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“ジコマンでオワコンな自治体”と、地域を盛り上げられる自治体の差は何か

撮影:安藤光展
撮影:安藤光展 写真一覧

自治体の役割とは何か

2014年1月30日に開催された、公益財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団(以下、BG財団)主催、「第6回 B&G全国サミット」に参加してきました。個人的に地方行政は興味があり、色々学びのあるイベントでした。

「B&G全国サミット」とは、日本全国にある自治体から現職首長200名以上、合計約700名以上の自治体関係者が参加する大規模なイベント。毎年異なるテーマで、自治体の取り組みをベストプラクティスという形で共有し、地域活性化に活かすための会議でもあります。

報道関係者もたくさんいましたし、今年は、「Ustream」と「YoutubeLive」のライブ中継もあり、オープンなものとなっていました。

会としては、日本財団・会長の笹川陽平氏の基調講演から始まり、「BG財団の青少年育成事例」や「各自治体の活動事例」に関する発表などが行われ、会期終了後は交流会があり、多くの情報交換がされたようです。

本稿では、タイトルでもあるとおり、「ジコマンでオワコンな自治体と、地域を盛り上げられる自治体の差は何か」について、まとめます。

“ジコマン”で終わる自治体

世の中の自治体首長で、地域活性化とか青少年育成(教育プロジェクト)とか、号令をかけただけで、 満足している所多くないですか? 結局、実施したものの結果を出せず、外部のNPOなどが、その不足した部分を肩代わりするということも多いように思います。

今回のB&G全国サミットでは、「福井県大野市」、「静岡県掛川市」、「兵庫県香美町」、「広島県安芸高田市」の4つの自治体の事例紹介がありました。僕は普段から地域活性化関連の事例を観察しているので、資料もプレゼンも要点をより絞り、 活動結果(数字)を前面に出した方が、より分かりやすかったかなと思ったり思わなかったり。それはさておき、今回は、静岡県掛川市の事例をピックアップして紹介させていただきます。

掛川市では、「自治体、企業、市民、NPO」という4つ主体が密接に関わり合い、環境活動および青少年の環境教育として進める「希望の森プロジェクト」というアクションをしています。自治体が中心となって、様々なステークホルダー(利害関係者)の中で地域を作っていくという仕組みが良いですね。地域活性化とは、商業的な話だけではなく、こういった自治体の教育との関わりがあると、相乗効果もあり良いのではないでしょうか。

また、平成25年4月1日には「掛川市自治基本条例」が施行され、「市民自治による市民主体のまちづくり」を進めると宣言しています。これも条例を作るだけならどこでもできるのですが、「希望の森プロジェクト」のように、様々な組織の協働による仕組み作りをし、PDCAをまわすまでになっているシステムは、特筆すべき点だと思います。

僕は長野県中野市という人口4万人ほどの小さな田舎町の出身ですが(当日、現中野市長・池田氏も参加していたようです)ぜひ、こういう仕組みを取り入れていただき、地域活性化や青少年育成の取り組んでいただきたいです。(市長よろしくお願いいたします!)ちなみに、中野市出身の有名人と言えば、音楽家・久石譲さんがいます。彼と小・中・高が同じなのは内緒です。

キャリア教育と地域活性化の同時推進

これは東京がメインなのかもしれませんが、NPOなどを含めた民間団体が自治体の代わりにキャリア教育を行っているケースもあります。NPOだけでは限界がありますし、事例紹介のあった地域のように自治体もキャリア教育に本腰を入れて取り組むようになると、子どもの“生きるスキル”を高めることができるのかもしれませんね。

実は、経済産業省、文部科学省もキャリア教育推進をしております。地域活性化につながるためのキャリア教育などもあるようで、だた教育プログラムを実施して終わりではなく、その後の地域に経済的な還元をできるような仕組み作りに取り組む動きもあるようです。

傍目には成果がわかりにくい教育分野だからこそ、コンバージョン(最終成果)を決めて実施することも大切です。地域とのつながりを重視するキャリア教育についてのコンバージョンは、経済産業省の「キャリア教育ガイドブック」というレポートがよくまとまっていますのでどうぞ。

地域の企業・市民・NPO・自治体の4領域でのメリットが見込まれるキャリア教育。今回のB&G全国サミットのように、何百人という現役首長が参加する場でこのような事例共有が行われていることは大変素晴らしいことだと思います。

会場で気になるのは…やはりアレ

唯一残念だったのが、参加者に“若い人がいない”ということです。報道関係者も若い人は皆無でした。

自治体の首長レベルが集まっているということもあり参加者の年齢層が高いのは当たり前です。しかし、関係者が年配の方々ばかりで、青少年の気持ちが“実感として”理解できる年齢の近い若手がいなくてもいいのか?と。さすがに、現場には若手はいると思いますが…。

しかしここ数年で30代の市長が何人も当選しています。日本で4、5人はいるでしょうか。例えば、今週2月9日に行われる「東京都知事選」も同じ構造が問題になっているように思います。東京都知事は日本全体に与える影響力も強く、経験や理念・政策の熟成感も必要で、若手の当選がほぼ無理なのはわかります。それでも、30・40代の立候補者が少なすぎると。

また、女性の首長って日本で何人いるのでしょうか。会場でパッとみて“1人もいなかった”ので、ちょっと気になりました。世界でも日本でも「女性の活用」が叫ばれる中で、自治体トップも上場企業役員にも女性がほとんどいない現実があります。ちなみに、全国の自治体は1,700ほどありますが、女性の首長は20〜30人程度とされており、また、内閣府男女共同参画局によれば、上場企業の女性取締役比率は1%程度とされています。

特定層からの視点ではなく、女性も若手も首長になれるような、ダイバーシティ(多様性)のあるアグレッシブな自治体が生まれることに期待しましょう。

何にせよ、地方政治というゲームの“ルール・チェンジ”を即実行することはできません。教育という長期的で成果を数値化できにくい領域だからこそ、若手も女性もベテランもみんなで、地域の現場から盛り上げていければいいですね。

「ジコマンでオワコンな自治体」が一つでも減り、地域を盛り上げられる自治体が一つでも増えればいいなと感じた、今回のイベントでした。

■参照サイト
ブルーシー・アンド・グリーンランド財団
第6回B&G全国サミット|動画アーカイブ
第5回B&G全国サミット|イベントレポート

(取材協力:日本財団)

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