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Youtubeにない曲は存在しないも同然~曲でお金をとる時代の終わり

もはや曲は無料が当たり前の時代になった。 あのミスチルさえ、新曲PVを一部分だけでなくフルで無料でYoutubeに公開したり、 過去のライブ映像やPVをばんばんYoutube公式サイトで無料で流し始めた。 曲に値段がつくという時代はなくなるかもしれない。

音楽の違法ダウンロード刑事罰適用がされて1年が過ぎたが、 CDや音楽配信の売上が回復したかというと当たり前の話だが思わしくないという。 そんなの既得権益に凝り固まった老害以外は、みんなわかっていたこと。 問題はそこじゃない。 もはや時代の流れに逆らうのは無理がある。

今から2年以上も前。2011年1月のこと。 私が何年もずっとライブ撮影や取材をしているメジャーバンド、 「メリディアンローグ」(現SONALIO)が、メジャーをやめて独立し、 さらにはバンドメンバーで会社を立ち上げ、 新曲無料配信サイトを立ち上げると聞いた時、正直、驚いた。

えっ、新曲無料にしちゃうなんてもったいないんじゃないか……。

しかしメジャーまで登りつめた彼らは、 音楽業界を取り巻く環境が激変していることを察知し、 「音楽業界が危ない、CDが売れない状況を打破するには、 リスナーの意識改革でも、 コピーコントロールCDでも、 違法アップロードの規制強化でも、 CDの値下げでもありません。 音楽販売ビジネスモデルの改革です」と結論を出した。

新曲を無料配信することで、むしろ多くの人に聴いてもらい、 ライブに多くの人が来てもらったり、グッズを買ってもらったりして、 収入を得ることが、これから音楽業界で食べていく道であって、 アルバムはまた別の意味があったとしても、楽曲を単品で売る時代ではない。 楽曲はむしろ宣伝ツールとして無料で配るべきだと。 これまでの音楽業界のビジネスモデルの180度の転換だ。

こうして彼らは自分たちのバンドだけでなく、 多くのミュージシャンを巻き込み、新曲無料配信サイトを立ち上げた。 あれから2年以上が過ぎたが、もはや曲が無料というのはそんなに驚かない時代になった。

それどころか最近では、ただ曲を無料するだけでなく、 Youtubeに動画つきで曲をアップしていないと世の中に認識してもらえない、 と感じているミュージシャンが多い。

曲を聴こうと思ったら、CDショップ店に行ったり、レンタル店に行くのではなく、 Youtubeで検索して聴くのが一般的になった。 人に勧める時もYoutubeのURLを送るのが手っ取り早い。 その方が気兼ねなく見てもらえる。 わざわざミュージシャンのホームページに行ったり、 そこでダウンロードしたりするなど、よほどのファンでない限りはしない。

バンドをしているある人が、 「もはやYoutubeにアップされていない曲なんて、この世に存在していないも同然ですよ」 と話をしていた。 曲が無料なのは当たり前。 でもその曲を自分たちのホームページで無料で配信しても、 そのホームページにたどりつく人はほとんどいない。 Youtubeにアップして、はじめて知らない人にも聴いてもらえる可能性が出てくる。

しかしここで問題なのは動画サイトである以上、音だけでなく映像をつけなくてはならない。 ある音楽関係者の人は、 「もはや音楽なんて映像の付属物にしか過ぎないのかもしれない」という話をしていた。 そうなると曲づくりも大事だけど、Youtubeにアップする以上、 映像もそれなりによくないと、作品として評価されない。 逆に映像がよければ、曲もいい風に聴こえてきて、 それをきっかけにライブに来てくれたりするファンができるかもしれない。 ミュージシャンだけでなく、映像クリエイターとしての才能も求められるようになるかもしれない。 もしくはその部分を外注するかだ。

でも曲や映像を作るには膨大な金がかかるんじゃないのか、というのは過去の話。 音楽や映像を作る機材が劇的に安くなっている。 安くなったからといってクオリティが低いかといったらそうではない。 むしろパソコン上でいろんなことができるようになり、 そんなにお金をかけなくても、様々な楽器を使えたり、 いろんな効果を安くてできるようになった。

ちなみに私が音楽活動を始めて、昨日配信した「人生交差点」で6曲目になるが、 歌入れ含めて、すべてレコーディングは、エンジニアさんの自宅。 別に特別な防音装置があるわけでもなく、ブースがあるわけでもない。 でも別にパソコンにつながれた楽器で演奏するので、ヘッドフォンつければ、 音は一切もれないし、音を出したところで、近所迷惑になるような大音量になることはない。

そもそも生で弾いているのはギターとピアノのみ。 ベースもドラムもパソコン上に入力するだけ。ベースやドラムの機材はいらない。 でもそれでへぼいかといったらそうではない。 パソコン上には何十種類、いや何百種類も様々な音のベースやドラムがあり、 いかようにでも好きなものを選ぶことができる。 もしこれを過去のやり方でやろうと思ったら大変だ。 いろんな楽器を買ってこなくてはならないからだ。

歌や生で弾いたものも含め、 すべてパソコン上のデータとして記録されるから、修正も楽だ。 かつての時代のように、高いスタジオを借りて、そこを何日も抑え、 失敗したら何度もやり直すなんて作業はほとんど必要はない。 そこそこの失敗なら、データ上でいくらでも直せるし、 データで入力すれば、新たに音を加えることもできる。 ほとんどの作業がパソコン上でできるのだ。

このように曲の生産面では技術革新とコスト安が起きている。 わざわざCD作って、いらんいっぱいある中間業者に、 お金を抜かれるなんてナンセンスなことはもはやする必要がない。 曲を買う必要すらないだけでなく、わざわざダウンロードする必要もなく、 聴きたい時にYoutubeにアクセスして聴けばいいだけの話。

そういう時代になってしまった今、 今後ますます曲に値段をつけることは困難になるだろう。 むしろミュージシャンが率先して、 無料でYoutubeなどでフルのPVをバンバンアップするようになる。

このような時代の流れは変えることは無理だと思う。 そうなると他者からの請負音楽作品制作ではなく、 自分の作りたい曲を作って売ってビジネスをするのは、 よっぽど人気のあるごく限られたミュージシャン以外は難しいのではないか。 曲が無料だとしても、ライブやグッズで収入を得るミュージシャンや、 Youtubeの広告収入で食べていけるミュージシャンはいるかもしれないが。

でもそれを音楽文化の衰退とか勘違いするのは筋違い。 多くの人が安価に音楽制作・配信できるようになり、 また多くの人が安価にいろんな音楽を聴けるようになり、 金がないと音楽が楽しめない時代から、 金がなくても音楽が楽しめる時代になれば、 音楽文化は衰退どころか活発になるんじゃないか。 音楽で食えない人が増えたとしても。

それにしても私が遊びの音楽活動ができるのも時代のおかげ。 高いスタジオ費を払わなくても、いろんな楽器を買ったり借りたりする金がなくても、 エンジニアさんに制作費を払えば、曲が作れるわけだし、 作った曲をわざわざCDに焼いて人に配るなんてことしなくても、 Youtubeにアップしておけば、聴きたい人だけが聴けるんだから。

音楽をする上でこんなに楽しい時代はない。 ビジネスとして考えなければ。

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