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早朝にレジャーする「エクストリーム出社」は、日本のビジネスシーンを変えるか

■ 出社前の合コンは“お持ち帰りなし”の健全さ

会社に出社する前の時間を使って観光やレジャーを楽しむ「エクストリーム出社」が話題だ。早朝から築地市場でお寿司を食べたり、カヌーで激流下りをしたりしてから出社する人もいる。この出社形態が日本の労働スタイルや早朝ビジネスに一石を投じるのではないかと注目されているのである。

エクストリーム出社に設けられた最低限のルールは「会社に遅刻しないこと」と「出社後に居眠りしないこと」。それさえ守り、他人に迷惑を掛けなければ内容は自由だ。

なかには、朝5時にカフェで乾杯し、ボーリング、カラオケと3次会まで行う合コンを開催したグループもあるという。もちろん、その場合はアルコール厳禁。合コン後は会社に出社するため、「お持ち帰り」の心配もない。“朝のアフター5”は、心身共に健全が基本なのである。

エクストリーム出社は今年8月頃からTwitterを中心に話題になり、「移動」「アクティビティ」「演出」を競う大会も開催された。日本エクストリーム出社協会も設立され、天谷窓大氏と椎名隆彦氏が共同代表を務めている。

エクストリーム出社が誕生するきっかけとなったのは3年前ほど前。天谷氏は、当日勤めていた会社の上司とそりが合わず、出社するのを苦痛と感じる日々を過ごしていた。そんなある日、思い悩み過ぎた天谷氏は、一睡もせずに朝を迎えてしまう。

「今から寝たら遅刻してしまうかもしれない。家で悶々としているくらいなら早目に出て、寄り道してから出社することにしたんです」(天谷氏)

すると、不思議なことにいつもより上司のことが気にならなくなった。出社前の時間を使い、非日常を味わうことでリフレッシュできたのだろうか。この出社スタイルをはじめて以来、ストレスが緩和し、午前中からバリバリ働けるようになった。「エクストリーム出社」の原型が出来上がった瞬間だった。

早朝にさまざまな活動をする試みは、“朝活”と呼ばれ以前から存在していたが、どこか意識が高い雰囲気が漂っていた。一方、エクストリーム出社は、キャリアアップや勉強とは無縁のレジャーを中心に据えたことで朝活を敬遠していた層にも広がっている。「エクストリーム出社をすることでテンションが高くなって仕事がはかどる」との声もある。

■エクストリーム出社で仕事の生産性は上がるのか?

ただし、早朝に観光やレジャーを行ってから出社して、本当に仕事になるのかという疑問もある。リフレッシュするのはいいが、疲れてしまい本業が疎かになってしまったら本末転倒だ。

12月15日にアップルストア銀座で行われたシンポジウムでは、天谷氏が「エクストリーム出社をすると、出社と同時にエンジンがかかる」、椎名氏が「アンケートでも実際に集中力が高くなったという方がたくさんいた。朝から声が大きくなるため、プレゼンがある日には向いていると思う」と、“出社ズハイ(ランナーズハイとかけた造語)”のメリットを強調。

確かに早寝早起きの習慣がつき、出社直後から集中力を発揮して定時に帰宅すれば、労働時間が長く非生産的だとされる日本の労働スタイルが変わるかもしれない。

また、シンポジウムに登壇したHDE代表取締役副社長の宮本和明氏(全国一斉エクストリーム出社大会の優秀賞受賞者)は、「マニュアルを見ながらする作業ではなく、頭を使うナレッジワークについては、パフォーマンスが高まる実感がある」と指摘する。

タニタの創業ファミリーで、ヘルスケアオンライン社長の谷田昭吾氏は「イノベーションを起こすためには、会社以外の人も含めたネットワークが重要。夜に出歩けない人もいるので、エクストリーム出社は新しい出会いや交流の選択肢を広げている」と語った。

実際にこんな事例もある。椎名氏が企画した「エクストリーム社員旅行」では、平日の終業後に神奈川県の三浦海岸まで行って温泉宿に宿泊。翌日は早朝5時に起きて漁港で朝ご飯を食べてから出社した。「平日の合間の時間を使って実施できるので、(普通の社員旅行に参加できない)子どもがいる社員とも交流ができた」(椎名氏)という。

■ “早朝ビジネス”の活性化に期待も

さらに、朝活がそうだったように、エクストリーム出社が浸透していけば新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。

ヤフーの朝日勝雅氏(宮本氏と同じく優秀賞受賞者)も「朝から開いている店がもっと増えればいいなと思う。映画や音楽のライブも早朝から楽しみたい。動員が心配なら、予約が一定数集まれば開催する仕組みを作ったら上手くいくのでは」と期待している。

自治体も早朝ビジネスに注目しており、東京都では「時間市場開発プロジェクト」と銘打って期間限定で都庁展望台やスポーツ施設などの開館時間を前倒し。早朝から楽しめるようにする取り組みを行っている。(詳細はこちらを要参照)

エクストリーム出社の取り組みは、まだまだ始まったばかり。日本のビジネスシーンや早朝ビジネスにどのようなインパクトを与えることができるか、今後も目が離せなそうだ。


※Yahoo!ニュースからの転載

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