記事

有料メルマガは儲からない:名だたる著者が死屍累々な理由を考える

いまだに幻想がはびこっている気がしますが、有料メルマガは基本的に儲かりません。どうせ計画を立てなければいけないので、ちょいとリアルに計算してみましょう。

[無料版あり] イケハヤマガジン - BLOGOS(ブロゴス)メルマガ


有料メルマガは儲からない

まず、一般的にメルマガは定価の60%が著者の売上になります。ぼくのメルマガは630円なので、購読者ひとりあたり月額378円の売上が計上されます。

現在「イケハヤマガジン」の有料読者は約80人。80人×378円なので、毎月30,240円の売上ですね。年間にすると362,880円。

そこそこいいじゃん!と思われるかもしれませんが、ぼくのメルマガは編集部を持っているので、経費が毎月10万円程度掛かります。言い換えると、年間予算はだいたい120万円くらい。購読者80人だと、年間で90万円近い赤字ですね…。

毎月10万円の経費をトントンに持っていくためには、割り算をすると、有料購読者で264人が必要であることがわかります。ぼくの場合は、あと184人。うーん、行けるのかだろうか。まぁ、達成できるように力づくで頑張るんですけどね。

さて、この264人という数字をどう捉えるかですが、一般的に考えるとかなり難しいと言わざるをえません。常見陽平さんは「最後の段階では36人」だったそうです。他にも死屍累々な感じ。

有料会員数が思うように獲得できず、有料メルマガからの撤退を決断した人物は、常見氏だけではありません。

「有料会員数が500人に満たなかった場合は有料メルマガ終了」というキャンペーンを行った『スーパーオモコロメールマガジン』(http://picup.omocoro.jp/?eid=1675)は、あえなく失敗。(最終結果は347人)また、中川淳一郎氏も300人という目標を達成できずに休刊。

東浩紀氏の責任編集による『ゲンロンサマリーズ』も「購読者数が伸び悩み、採算が難しいと判断」(https://twitter.com/genroninfo/status/319473113203089408)したことを告白しています。

「休刊・廃刊メルマガ特集」を自分で紹介する:渡辺文重の有料メルマガ批評:有料メルマガ批評(渡辺文重) - ニコニコチャンネル:社会・言論


まともに「稼いでいる」といえるのは、堀江さん、津田さん、藤沢さんくらいなものでしょうか。彼らはおそらく、年間数千万円の売上を確保しています。まぁ、彼らには歴史があるので、一朝一夕で追い抜くことはまず無理でしょう。

(堀江さん)840円×15,000人=12,600,000円
(津田さん)630円×8,000人=5,040,000円
(藤沢さん)840円×5,000人=4,200,000円

[有料メルマガ] 津田マガ読者数は8,000〜9,000人、ホリエモンは1.5万人 : イケハヤ書店


有料メルマガがうまくいかない理由

なぜこうも有料メルマガはうまくいかないのでしょう。ぼくも発行者になったので、先行者たちの敗因分析を行ってみます。


1. 生産力が足りず、息切れする

まず一点目は「コンテンツ生産力が足りなかった」。特にブロガーの場合は、ブログと有料メルマガを同時並行で進めるのは、そう簡単ではありません。多くの場合「ブログもメルマガも中途半端」なことになってしまいます。先行者たちを見ると、その状況に「息切れ」していく様子がうかがえます。


2. 編集者が不在

関連して言えるのは「著者ひとりですべてやろうとしてしまっている」というそもそもの問題。津田マガも堀江マガも、著者とは別に編集担当が仕事をしています(最近だと家入さんも編集者が入ってますね)。ひとり編集者が加わるだけで、著者としてはかなり負荷が下がります。

有料メルマガって、分量や配信ペースからして、「雑誌」に似ていると思うんですよね。ブログ記事のように単発ではなく、ひとつの大きなテーマのもと、パッケージしていくようなイメージ。これをいうと怒られるんですが、イメージ的には「BRUTUS」のような感じです。

メルマガも、BRUTUSのようなパッケージ性を意識すべきだと思うのです。そうすることによって、読者も手を出しやすくなりますし、マネタイズの可能性も広がります(電子書籍、イベントなど)。死屍累々になってしまう要因のひとつは、編集者のコミットメントが不在にあるとぼくは分析しています。

編集者が介在することで、コンテンツも著者単体で制作されるものとは、雰囲気が変わってきます。実際、「イケハヤマガジン」なんかも、ぼくのブログとはまた違うテイストでまとまってますよ。1ヶ月無料なので、有料版をお試しあれ。…と、シームレスに宣伝。


3. そもそもやる気がない

なんというかさらに根本的にいえば、そもそも多くの著者は、有料メルマガに本気を出していないように感じます。

それは著者が怠慢だからというより、「十分にマネタイズできるようになるまで、力を割きつづけることができない」という損益分岐点的な問題なのでしょう。「本気を出したくても、儲からないから本気になれない」という状態に陥っている、と。

一度儲かりだしてしまえば、割けるリソースも増やせるので、本気でPDCAが回せるようになります。が、多くの場合、持続的に儲かるフェーズに達する以前に、揚力を失って撃沈しているイメージがあります。

ぼくはメルマガに関しては「初年度は赤字覚悟」でやっているため、本気でPDCAを回していく予定です。「本気でやっても儲からない」のはブログで慣れているので、多分、軌道に乗せるまでは続けられるかと思います。淡々とやるしかないんですよねぇ…。


有料メルマガを始めてもいい条件をまとめる

有料メルマガを始めてもOK、という条件についても考えてみました。

・優秀な編集者を巻き込める
・コンテンツの生産力に自信がある
・強いファンベースがすでに形成されている
・強い告知チャネルを持っている
・読者の期待を裏切らない範囲で、コンテンツをうまく使い回せる予定がある
・当面は儲からなくても続けられる意志と余裕がある

これらの条件が整わないうちは、基本的に有料メルマガはおすすめできません。ぼくも見切り発車という感じですからね…。ご参考まで。

ただ、今の有料メルマガって、その仕組み自体にも改善の余地があるんですよね。課金処理がかったるかったり、そもそもメールという配信フォーマットが時代遅れだったり。ここら辺は有料メルマガ市場が立ち上がっていくに従い、改善されていくのでしょう。

「アプリ内課金で電子書籍として読める」「Kindleで定期配信される」というのは次のスタイルだと思っています。あと、海外のニュースサイトのように、課金制のブログにしても面白いと思います。まだまだ実験できそうなので、色々模索していきたいところ。

というわけで、第一号が創刊したばかりの「イケハヤマガジン」をご愛読くださいませ。毎月2回の発行が基本。来週は平日毎日発行する実験を実施予定。創刊号はなんと4万字近いボリュームです。打倒津田マガで頑張りますよー。

あわせて読みたい

「メルマガ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ネトウヨが保守論壇をダメにした

    文春オンライン

  2. 2

    サギ師が使う人の心を操る話し方

    fujipon

  3. 3

    都顧問 小池都政なければ大混乱

    上山信一

  4. 4

    音喜多氏「小池氏演説は攻撃的」

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  5. 5

    戦略的投票を推奨する朝日に疑問

    和田政宗

  6. 6

    辻元氏 米は他国民を救出しない

    辻元清美

  7. 7

    英国でトラブル 日立は正念場に

    片山 修

  8. 8

    約30年ひきこもり 就労までの道

    PRESIDENT Online

  9. 9

    元SMAP3人VSジャニーズの報道戦

    文春オンライン

  10. 10

    情勢調査が有権者に与える影響

    AbemaTIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。