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GoProのIPOで、今、わかっていること

ウェアラブル・カメラ『HERO3』などを出しているGoPro新規株式公開(IPO)の準備を急いでいます。

IPO申請書類(=S-1と業界関係者は呼びます)は、未だ米国証券取引委員会(SEC)の情報公開サイト「エドガー(EDGER)」では見ることは出来ません。その理由はGoProが所謂、サイレント・ファイリング、つまり極秘書類申請という方法を選んだからです。この方法はツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)などの企業も採用しました。

サイレント・ファイリングはオバマ政権が打ち出したJOBS Act(Jumpstart Our Business Startups Act)の中に盛り込まれた新しい規定で、IPOを目指す若手企業はサイレント・ファイリングを選択することで、SECに提出された上場書類を一般に晒されること無く、秘密裏に上場審査を進行させることが出来るというものです。

これは知的所有権などの、その若い企業が持っている企業秘密を、上場の直前まで公開しないことで、ライバル企業からアイデアやビジネスの進め方のヒントを盗まれないようにするための配慮です。

但し、IPOマーケティングが始まってしまうと、全てを公開しなくてはいけません。

極秘申請である以上、現時点でわかっていることは、関係者から漏れ伝わる情報だけですが、それらを整理すると、先ず幹事構成はJPモルガン、シティグループ、バークレイズの3社になるそうです。

JPモルガンはハイテクに特化したブティック、H&Qがハイテク引受の母体を構成しているので、当然の主幹事だと思います。

シティグループはインターネットのIPOなどでは余り聞かない名前なのですが、歴史的にディスクドライブなどITハードウェアの引受に強かったです。GoProは、少なくとも今のところ浮き沈みの激しいハードウェアの会社と見做されていることから、シティのような投資銀行にうってつけの案件です。

バークレイズのハイテク引受はリーマン・ブラザーズのテクノロジー・グループを継承していると思うけど、1990年代に半導体セクターなどを中心に、しっかりとしたリサーチに基づくプラクティスを確立した経緯があります。GoProで最も重要な機関部分は動画圧縮チップです。だからこの選択も納得がいきます。

今回売出し金額は約4億ドルと言われています。多分、発行済み株式数の20%を超える売出しでは無いと思うので、逆算するとGoProの時価総額は少なくとも20億ドル以上ということになります。

因みに2012年に行われた、プライベート・ラウンドではフォックスコンから2億ドルを調達しています。その時の時価評価は23億ドルだったのだそうです。

この他、GoProにはUSベンチャー・パートナーズ、スチームボート・ベンチャーズ、セージビュー・キャピタル、ウォルデン・インターナショナルの各VCが投資しています。

過去のインタビューでGoPro創業者のニック・ウッドマンは「2012年の売上高実績は5億ドルだった」とコメントしています。そして「毎年、売上高は倍増している」とも言っています。

ただJOBS Actが適用されるのは売上高で10億ドル以下の企業だけなので、2013年のGoProの売上高は10億ドルに届かなかったと見るべきでしょう。言い換えれは前年比+100%の売上高成長のペースは、少し落ちていなければおかしいわけです。

今になってシークレット・ファイリングの情報が漏れ始めたということは、実際の申請はかなり以前にされていて、ロードショーが近くなったのでもう秘密をキープできなくなったということなのかも知れません。ソチ冬季オリンピックも行われている折、同社のIPOを行うには絶好のタイミングとも言えます。

鉄は熱いうちに打て。

(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack

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