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アベノミクスは「アホノミクス」!? 浜矩子教授が指摘する「3つの問題点」

安倍政権発足から間もなく1年。日経平均は1万5000円を久しぶりに超えたものの、今年前半の上昇の勢いを失っている。円安基調は一段落し、輸出企業の業績改善は一服したようだ。成長戦略の足踏み感もあり、経済政策への懸念が内外でじわりと高まってきている。こんな中、「アベノミクス」を一貫して批判し続けているエコノミスト浜矩子氏(同志社大教授)は、現状をどう見ているのだろうか。東京・有楽町の日本外国特派員協会で11月8日に行われた記者会見に赴き、話を聞いた。(取材/撮影:渡邉一樹)


高度成長期の幻想にとらわれすぎている

「安倍政権の経済政策はアベノミクスではなく、『アホノミクス』です」。浜氏は挑戦的な言葉でこう切り出したうえで、「問題点は大きく分けて3つあります。それは、(1)『成長』にとらわれすぎている点、(2)人間に対する関心が少ない点、(3)金融政策がお粗末な点です」と指摘した。

「成長」にとらわれすぎているとは、いったいどういうことだろうか。浜氏は次のように表現する。

「アベノミクスは、高度成長期の幻想にとらわれすぎているのです。今の日本経済の問題は、成長がないことではなく、むしろ再分配がうまくいっていないこと。つまり、貧困・格差こそが、一番の政治的課題なのです。

日本の『相対的貧困率』は16%(2009年)ですが、我々のような洗練された経済環境にある国家にとって、この数字は高すぎます。たとえばデンマークは6%(2010年)程度です」

ここで浜氏が指摘している「相対的貧困率」とは、国内の所得格差に注目する指標で、国民の所得中央値の半分以下の所得しかない人の割合だ。OECDによると、2010年のOECD平均が11.1%、アメリカは17.4%、フランス7.9%となっている。

国内格差問題は、2番目の「人間への関心が薄い」という批判にもつながるようだ。浜氏は続けてこう述べた。

「安倍総理が6月5日に行った成長戦略に関するスピーチで、何が語られ、何が語られなかったのか、そこから見えてくるものがあります。

このスピーチで首相は『成長』という言葉を40回近く使いました。多すぎるとは思いますが、成長戦略に関するスピーチですから、わからないでもありません。また、『世界』という単語も37回登場しました。日本の首相が世界経済を意識するのは、当然だとも言えます。

しかし、これらの単語が登場したのは、『日本よ、もう一度』とか、『日本が再び世界の中心的役割を果たす』といった文脈ばかりでした。要は、グローバル競争に打ち勝ち、日本が世界を制覇する、というような単純な話にすぎなかったのです」

こうしたビジョン自体が、時代遅れではないか、と浜氏は指摘したいようだ。

黒田日銀総裁の「異次元緩和」はジョークかと思った

「一方で、人々の暮らしについて触れた部分は少なく、『人間』という言葉が登場したのは、わずか1回。しかもそれは、1970年の大阪万博で『人間洗濯機』が展示されていた、というエピソードの紹介でした。

収入格差についての言及はゼロ、パートタイム労働者についても、貧困についても、一切語られる事はありませんでした。こうした点に、安倍首相のメンタリティが表れていると言えるでしょう」

たしかに、いくら国民を鼓舞するためのスピーチとは言っても、バランスに欠ける面はあるだろう。「ブラック企業」という言葉の流行にも象徴されているように、安心して働き続けられる環境の整備が、国の大きな課題であることは間違いない。

では、現政権の金融政策への批判は、どのようなものなのだろうか?

「安倍政権の金融政策は、その体をなしていません。日銀はもはや中央銀行ではありません。黒田東彦日銀総裁は『異次元緩和』と言っていますが、私は、ジョークかと思います。

日銀がやっていることは国債を買うだけ。これではバブル製造マシーンです。日本政府の財政を救済し、安倍政権のポイント稼ぎにはなるでしょうが、デフレ脱却にはつながりません。非人間的で、くだらない努力がなされているにすぎないと思います」

この発言に対して、外国人記者からは「黒田総裁の方針は、もはや日本だけの特殊なものではなく、国際的にはむしろスタンダードなやり方なのではないか」という質問も出た。

浜氏はこれに、「みんながやってるからといって、やっていいわけではないですね。それは中央銀行の役割ではないと、主張することもできるはずです」と反論し、次のように続けた。

「アメリカのバーナンキFRB議長や、欧州中央銀行のドラギ総裁らは、どこか申し訳なさそうに金融緩和を行っている節があります。おそらく、罪悪感や、正道から外れているという意識を抱いているのでしょう。ところが、黒田総裁にはそうした態度が一切なく、安倍総裁のために喜んで行っているようにしか見えません」

浜氏はこう指摘したうえで、日銀が国債の買いすぎを防ぐために定めた「銀行券ルール」や、白川前総裁が導入した「資産買い入れ基金」を、黒田総裁が廃止したことを批判していた。

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