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「佐々木俊尚VS幸福の科学」対談は、結果を見てから批判せよ~田原総一朗インタビュー

ジャーナリストの佐々木俊尚さんが「幸福の科学」の公開イベントに出演する予定であることが、ネットで話題になっている。かつて、「幸福の科学」の大川隆法総裁をテレビ番組に呼んでインタビューしたこともある田原総一朗さんに、「日本人と宗教」について聞いた。【取材:亀松太郎、大谷広太(編集部)】

―宗教といえば、田原さんは11月初旬に『危険な宗教の見分け方』(ポプラ新書)という本を出したばかりですね。

僕は、特にどこかの宗教や宗派の信者というわけではない。ただ、"なんとなく誰かがどこかで見ている"という感覚はある。"お天道様が見ている"というか、一生懸命がんばれば報われるんだと思っているところがある。ずっと長く生きてきて、そういう思いはだんだん強くなっている。

それからいま、スピリチュアルがブームだ。これはつまり、「どうやら自分に見えないものを見ることができる人がいるらしい」「この世には科学技術だけでは割り切れないものがあるらしい」と思っている人が多いということだ。日本人は決して、宗教やスピリチュアルなものに無関心なわけではないのだ。

スピリチュアルと宗教といえば、江原啓之さんという人と麻原彰晃を比べると面白い。江原さんにも信者がたくさんいて、事実上は教祖みたいなものだ。だから、麻原のように教団を作ってもおかしくないのだが、彼は教団を作らない。それは、彼のキャパシティの大きさではないかと思う。

一方、麻原彰晃はもともとヨガ教室をやっていて、神秘体験を通じて信者を増やしていった。そのままでも良かったのだと思うが、彼はオウム真理教を作って教祖になった。そこに、彼のキャパの小ささを感じる。

―『危険な宗教の見分け方』は、田原さんが元オウムの幹部だった上祐史浩さんと対談したものをまとめた本です。対談のなかで、上祐さんが「(オウム真理教と)一番近いところがあるのは、『幸福の科学』ですかね」と語っています。佐々木俊尚さんは今度、その「幸福の科学」と対談するわけですが・・・。

幸福の科学は、僕の「霊言」の本も勝手に出している。本屋に行ったら「あ、出てるな」と。本人に全く何の許可も得ないで、出版している。頭にくるということはなかったが、「こんなの出して、誰が買うのか」とは思った。

僕は昔、「オウム真理教VS幸福の科学」という討論番組を、「朝まで生テレビ」でやったことがある。そのとき、麻原彰晃は出てきたが、大川隆法さんは出てこなかった。大川隆法はのちに、サンデープロジェクトには出てきたが・・・。

そのときの印象では、麻原彰晃のほうがある意味「本物」だなと思った。僕だけでなく、同席した人たちもそういう印象を抱いたようだった。本物だからこそ、危ない。本物だから、殺人までやる怖さがある。逆に、大川さんは、頭がいい人だとは感じたが、宗教家というようには思えなかった。宗教と科学の間ぐらいの感じがした。

―上祐さんと対談して、どう感じましたか?

彼は、早稲田の理工を出て、宇宙開発事業団に入った。そういう人物がなぜ、麻原彰晃の信者になっていくのかというのが、面白かった。一番大きかったのは、神秘体験。科学的ではない体験を何度も経験するなかで、「科学を超えた何かがある」ということを感じたようだ。

もう一つ大きいのは、「1億2000万分の1」では満足できなかったということ。人間というのは、大企業の役員になりたいとか、衆議院議員になりたいとか、大臣になりたいとか、いろいろな野望があるけど、要は、1億2000万分の1では満足できないということだ。

上祐さんは宇宙開発事業団に入ったけれど、そこでは先が見えていた。一方、麻原彰晃はオウム真理教を国教にしようとしていた。もし国教になることができれば、教団ナンバー2である上祐さんは総理大臣になれるかもしれない。それがオウムにはまりこんでいく大きな要因だったようだ。

つまり、1億2000万分の1では我慢できないということ。自分の存在理由やアイデンティティを、麻原彰晃がてっとりばやく証明してくれるのではないかという思いが、上祐さんには強かった。

オウム真理教の犯罪が明らかになったあとも、彼がオウムから離れられなかったのは、1億2000万分の1に戻るのに抵抗感があったからだ。自分が自分でなくなってしまうことに抵抗を感じて、教団から離れるのに7年かかった。逆にいえば、オウムによって自分の存在理由が満たされていたという面があったわけだ。

―佐々木さんが「幸福の科学」のイベントに出演することについては、「宣伝に利用されるのではないか」という批判がネットで起きていますが・・・。

以前、「幸福の科学」を批判していた佐高信さんが、幸福の科学の幹部と対談をしたことがあった。僕も、そういう機会があれば、対談をすると思う。批判されたっていいではないか。佐々木さんも、批判されることを承知でやるのではないか。

「宣伝に利用されるのではないか」と批判する人がいるというが、対談はまだ行われたわけではない。佐々木さんが幸福の科学を批判しているのか、あるいは、宣伝に乗っかっているのかは、結果を見てみないとわからない。ジャーナリストとしての関心から対談に応じるというのは、それでいいと思う。何ごとも、結果を見なければ評価できないはずだ。

僕も創価学会の池田大作さんと2回、対談している。だからと言って、宣伝に乗っかったとは思っていない。言いたいことを全部言ったからだ。

宗教の問題になるといろいろ批判が出るのは、日本人の宗教に対するアレルギーのあらわれとも言えるが、アレルギーだけなら、なぜこんなにスピリチュアルが流行るのか。実は、宗教に対するアレルギーと同時に、宗教に対する好奇心も強いということなのだと思う。

■関連リンク
宗教法人『幸福の科学』の林洋甫さんとの公開対談について - 佐々木俊尚(ハフィントン・ポスト日本版)
佐々木俊尚×林洋甫【対談セミナー】
佐々木俊尚VS幸福の科学IT伝道局長 林洋甫”ガチンコ対談" S・ジョブズ霊言書籍発刊記念イベント生中継 - 佐々木俊尚チャンネル(ニコニコ生放送)

プロフィール

田原総一朗(たはら そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、岩波映画を経て、東京12チャンネル(現テレビ東京入社)。フリー転進後は。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。現在早稲田大学特命教授として大学院で講義をするほか、「大隈塾」塾頭、雑誌『オフレコ!』(アスコム)の責任編集長も務める。1998年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。2010年4月よりBS朝日にて「激論!クロスファイア」開始。今年、夏の甲子園に母校・滋賀県立彦根東高等学校が初出場。

近著に「日本政治のウラのウラ 証言・政界50年」(森喜朗元首相との共著)。無料メールマガジンも公式ページで展開中。

田原総一朗 公式サイトTwitter


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