記事

ヘイトスピーチは駄目

10月7日、京都地裁は、「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の朝鮮学校に対する執拗な侮蔑的、差別的な言動に対して1200万円余りの賠償などを命じた。極めて常識的な判断だと思う。

これについては、10月8日のマスコミでも色々と評じているが、全体的には在特会の言動を厳しく見ているものが多いようだ。だいいち在特会のこの言動については、すでに刑事裁判でも有罪となっているので、こうした民事裁判が出されるのはある意味予想されたことではあるし、当然ということだと思う。

問題はその先にある。特定の民族や人種などを侮蔑的、差別的に攻撃することはいわゆるヘイトスピーチであり、こうしたヘイトスピーチが許されるわけはないが、表現の自由との関係が悩ましい。

外国ではこうしたヘイトスピーチを禁じる法律も制定されているようだが、日本ではそうした規制はない。せいぜい刑事事件として威力業務妨害とか名誉毀損などによって、処罰の対象になるかどうか、といったところである。これはあくまで刑事事件にまで発展すれば、当然、刑法その他の刑事法の規制の対象にはなるが、刑事事件となるとどうしても抑制的に働くので、そう簡単には立件はされない。

そうなると一方では表現の自由を安易に侵さないようにしながら、他方では今回問題になったようなヘイトスピーチをいかに規制するか、なかなか難しい問題だ。弁護士仲間でも慎重論は多い。

もし安易に行政サイドがヘイトスピーチを取り締まれるようになると、政府を攻撃するかあるいは政府や行政にとって都合の悪いことを追及する行為も、下手をすれば規制されてしまい、民主主義にとって最も大事な表現の自由が侵されかねないという。この論はもっともであり、十分に注意しなければならない。

しかし私は、もはや事態は何の規制もしないままで放置できない状況に至っているのではないか、と感じている。国会でも同僚の参議院議員である有田芳生さんが法務委員会で取り上げていた。有田さんは新大久保での在特会を中心とした聞くに堪えないひどい言動を取り上げていたが、もはや全国的な問題になっていると言っても過言ではない。

私は、表現の自由を安易に侵さないように注意しながら一定のヘイトスピーチを規制するような法規制に踏み込むべきだと思う。その時、ヘイトスピーチかどうかの判断を誰がどのような手続きで行うのかが問題だ。

率直に言って、こうした問題について、人権委員会ができていれば、こうした行政から一定の独立性のある委員会に判断してもらうというのもあり得る考えだと思う。民主党政権時代には、私も中心になって取り組み、人権委員会設置法案を策定し、閣議にかけて国会提出まで行ったが、残念ながら自民党の一部に強い反対勢力がいて審議もできなかった。

この法案が成立して、人権委員会が設置されれば、この人権委員会は政府から一定独立した組織であるので、表現の自由にも十分配慮しながらヘイトスピーチかどうかの判断やその規制などに力を発揮することができたのではないかと思えてならない。人権委員会設置法案については公明党も賛成してくれていたし、自民党の良識派にはこの法案に賛意を寄せてくれていたので、期待はしたいのだが、まあ今の安倍政権ではちょっと無理かなというのが正直な実感ではある。

あわせて読みたい

「在特会」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    宮司殺害 犯行時の異様な言葉

    NEWSポストセブン

  2. 2

    大統領夫人を嫌がるトランプ氏妻

    PRESIDENT Online

  3. 3

    年齢で正社員募集する日本は異常

    城繁幸

  4. 4

    超高額イージス導入で国防は弱化

    清谷信一

  5. 5

    中東 トランプ氏の賭けは勝利か

    野口雅昭

  6. 6

    NHK訴訟 見直せなかった公共放送

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

  7. 7

    ツリー炎上 嘘を重ねるネット民

    赤木智弘

  8. 8

    M-1ルール変更も残る一番手問題

    いいんちょ

  9. 9

    漫画で分かるイスラム女性の心情

    紙屋高雪

  10. 10

    食べログは禁煙店の加熱式可外せ

    NATROM

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。