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2014年国家予算案〜アベノミクス財政出動の行方

2013年末に2014年度国家予算案が閣議決定されています。

8月のブログ記事2014年国家予算概算要求のまとめ~アベノミクスはどこへ行く?で、概算要求をまとめたので、振り返って再整理します。

歳出抑制に一定の役割を果たすはずの財務省が、2014年4月の消費増税を無難に乗り切ることに神経を使う。
政治家は業界団体に配分することに重きを置く。その結果がどうだったのか意識しつつ、概算要求からの変化を赤字で記載しました。

【全体】

2014年度予算編成で、各省庁が財務省に提出する概算要求の総額(一般会計)は99兆円台となる見通し。

12年度の要求額(98兆4686億円)を上回って最大。

一般会計総額は 95.8兆円。(過去最大)
前年 92.6兆円(3%増)

2013年度は要求と予算案の差異は、6兆円
2014年度は要求と予算案の差異は、4兆円
であるから、比較的、要求どおりの決定となったのでしょう。


別枠扱いの東日本大震災の復興関連予算を含めると100兆円を超えるのは確実な情勢だ。

復興関連予算は 3.6兆円。(前年 4.3兆円)
資材・人材不足の影響で事業執行が進んでないため、減額したもの。

結局、復興関連予算とあわせての予算総額は100兆円を下回った。

【国土交通省】

総額は25年度当初予算比16%増の5兆8590億円

うち、公共事業関係費は17%増の5兆1986億円。道路整備は1兆2026億円、ダムなどの治水は6763億円を計上。

概算要求額に対して、予算案決定額は99.6%と、ほとんど認められた。

インフラの老朽化対策や巨大地震に備えた防災・減災対策に重点配分
八ツ場ダムの本体工事費を5年ぶりに盛り込む。

成長戦略に重点配分する特別枠「新しい日本のための優先課題推進枠」には1兆2418億円を計上。道路や港湾施設などインフラの維持管理・更新を進めるための経費で3731億円、南海トラフ巨大地震などに備えた公共施設の耐震化や津波対策に1234億円を盛り込んだ。

羽田空港の滑走路延伸や成田空港の格安航空会社(LCC)専用ターミナルの整備といった首都圏空港の強化事業に147億円。

整備新幹線はすでに着工している北海道、北陸、九州の各新幹線の建設費で822億円。

京浜港や阪神港といった大規模港湾に貨物を集めたり、近隣の物流施設の機能を高めたりする事業は536億円。

東日本大震災復興特別会計には7087億円を計上。岩手、宮城、福島3県の災害公営住宅の整備や沿岸部の堤防のかさ上げ、道路の耐震化などを進める。

長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」の融資上限は撤廃し、購入費全額が借り入れ可能にするための経費などとして268億円を求めた。

税制改正要望
 耐震や省エネ、バリアフリー化を進めるための改修に対し、所得税を軽減するなどの特例措置を盛り込んだ。

航空会社が燃料の補給時に払う航空機燃料税の軽減措置の3年間延長。リニア中央新幹線を建設するJR東海が取得する不動産の登録免許税や不動産取得税を非課税にする措置の創設。

税制についてもほとんど認められている。
税制については、「民主党地方議員からみた税制改正の自民党らしさ」参照。

【厚生労働省】

一般会計の要求額は30兆5620億円。今年度の当初予算額を3・8%上回る過去最大の規模。

高齢化に伴う社会保障費の自然増を約1兆円盛り込んだのが主な要因。

安倍政権の重点政策を盛り込む特別枠では1617億円分を要求した。

概算要求額を上回る予算案決定額となり、要求項目がほとんど認められたものと思われる。

新規や拡充の事業は、安倍政権の成長戦略に沿ったものが目立つ。米国立保健研究所(NIH)のように医療分野の研究開発の司令塔となる「日本版NIH」を創設して、革新的な医療技術の実用化に向けた研究などを進める費用として524億円を要求。

