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米国の産業別雇用者数の長期的・構造的変化を見る(その2)

米国において1998年から2011年の13年間に最も雇用者数が増加した産業セクターは、①娯楽・レジャー・宿泊・飲食、②教育・健康ケア・社会支援、③企業向けサービス、の3つでした。更にそれを細かくブレークダウンすると、①通院/訪問型健康ケア、②教育、③社会支援、④コンピュータシステム設計、の4つが最も雇用が拡大した産業でした。それは以下のように要約できました。

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ここでは、更に雇用成長産業を可能な限り小さい産業にまでブレークダウンしてより具体的に理解するために、米国労働省労働統計局(BLS)の産業別非農業雇用者統計データーベース(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)からデータがとれる一番細かい産業までブレークダウンしてみます。

まず、労働統計局(BLS)の産業別非農業雇用者統計データベース(Table B-1)では、企業向けサービス(Professional and business services)は次のように細かくブレークダウンできます。(1998年と2013年速報値を比較しています)
U.S._Employees_by_Industry_Professional_Business_Services_S.jpg
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1998年から2013年の15年間に、米国の企業向けサービス(Professional and business services)の雇用者数は、全体で1,514万人から1,854万人に340万人(22.5%)増加しました。企業向けサービスは、マネジメント(Management of companies and enterprises)、管理サービス(Administrative and waste services)、専門技術サービス(Professional and technical services)の3つに分けられています。このうち15年間で最も雇用が増加したのは専門技術サービス(Professional and technical services)でした。

更に専門技術サービス(Professional and technical services)は6つの産業にブレークダウンできますが、このうち15年間で最も雇用が拡大したのは、コンピュータシステム設計(Computer systems design and related services: 1.7倍)とコンサルティングサービス(Management and technical consulting services: 2.0倍)でした。この15年間に、専門的な知識や技術を積極的に外部に求める米国企業の傾向は更に一層進んだことがうかがえます。

同様に、健康ケア(Health care)は次のように細かくブレークダウンできます。(1998年と2013年速報値を比較しています)
U.S._Employees_by_Industry_Health _care_services_S.jpg
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1998年から2013年の15年間に、米国の健康ケア(Health care)サービスの雇用者数は、全体で1,054万人から1,457万人に403万人(38.3%)増加しました。健康ケア(Health care)サービスは、病院(Hospitals)、入所ケア(Nursing and residential care facilities)、通院/訪問ケア(Ambulatory health care services)の3つに分けられます。このうち15年間で最も雇用が増加したのは、通院/訪問ケア(Ambulatory health care services)でした。

更に通院/訪問ケアサービス(Ambulatory health care services)は4つの産業にブレークダウンできますが、このうち15年間で最も雇用が拡大したのは、在宅介護サービス(Home health care services: 1.94倍)と通院患者看護センター(Outpatient care centers: 1.90倍)でした。これらによって、この15年間に、米国では在宅による看護介護サービスの割合が高まったことがうかがえます。

さて、労働統計局(BLS)のデータベース(Table B-1)では、教育(Educational services: NAICS 611)には内訳データがありませんが、北米産業分類システム(North American Industry Classification System: NAICS)では、以下の産業グループから構成されると定義されています。

Elementary and Secondary Schools: NAICS 6111
Junior Colleges: NAICS 6112
Colleges, Universities, and Professional Schools: NAICS 6113
Business Schools and Computer and Management Training: NAICS 6114
Technical and Trade Schools: NAICS 6115
Other Schools and Instruction: NAICS 6116
Educational Support Services: NAICS 6117

教育サービスの雇用者数は、15年間で223万人から337万人に114万人(51%)も増加しました。教育サービスの雇用者数が増加しているのは、専門技術サービスの雇用増加に対応した専門教育に対する需要の拡大があるためと推定されます。

同様に、労働統計局(BLS)のデータベース(Table B-1)では、社会支援(Social assistance: NAICS624)には内訳データが児童デイケアサービス(Child Day Care Services: NAICS 6244)の一つだけしかありませんが、北米産業分類システム(NAICS)では、以下の産業グループから構成されると定義されています。ソーシャルアシスタンスはソーシャルワーカーなどの専門職による専門的な社会支援です。

Individual and Family Services: NAICS 6241
Community Food and Housing, and Emergency and Other Relief Services: NAICS 6242
Vocational Rehabilitation Services: NAICS 6243
Child Day Care Services: NAICS 6244(これだけTable B-1 にデータあり)

U.S._Employees_by_Industry_Social_assistance_S.jpg
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社会支援の雇用者数は、15年間で167万人から274万人に107万人(63.8%)も増加しました。うち子供デイケアサービス(Child Day Care Services)が24万人(39.4%)増だったのに対し、それ以外が83万人(78.1%)も増加しています。これはリーマンショック不況などで困窮者が増加したためと推定され、景気回復に伴って減少に転じています。

総括すると、米国は企業向け専門サービス・医療介護・社会支援などの専門的サービス産業の雇用が急ピッチで拡大していて、それに伴う専門教育需要の高まりから教育サービス産業の雇用も拡大しています。それらの雇用拡大が基調的に製造業や建設業などのモノ作り産業の雇用縮小を上回って雇用全体の拡大を支えています。

こうして見てくると、やはり日本はどうなっているかを知りたくなります。

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