはずです。

 ところがメドベージェフ大統領の国後島訪問をキッカケにして事態が変わりました。

 日本の反発がロシアでも報道され、北方領土問題についてロシア全国民が知るところとなったのです。

 結果、日本大使館の前で日本の国旗が焼かれるなど、ロシアの一般市民も興奮し始めてしまいました。

 前原外相との会談でラブロフ外相は、「第2次世界大戦の結果を認めない限り、話し合いは無意味」という趣旨のことを述べたそうです。

 第二次大戦末期、ヤルタ会談でドイツ降伏後のソ連による対日参戦と、千島列島をソ連に引き渡すことが、米ルーズベルト大統領とソ連スターリン書記長の間で取り決められました。

 また、終戦までに、トルーマン大統領はスターリン書記長による北海道分割という提案を拒否し、北方四島をソ連に譲ることについて承諾したとも言われているなど戦後を見据えた米ソに激しい駆け引きがありました。

 この事は「戦争の結果」であって、今さら「固有の領土」という概念を持ち出してみてもロシアが受け入れることはないでしょう。

 もしその議論が成立するなら、米国は「固有の領土」をネイティブインディアンに返還し、国民は英国に戻りなさいという話になってしまいます。

前原外相は、力の外交を展開するなら徹底的にやれ



 歴史的な背景を認識しつつ、今日の日ロの友好関係から、ロシア側は「2島先行返還」「面積等分」などのプランを提示し歩み寄る姿勢を見せていたのに、それを全くの無駄にしてしまったのです。

 余りにも前原外相の態度がひどいために、ロシア側も「そこまで言うなら、2島先行返還もない」と態度を変化させてしまいました。

 前原外相は松下政経塾のOBですが、「日本外交の基礎・第1章」くらいしか理解していないのではないかと皮肉の1つも言いたくなります。

 さらに言えば、「外交態度に一貫性がない」ことも致命的だと私は感じています。

 例えば、ロシアは中国や韓国の企業と合弁で北方領土での事業を開始するような動きを見せていますが、前原外相はこれについてどのように対処するつもりでしょうか?

 もし私が前原外相ならば、「ロシアとの合弁事業を始めた企業には、今後一切、日本との交渉・交易を認めない」という強い姿勢を打ち出し、抑止力として利用することを考えます。

 もちろん、私はこのような姿勢に同意もしませんし、推奨もしません。

 しかし、今行われている前原外相の外交からすれば、このような態度に出ないとつじつまが合わないはずです。外交の一貫性が失われます。

 ロシアの合弁事業の呼びかけに対して、大連のある企業が手を挙げているとの噂がありましたが、大連市当局はすぐに否定し、該当企業の特定に乗り出す姿勢を見せました。

 なぜ大連市がこうした行動に出るのかと言えば、大連にとっては「ロシアよりも日本が大切」であるためです。ゆえに、大連市の企業はロシアとの合弁事業には参加しないと表明するのです。

 前原外相が「力の外交」を押し通そうとしているならば、ここまで 徹底的にやらなくては意味がありません。韓国でも中国でも、ロシア と北方四島の合弁事業に手を出すなら、一切日本との交易を認めない と表明し、企業名を名指しで公開しても良いくらいだと思います。

 そこまでの覚悟もなく、だらしない外交を展開しているのですから、全く目も当てられない状況です。

 また枝野官房長官にしても、先日海上保安庁の航空機で北方領土を上空から視察し、「思った以上に近い。皆が近さを知れば、関心は大きくなる」と述べたとのことですが、そんなものは「Google Earth」を利用すれば済むことであり、どんな外交的な意味があるのか私には理解できません。

 菅首相、前原外相、枝野幹事長のいずれも、もう1度「外交の基礎」から学び直してもらいたいと私は思います。

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