「待機児童解消加速化プラン」に基づき、保育所などの定員を約7万人分増やすのに必要な4937億円も盛り込んだ。

労働分野では、成長分野への「失業なき労働移動」が目玉。従業員を転職させた企業に出す「労働移動支援助成金」を、今年度の2億円から301億円に増やす。一方、不況時に雇用を守る企業を支援する「雇用調整助成金」は半減させ、545億円。

基礎年金では、国庫負担割合を恒久的に2分の1に引き上げる方針にあわせ、10.7兆円強を要求。うち2.6兆円分の財源は過去2年間、赤字国債の一種の「つなぎ国債」で手当てしてきた。

税制改正要望
麻生太郎副総理兼財務相らが求めていた企業の交際費課税の見直しを巡り、資本金1億円超の企業への適用も求めた。

こちらも盛り込まれている。
税制については、「民主党地方議員からみた税制改正の自民党らしさ」参照。

【経済産業省】

要求総額は1兆7470億円で、13年度当初予算より22%多い。

概算要求額に対して、予算案決定額は80%と、認められなかったものも多いが、それでも前年予算比9.6%の伸びである。

新製品の試作などに使う「3Dプリンター」の次世代機開発の支援に新たに45億円。 ⇒ 40億円

成長戦略の柱である健康長寿分野には174億円。iPS細胞の量産技術の実用化に25億円、内視鏡技術などを活用した高性能の医療機器開発に43億円などを新規事業として盛り込む。
医療研究開発の司令塔機能(日本版NIH)の関連でも208億円。⇒ 169億円

東京電力福島第1原発の廃炉促進などに充てる研究開発費用を前年度比44%増の125億円。

同原発で深刻化している放射性物質を含んだ汚染水漏れ対策として、原子炉建屋周囲の土を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の設置費用も要求する。まだ計画段階で必要な費用が確定できないため、概算要求では事業名を記載するだけとし、年末にかけ要求金額を詰める方針。

凍土方式の遮水壁(319億円)、高性能な多核種除去施設(150億円)、港湾内の海水浄化や土壌中の放射性物質除去といった技術的難易度が高い追加対策の技術検証等(215 億円)

【防衛省】

約1400億円(2.9%)増の約4兆8900億円を計上。11年ぶりにプラスに転じた25年度に続き、2年連続で増額を図る。

概算要求額に対して、予算案決定額は99.8%と、ほとんど認められた。

円安に伴う輸入装備品の価格上昇などが増額の大きな要因。同省はこれとは別に、装備の更新・強化に充てるため、27年度以降に支払う後年度負担額の引き上げを目指し、財務省と折衝を続ける。

大幅な増額要求を行う方針だったが、消費税率の5%から8%への引き上げに伴う調達経費の増加分(200億円)、米軍再編経費の増加分(同)などは概算要求段階では計上しないことにとなった。

【農林水産省】

総額は2兆6093億円と前年の当初予算に比べ13%増える。

概算要求額に対して、予算案決定額は89.4%で前年予算比1.2%の伸びと抑えられた。

とはいえ、過去予算減少が続いていたことからすると増加は大きい。

比較可能な2007年度から毎年2~7%減少していて、自民党に政権交代した2013年度予算は5.7%の伸び。

耕作放棄地を買い取り農業生産法人に貸し出す農地中間管理機構の整備に1039億円を要求する。⇒ 304億円

土地の改良を目指す農業農村整備事業は3197億円と21%増額する方針。⇒ 2,689億円

【外務省】

総額6843億円。前年度当初予算比で12.5%増。

概算要求額に対して、予算案決定額は97.3%と、ほとんど認められた。

うち政府開発援助(ODA)予算は4706億円
ミャンマーの民主化促進や北アフリカ地域のテロ対策支援を盛り込んだ。

ODAについては関連記事 国際協力機構 JICA の公共事業に着目してみる もご参照ください。

今回は、新聞記事からの引用ではなく、財務省のホームページを基礎資料といたしました。
詳しくは、そちらをご参照ください。

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